2011年11月5日土曜日

ラタラジューの語りの検証その9

(その8からのつづき)
②ナル村の沼地とヒルの棲息について
ラタラジューは、初回セッションで、ナル村の自然環境について、「沼地・・・虫虫!」と言うので、「虫がいますか。刺しますか?」と尋ねたところ、頷きながら「ヒル」と答えています。
おそらく虫とはヒルを指していると思われます。
ソバナ博士の現地調査では、ナル村には湿地が点在し、ヒルが相当多く棲息しており調査に同行した夫君ディパック・バジュラチャリヤ氏が、油断している隙に靴下に潜り込んだヒルに刺されたという報告がありました。
このナル村のヒルは、日本のものより一回り大きく、尺取り虫のような動き方をするヒルでした。ラタラジューの語ったことが事実であることが検証できました。1800mの高地にヒルが棲息していることは驚きでした。

③「ダル(豆のスープ)」と「コド(キビなど雑穀)」「トウモロコシ」など食物について

「ダル」は、ネット検索で「ダルチキンカレー」としてヒットしました。「コド」はネット検索ではヒットしませんでした。
つまり、コドはネパールでもローカルな食物で一般には知られていないということです。
ソバナ博士の現地調査によれば、コド(雑穀)はかつては主食であったが、現在は朝食かおやつとして食されているということでした。
豆のスープであるダルは、現在も炊いたご飯とともに主食になっているということです。
初回セッションで出てきた「トウモロコシの粉」については、現在もトウモロコシを使った料理が多いということでした。
また、50年ほど前までは、キビ・ヒエ・アワ、米などを栽培していたということですが、現在ではトウモロコシと野菜が中心作物になっているということです。
ラタラジューのナル村での食物についての語りの内容が、事実と一致していることが検証できたということです。

④ナル村での死者の扱いについて

ラタラジューは、死者を山(Himal)に運び火葬にすると回答しています。
ソバナ博士の目撃調査によれば、ナル村では遺体は山の上で火葬にされ、頭蓋骨の一部以外すべ灰になるまで燃やし、頭蓋骨と灰を土の中に埋め込みしばらく放置、その後すべてを川に流すということです。
また、頭部をヒマラヤに向けて荼毘に付すということでした。
ここでも、ラタラジューの語りが事実と一致していることが検証できました。
ちなみに、ナル村には墓を建てる習慣がなく、墓石からラタラジューの名を割り出すことは不可能でした。
また、ラタラジューが、「寺院に行くか」と尋ねられ「はい」と答えたように、ナル村には修復中の小さな寺院があることが確認されました。ただし、それがいつごろから存在していたかは確認できませんでした。
(つづく)

0 件のコメント: