2022年1月13日木曜日

典型的なSAM前世療法体験記

SAM催眠学序説 その146 

ここに紹介するのは、30代後半の女性クライアントの体験報告です。     催眠中の意識状態が克明に報告されており、SAM前世療法の作業仮説の検証事例として貴重なものですので紹介します。                   また、彼女には健全な懐疑精神の持ち主であることが文面から伝わってきますので、信頼に足る報告だと判断しています。                

なお、ゴチック部分と赤字の注は解説のためのものです。

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5月30日に初めてセッションを受けました。                 以来、様々な状況の変化が起こっています。この場をお借りし、報告させていただきます。

SAM前世療法を受けたきっかけは、昨年秋に事件に巻き込まれ、その後遺症にずっと苦しんでいたからでした。

私は催眠にかかりにくいのではないかと不安もあったのですが、先生から催眠感受性は高いとおっしゃっていただき、少しホットしました。                   ただし憑依があると浄霊が必要であるとの説明を受け、イヤな予感がしました。

セッションが始まりましたが、なかなか過去世の人格が出てきません。
意識は普段と変わりなく鮮明なため、焦ってきました。

未浄化霊か?との先生の質問に、指が反応したときには・・・もう恐怖でパニックになりました。ビビリなんです。

先生が、戻るべき場所へ安心して行くよう未浄化霊に諭している間、
「そうそう、行ってちょうだい!!」
と、私は心の中で懇願していました。

しかし、思ったほど怖くないかも・・と冷静になってきました。                        

浄霊が終わったと同時にスーッと肩の力が気持ちよく抜けました。                    

すると一筋の涙が頬を伝いました。私が悲しいわけでは全くありません。       (注1)

実体はよく分かりませんでしたが、魂の存在という意味では私達生きている者と同じであり、同じ悲しみ、孤独を抱えていた魂なのかな・・・。                            

この機会に戻るべき場所に戻れてよかったな・・と思いました。

いよいよ過去世の登場です。

指で反応するか話すか先生に質問されました。                                             

当然指で答えるのだろうと思っていましたが、言葉で話すと首がこっくり頷きました。   

「うそ大丈夫!?」心の中でツッコミました。

先生がヨーロッパ、アジア・・・と質問しますが反応しません。一巡してヨーロッパのところで頷きました。                          次に先生は国名を挙げていきます。                                                           

その時から、唇がもぞもぞ勝手に動き出しました。(注2)                       

親不知を抜いたときに麻酔で唇が思うように動かない状態と少し似ています。                                               

自分の意志ではなく、小さく唇が歪んだり開いたり準備運動のようなことをし始めました。

すると「グィー・・」と言い始め、都市名のところで「アティッ・・」と言いました。                                                                                                     

先生に「ギリシャのアテネ?」と聞かれ、「その発音じゃないんだけどなあ・・」と私は何となく感じ、過去世の者も何度も正しい発音にこだわるように声を発しました。                                                                                                           

そして先生から質問を受けると・・・・
意味不明な言語を勢いよく話し出してしまいました。
「うわっ!なんじゃこりゃっ!」
自分でも予想外でした。                                                                                              私は都市名の発音も瞬時に忘れてしまっている状態で、「今後も質問に答えられるのだろうか?」と心配になりました。                                                                                          

しかし、先生に再び質問されると「アティッ・・」と自然に口をついて出てきまた。        

  「もう流れに身を任せるしかないなあ・・」と思いました。

 
以後は先生の質問に、異国?の言語で答えるというやりとりだけが続きました。          

よくしゃべるのですが、話の詳細は私には分からないのです。(注3)

 国名や都市もギリシャのアテネとは断定できない感じでした。

前世の人格は女性で子どもがおり黒髪、夫は支配者階級であること、霊能力のため幽閉され殺されたらしいことは何とか分かりました。

先生の質問は理解できるようですが、ただ日本語で答えられないので過去世の人格ももどかしそうでした。

死亡した年齢を聞かれて、私も非常に興味があったのですが、「○※・・」と答えるだけです。                                                                                                   「で・・一体あんたは何歳で死んだの~!?」と、私は心の中でツッコむだけでした。                                       過去世の「だって・・・○※なんだもん・・」と困惑した気持ちだけが伝わってきました。                                 悲しみや怒りの感情は、泣いたり顔をしかめたり、早口になったりするので分かりました。

先生から好きな食べ物や父母兄弟などの呼び方を質問されると答えるのですが、それが見当はずれなのかどうかさえ私には分かりません。                                                                       

ただ、外国語講座のように、必ず二回以上ゆっくり発音するなど正確な発音へのこだわりをみせ、「親切で根気のいい人だなあ・・・」と感心しました。             ついでに自分とそういうところが似ている・・短気なところも・・なんて思いました。

そして、過去世の人生の核心に迫りました。

昨年の事件の加害者から、この時代でも同じ被害を受け、今世はそのリベンジだということでした。                                         先生の質問に強く頷き、感情をあらわにするので、このあたりは分かりました。     時代は紀元前のようで、「2000年以上の時を越え、魂の成長をかけて戦うのか・・・あわわ・・・」と少し気後れしましたが、妙に納得もしました。                霊能力の封印も解かれたようでした。

ヒーリング後、守護霊とのコンタクトでは、いくつか心の中で問いかけると首が頷くという形で反応がありました。                              あんまり頷いてばかり(yes)のため、「いい加減だな・・自分で適当に頷いちゃってるんじゃないの?」と思いましたが、そのうちの一つは反応の通り先月実現したので、その他の質問についても経過を見守っているところです。

そしてSAM前世療法の神髄は、セッション後に日毎に現れてきました。

まず、現在置かれている状況が激変し始めました。

日替わりメニューのように次々と難問に直面もするのですが、思ってもみない人の優しさや協力も得られるようになりました。

その度ごとに動揺もするし、「今回ばかりはそれ、ナシじゃないのか?」と弱気にもなるのですが、2000年持ち越した課題だと思うと・・・半ば開き直りで受けてたつ決心が固まるようになりました。

不思議と後遺症の症状は徐々に減少してきたのですが、やはり自分の心身のコンディションによって大きくうずくときがあります。

「辛いな・・」と思った際に、何気に守護霊とのコンタクトを思い出し、問いかけてみました。すると、

「手を胸に当て癒しなさい。自分を信じ切れないから胸が痛むのです。もう大丈夫です・・・」とメッセージのようなものがありました。                  実際その通りにしてみると、自然と落ち着くようになりました。            

しかし、それで症状が完全に消失したわけではありません。              魂の傷は、癒す過程にこそ成長があると先生の霊信であったように思いますが、確かにそうだと思えます。

守護霊との対話は、想念を感受したと同時に自分が言葉に置き換えているような感じに近いです。                                        こちらが求めなければメッセージはありません。
自分自身に問いかけ自分で答えを出しているようにも思えるため、「本当に守護霊なの?」と疑いました。

異国の言語にしても、「エクソシストみたいになったらどうしよう・・。録音を逆送りにしたら実は悪魔語だったりして・・・。そのうち首がグルグル回りだして緑の液体吐き出すのかな・・。」とビビリまくりです。

セッション後の自分の内なる変化についていけず、猜疑心丸出しの日々が数日ありました。しかし、辛いときに問いかけると常に優しく返答がありました。

「心の言葉が私であってもあなたであってもどちらでもよいではないですか。あなたの内なる声だと思っても良いでしょう。                          異国の言語かどうかも気にすることではありません。                 あなたにそれが起こったことで、人生が急展開している。                  その現実の方に目を向けなさい。                             今、課題にむかって生きていけること、そのために支えてくれる人がいること、孤独ではないこと(目には見えない存在の守護があると感じられること)を実感できる幸せが、今一番大切ではないですか。(注4)                               後は先生の専門分野です。                             心配いりません」

このメッセージは、得にはなっても害はないので、素直に受け入れることにしました。

問いかければいつでも答えは自分の中にある・・・そして守護霊は24時間営業・・・。その状態は贅沢のようにも感じます。                          しかし、すべての人に守護する魂があるはずだと思うと、特別なことではないと思えます。 

SAM前世療法は、魂の自己治癒力を開花させるような無限の可能性を感じます。
そしてその結果、それぞれの魂の持つ独自のパワーを、他者にも還元できるように感じています。

先生のセッションを受けられた幸運に感謝です。
                                          セッションを受けたみなさんにも人生の転機が訪れているのだろうと思うと感慨ひとしおです。そういった方々が今後も多く誕生することを願ってやみません。 

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【解説】

浄霊が終わったと同時にスーッと肩の力が気持ちよく抜けました・・・私が悲しいわけでは全くありません(注1)未浄化霊の浄霊後、肩の力が抜けた、肩が軽くなったという報告は共通してあるものです。未浄化霊は、霊体(オーラ)に憑依していると言います。霊体にクライアントの意識が存在しており、それに憑依霊の意識とが併存状態になっているので、一筋の涙を流した意識の主体は、憑依霊であろうと推測され、したがって、クライアントの悲しみの意識ではないのです。

 唇がもぞもぞ勝手に動き出しました(注2)SAM前世療法の作業仮説では、前世の記憶の想起ではなく、前世人格の顕現化をめざします。したがって、唇をもぞもぞとさせている主体は、クライアント自身ではなく、クライアントの肉体を借りて顕現化している前世人格です。その感覚を勝手に動き出しと表現しているのです。こうした感覚の状態は、SAM前世療法に共通してあらわれる現象です。前世人格の語りと、それをモニターしている意識が併存している意識現象は、SAM前世療法独自の意識現象で、前世記憶を想起して語る一般の前世療法にはみられない意識現象です。 

3・・・話の詳細は私には分からないのです。(注3)詳細な「話」をしているのは、顕現化した前世人格ですから、クライアントは、前世人格に声帯と舌を貸しているということです。したがって、クライアント自身の話ではないので話の内容が分からないという事態が起きているのです。こうした意識状態は、「ラタラジューの事例」で、ラタラジューの会話しているネパール語の内容が里沙さん自身には分からなかった、という被験者里沙さんの報告と一致しています。

今、課題にむかって生きていけること、そのために支えてくれる人がいること、孤独ではないこと(目には見えない存在の守護があると感じられること)を実感できる幸せが、今一番大切ではないですか。(注4)こうした意識現象が、はたして守護的存在からのメッセージであったか、クライアントの主観かどうかの真偽の判断は留保とするしかありません。そして、わたしのセッション体験では、守護的存在が細々したことを告げることや、あれこれ命令や指示することはまずありません。こうした点で信憑性があるメッセージだと思われます。

さて、付記しておきますと、このクライアントの前世の女性は「ティルソバイ」と名乗っており、古代ギリシャ語らしい異言で、わたしと流暢な会話をしましたが、それが真性異言であるのかどうかの確かな検証はできませんでした。

 

【参考】 SAM催眠学序説 その124より

自己内憑依仮説」と前世人格の顕現化仮説

 「自己内憑依とはクライアントの魂表層を構成している前世人格が、現世の肉体を持つクライアントに憑依をし、自己表現する憑依現象を意味する。

したがって、クライアントが口頭で対話する場合、指で返答をして対話する場合、落涙する場合などの「主体」はクライアント自身の意志ではなく、前世人格の意志なのである

こうして肉体を持たない前世人格は、自己の存在をクライアントの肉体を借りて(憑依して)「顕現化」することが可能になる。

その状況証拠として、前世人格が顕現化中のクライアントの催眠状態を「モニターしている顕在意識」は、勝手に口が開いて喋っている勝手に指が動いて返答している勝手に涙が溢れて泣いている、と認識していたと報告する。
こうした、前世人格の顕現化中の変性意識状態で現れる現象を自動発話自動動作と呼び、前世人格が「自己内憑依」を起こし、顕現化している指標の一つとしている。

要するに、「自己内憑依」が起こった結果、「前世人格の顕現化」が可能になる。

「前世記憶の想起」が前提のワイス式前世療法では、「自動発話」、「自動動作」という現象は起きない。
なぜなら、セラピストの対話相手は終始クライアント自身であり、クライアントは前世記憶のイメージを自分自身の記憶として、想起し、語る。
したがって、語る主体は、クライアントであり、前世の人格そのものではないのである。

一般に憑依とは、「当事者以外の第三者の霊が憑依すること」を意味している。
したがって、現世人格の内部(魂表層)に、意識体として存在している前世人格が、生まれ変わりである現世の肉体に憑依する、という意識現象はこれまで知られていない。

SAM催眠学では、これまでの第三者の霊の憑依と明確に区別するために、独自・固有の概念を持つ用語としてあらたに自己内憑依と呼ぶことにした。