2017年9月3日日曜日

ラタラジュー人格が日本語対話できる謎

   SAM催眠学序説 その105

前世「人格」を呼び出し対話するというSAM前世療法には、前世の「記憶」を想起するというワイス式前世療法には提起されえない大きな疑問があります。
この疑問は、SAM催眠学を「学」として体系化する試みにあたって、避けて通れない大きな問題です。

前世の「記憶」を想起するワイス式前世療法においては、日本人であるクライアントが、外国人であった前世の記憶を、日本語で想起し、日本語で語ることには違和感が生じることはありません。

しかし、前世の「人格」が顕現化(自己内憑依)し、その前世人格が明らかに日本語を知らないはずの外国人であると推定される場合でも、日本語で普通の日本人のように対話できる現象には、大きな違和感が生じます。
この日本語を知らないはずの外国人前世人格は、いったい、どこから、どのようにして、日本語を理解する能力を得ているのでしょうか。

この問題に対する回答を、暫定的な仮説にしても出せないとしたら、SAM催眠学は「学」として致命的な欠陥をさらしているという批判を免れないと思います。

顕現化した外国人人格が、知るはずの日本語で対話できるのは、クライアントの催眠下の創造活動が作り上げた架空の偽人格に相違ないからだ、という批判に甘んじるほかないでしょう。
つまり、SAM前世療法で顕現化する前世人格と対話するという仮説は、胡散臭いまやかしではないのか、ということです。

さて、下記は、イアン・スティーヴンソンの、応答型真性異言を話した2例のトランス人格(前世人格)に対する考察です。

「私が特に解明したいと考えている謎に、イェンセン(スウェーデン人前世人格)やグレートヒェン(ドイツ人前世人格)が、母語でおこなわれた質問と同じく、英語でおこなわれた質問に対しても、それぞれの母語で答えることができるほど英語をなぜ理解できたのかという問題がある。イェンセンとグレートヒェンが、かつてこの世に生をうけていたとして、母語以外の言葉を知っていたと推定することはできない。ふたりは、したがって、自分たちが存在の基盤としている中心人物(真性異言話者である被験者)から英語の理解力を引き出したに違いないのである」(『前世の言葉を話す人々』春秋者、P.235)

この考察は、そのまま前世人格ラタラジューが、ネパール語対話実験セッションの直前に、私との日本語対話も可能であった現象の謎についても、そっくりそのまま当てはまります。

ネパール人ナル村村長ラタラジューが、ネパール人対話者カルパナさんと母語ネパール語でおこなわれた質問と同じく、日本語で私がおこなった質問に対しても日本語で答えることができるほど日本語をなぜ理解できたのかという大きな謎があるのです。
100年程度過去のネパールの寒村ナル村にラタラジューが実在していたとして、ネパール語以外に日本語を知っていたと推定することはきわめて不自然です。

とすれば、ラタラジューの存在の基盤である被験者里沙さんから日本語の理解力を引き出したと考える以外にありません。

それでは、ラタラジューは、里沙さんの、どこから、どのように、日本語の理解力を引き出したと考えられるでしょうか。


SAM前世療法の作業仮説では、里沙さんという人格も、ラタラジューやタエの前世人格とともに彼女の魂の表層に存在する諸人格の一つである「現世の人格」にほかなりません。

さらに、SAM前世療法の作業仮説では、魂の表層に存在する前世の諸人格、現世の人格は、魂の表層レベルで、互いに友愛を結び、それぞれの人生で得た知恵を分かち合い、魂表層全体の成長進化に貢献していると考えます。
つまり、前世の諸人格たちと、現世の人格は、魂表層で(潜在意識下で)コミュニケーションを図っていると考えています。

こうして、SAM催眠学の考え方では、ラタラジュー人格は、魂表層レベルで、互いにコミュニケーションをとっている「現世の人格=里沙さんという人格」が仲介者となって、日本語の理解力を手に入れているのだ、と想定できます。

実は、こうした理解が正しいかどうかを、カルパナさんとのネパール語対話実験に入る直前に、里沙さんの守護霊に憑依してもらい、守護霊と私は、次のような問答をしています。
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問い:: ラタラジューはネパール人です。それなのに日本語が分かるということは、翻訳・仲立ちをしているのは、魂の表層の「現世のもの」と考えてよろしいですか?

答え: あなたの言ったことはそのとおりです。・・・わたくしたち魂は・・・自然に理解できます。

『生まれ変わりが科学的に証明された!』、P.46 
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里沙さんの守護霊は、魂表層でラタラジュー人格とコミュニケーションしている「現世の人格=里沙さんという人格」から、ラタラジューが日本語の理解力を与えられている、というSAM前世療法の作業仮説による解釈を「そのとおりだ」と告げています。

スティーヴンソンは、SAM催眠学が提唱している「魂の二層構造仮説」のような魂についての仮説を持っていませんでした。
魂と呼ばず、「心搬体(サイコフォー)」と呼ぶ死後存続する意識体を想定しているだけです。

したがって、「存在の基盤としている中心人物(真性異言話者である被験者)から英語の理解力を引き出したに違いないのである」というところまでしか言及できませんでした。

私あて霊信によって、SAM前世療法の作業説を立てている私は、半歩踏み込んで、魂表層でコミュニケーションしている「現世の人格=里沙さんという人格」が仲介し、日本語の理解力を与えている、という解釈を可能にしました。

スティーヴンソンが存命中(2007年死去)であれば、私の見解に対してどのようなコメントをするか、きわめて興味深いと思っています。

非科学的なトンデモ仮説だと一蹴するのか、検討に値する仮説であると評価するのか。

ラタラジュー人格は、SAM前世療法の手続きによって、魂表層から顕現化した前世人格であり、ネパール語で応答型真性異言で対話している事実が検証され、日本語でも対話したことが確認されています。

こうした事実を、現行唯物論科学では、とうてい説明不能なのです。