2018年1月5日金曜日

「ポスト物質主義科学」へのパラダイムシフトは進むか

   SAM催眠学序説 その109


精神医学・大脳生理学などの科学の主流では、物質である脳が意識を生み出していることが当然の常識として前提されています。
そのため、意識の源である脳さえ研究すれば、意識の発生メカニズムがわかると唯物論科学者らは信じています。
しかし、これまで決定的な成果はあがってないどころか、彼らの信念を揺るがすような臨死体験や応答型真性異言などの反唯物論的現象が報告されています。

意識は脳の随伴現象であり、脳の消滅とともに意識も消滅してしまえば、生前に経験されたものはすべて棄却されてしまう、という言説(帰無仮説)は、唯物論科学の立場から、その立場上構成されている「信念」や「主張」であって、この信念・主張が科学的に確定された手続きによって、検証・証明されたものではありません。


意識はそもそも非物質であるため、既存の物質科学では理解できず、さらに意識内容そのものを検出する科学機器も存在せず、したがって、意識体験者の報告に頼るほかありません。こうして意識は物質科学の対象として認めることができないと考えられてきました。

意識のメカニズムを解明できない物質的な科学主義の行き詰まりを打開するため、米アリゾナ大学医学部精神科の教授で、「意識と健康の科学の先進に向けた研究所」の所長も務めるゲイリー・シュワルツ教授は、「ポスト物質主義科学マニフェスト18条」を示しパラダイムシフトを提起しています。


ゲイリー・シュワルツ教授のこの主張は、科学の諸領域で確認されてきた超常諸現象に基づく「心・脳の二元論」の主張であるとも理解できるでしょう。

そして、生まれ変わりの科学的研究の先駆者イアン・スティーヴンソンの次のような考え方と重なっています。
「肉体のない世界はどこにあるか、と問われれば私は、私たちが肉体と結びついている現世で、誰もが持っている心理的空間の中に存在すると答える。ここでまとめると、宇宙には、物理的世界と心理的(ないし心霊的)世界の二つがあるのではないか、と私は言おうとしているのである。(とは言え、その指摘は私が最初だなどと主張する気は毛頭ない。)この二つの世界は相互に影響を及ぼし合う」


「ポスト物質主義科学マニフェスト18条」(抄訳)

第1条
近代科学の世界観は、物質主義や還元主義に則っている。

第2条
19世紀にこれらの前提は科学的物質主義というドグマになり、精神は脳の物質的活動に還元され、意識・思考は脳や身体など物質世界に影響することがないとされた。

第3条
20世紀には科学的物質主義がアカデミズムの常識となり、多くの科学者が世界の物質的理解のみが合理的な科学的思考だと信じるようになった。

第4条
科学的物質主義は自然の理解に大きな進歩をもたらすのみならず、科学技術の発展を通して自然の抑制や自由を人類にもたらした。

第5条
しかし同時に、科学的物質主義は科学を極端に限定し、精神やスピリチュアリティの探究を阻むものとなっている。

第6条
本来の科学は観察・実験・理論を通して自然を探究する史上初の非ドグマ的方法である。そして、科学的方法は物質主義とイコールではない。

第7条
量子力学の分野では、観察者の意識が物質世界に影響を与えることが判明した。このことで、物質は現実に存在する唯一のものではなくなり、自然の理解は意識への言及なしには不可能であることが証明された。

第8条
心理学や精神神経免疫学の分野では、心理的な要素が肉体に多大なる影響を及ぼしていることが判明している。

第9条
超心理学の分野では、精神作用が物質に影響を与えることが研究され、異常や例外として排除できないほど頻繁に超自然的現象が起こることが証明されてきた。

第10条
心臓発作の数秒後に脳の活動が停止するにもかかわらず、心臓発作に伴う臨死体験や、臨死体験が宗教経験を引き起こす例が頻繁に報告されてきた。

第11条
霊能者が故人の情報を正確に言い当てることが、厳密な実験でも明らかになっている。精神は肉体とは別に存在している可能性が示唆されている。

第12条
物質主義に偏った科学者や哲学者は、物質的に解明できない現象を否定する。そういった非物質的現象は彼らが持つ排他的な世界認識と相容れない。しかし、これらの諸現象を否定したり、ポスト物質主義を支持するような科学的発見の公表を差し控えることは、科学的探究の精神に反する。従来の科学の理論や信念に合わないデータが排除されてはならない。そのような態度は科学ではなくイデオロギーである

第13条
超能力、臨死体験、霊との通信などが異常に見えるのは、物理主義の観点からのみである。

第14条
物理主義は、脳から意識が生まれる仕組みの解明に失敗している。今こそ物理主義の束縛から抜け出し、自然世界の概念を拡張し、ポスト物質主義のパラダイムを受け入れるべきである。

第15条
①)精神は物質世界と同程度に現実的である。精神は宇宙の基本的要素である(物質に由来せず、物質に還元することもできない)。

②精神と物質世界には深く相互に結びついている。

③精神は物質世界の状態に影響を与え、空間的な制約を受けない(脳や身体などに精神があるわけではない)。

④全ての精神は、ただ一つの精神に包括されている。

⑤臨死体験では、脳は精神活動のトランシーバーのような役割を担っている。つまり、精神は脳を通して活動するが、脳から生み出されたわけでない。臨死体験では肉体の死後も意識(精神)が残っていることが分かっている。

⑥科学者は、精神や精神的経験の探究を恐れるべきではない。なぜなら、精神は人間存在の中心的側面であるから。

第16条
ポスト物質主義科学は、これまでに獲得された科学知識を否定せず、世界の重要な構成要素として物質を包含する。

第17条
ポスト物質主義パラダイムは、我々の自己認識を根本から変え、人間として、科学者としての尊厳と権能を取り戻すものである。世界の非物質的理解は古代の宗教伝統や生活実践にも見られてものであり、我々はその事実から目をそむけてきたにすぎない。

第18条
物質主義からポスト物質主義への移行は、コペルニクス革命よりも重要なものとなるだろう。
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「意識」の問題については、私あて第8霊信(2007年1月)で次のように私の守護霊を名乗る通信霊が告げています。

「あなたがこれまで今生を通し、より強い興味や探究心を引きつけるものを、あなたはそこで理解していた。すべては『意識』であると理解していた。言葉としての「意識」をあなたは理解している。だが、それの本質はまだ理解に及んでいない。あなたが覚醒するにしたがって、それは思い出されるものとなる。・・・あなたが『なぜか』と考えること、疑うことは、あなた自身が生じさせる思考であると同時に、私たちが投げかけている課題なのだと理解しなさい。あなたが催眠を深く探究したのと同じように、これからあなたは多くのものについて知ることとなる」

私の「意識の本質」への理解は、この霊信から10年後の現在でも、ほとんど進んではいないことを認めないわけにはいきません。
きわめて深い催眠事態にあらわれる意識現象の事実の累積は、「意識の本質」の深淵をますます露わにし、意識の謎を深めるばかりです。

ただし、ここに紹介した、アカデミズムに所属する ゲイリー・シュワルツ教授のような識者からポスト物質主義の提起が堂々とされたことに勇気づけられて、催眠という切り口から潜在意識の本質をこれからも探究し続けていこうと思います。