2021年2月3日水曜日

「意識」はどこで生み出されどこに存在するのか

                  SAM催眠学序説 その137

 

「意識」はどこで生み出され、どこに存在するのか 、この問題は「SAM催眠学」とそれにもとづく「SAM前世療法」にとって根底にある最大の問題であり、現代唯物論科学において今でも未解決のままの問題です。

「生まれ変わり」の実証的探究を志すわたしの基本的立場は、意識は脳では生み出されてはいないはずであり、脳以外のどこかで生み出された意識は、脳以外のどこかに存在しているはずだということでした。

こうした立場を「心と脳の二元論」と言います。もし、脳(肉体)の死によって、すべてが無に帰するとしたら、「生まれ変わり」という現象は説明できないからです。

死によってすべてが無に帰する、という考え方を「帰無仮説」と言います。「帰無仮説」は脳が意識を生み出している、という「心と脳の一元論」に立っています。

「心と脳の一元論」の妥当性について、2006年当時、わたしは次のように述べて批判しています。

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 一般に信じられている言説、つまり、心は脳の随伴現象であり、脳の消滅とともに心も消滅してしまえば、生前に経験されたものはすべて棄却されることになる、という言説は、唯物論科学の立場からその立場上構成されている「信念」や「主張」をそのまま表現したものであって、その言説自体は、科学的に確定された手続きによって、検証・証明されたものではないのです。(稲垣勝巳『前世療法の探究』春秋社、2006、P.245)

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2006年から14年後の現在も、私の 「心と脳の二元論」の立場は揺らぐことはありません。そして、この14年間に「心と脳の二元論」と死後の世界の可能性が、医学や量子物理学の研究者から主張されるようになっているようです。                          

そうした主張を、サイト『トカナ』と『カレイドスコープ』から引用・抜粋して紹介します。                               

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サイト 『トカナ』より引用・抜粋

 米「タイム」誌の「世界で最も影響力がある100人(2014年度)」にも選ばれた、再生医療の専門家ロバート・ランザ博士が、死後の世界を肯定する発言をしていたことが判明した。

■量子論と意識の奇妙な関係

 米ニュースサイト「Collective Evolution」(1月14日付)によると、ランザ博士は著書「Biocentrism: How Life and Consciousness Are the Keys to Understanding the True Nature of the Universe(生命中心主義:いかに生命と意識が宇宙の本質を理解するための鍵であるか)」において、物質ではなく生命と意識こそ現実理解のための基礎的な要素であると断言、意識は肉体的な死とは別物である上、脳が意識を生み出しているわけではないと主張しているというのだ! 随分と大胆な説であるが、ランザ博士によると、量子力学の「二重スリット実験」を例にとれば、簡単に理解できるという。

 量子論の世界では、最も基本的な思考原理である矛盾律(AがB、かつ非Bであることはない)が通用しない状態である「量子の重ね合わせ」が長らく世界中の科学者を悩ませてきた。「二重スリット実験」では、2つのスリット(細長い穴)を通った電子が壁に衝突して作る痕跡をもとに電子が波なのか粒子なのか確定されるはずだったが、観察者がいない場合、電子は“波”の性質に見られる干渉縞を作り、観察者がいる場合、“粒子”に見られる痕跡を残すという “非科学的な”事態が生じたことで大問題となる。つまり、電子は「波であり、波じゃない」、「粒子であり、粒子じゃない」という矛盾する性質を抱えていることが判明したのだ。

「死後の世界」が存在することが量子論で判明! 米有名科学者「脳は意識の受け皿にすぎない」の画像2二重スリット実験。観察者有、粒子パターン(上)、観察者無、波パターン(下)「Daily Mail」より引用

 ここで問題となるのは何より「観察者」の存在だ。物理的世界に直接の影響力を持ちそうもない「観察」という“意識的な”行為が、どういうわけか量子レベルでは大きな影響力を持ってしまっているのである。このことを量子論の生みの親であるマックス・プランクは、「意識は物質よりも根源的で、物質は意識の派生物に過ぎない」と驚きを持って受け入れ、ノーベル物理学賞を受賞した理論物理学者ユージン・ウィグナーも「意識に言及することなしに、量子論の法則を定式化することは不可能だった」と語っている。

 もし全宇宙から人間を含めた意識を持つ者が全て絶滅しても、宇宙は存在するだろうか? 常識的に考えれば、一切の生命がいなくなっても物質世界は存在していると思われるが、ランザ博士はそう考えない。なぜなら、二重スリット実験で示されたように、意識が物質世界よりも根源的だと考えるからだ。

■心が物質をつくる

 この論理に従うと、肉体(物質)と意識の因果関係が逆転する。つまり、意識が現実を生み出しているならば、発生の順番が脳(物質)→意識ではなく、意識→脳(物質)でなければならないため、肉体(物質)が死んでも、意識まで消滅する必要はない。こうして死後の(意識)世界が認められるというわけだ。

 オカルト的には随分と魅力的な仮説であるが、意識がいかにして物質世界を作り出しているのか、その原理はまだ分かっていない。そもそも科学はおろか、哲学においても「意識とは何か?」という根本的な問いにさえ答えることができていないのが現状である。意外と魂の不滅を認めるキリスト教や、輪廻転生を絶対的事実とするヒンドゥー教などの方が、科学よりもずっと真実に近いのかもしれない。

 

 サイト 『カレイドスコープ』より引用・抜粋

 オランダの心臓外科医ピム・ファン・ロンメルの主張

「人間の意識は肉体の中にあるのではない。 脳とは、肉体の外にある意識と肉体をつなぐ装置である。
脳は単なる意識を受け取る受信装置に過ぎず、その意識は時空を超えた特別な場所に存在している」。

その上、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校付属病院の医師であるサム・パーニアが指摘しているように、何人かの臨死体験を経験した患者の酸素レベルは正常で、臨死体験をしている間中、臨終状態ではなかったのです。
(彼の蘇生技術は素晴らしく、ニューヨーク病院の心停止蘇生率を2倍にしたほどです)。

パーニアは、「患者の酸素レベルを落とすことは、急性錯乱状態を引き起こすことにつながっており、臨死体験をした患者が明瞭な意識を持った状態で証言した内容と矛盾する」と述べています。

「生と死の狭間には、それを遮断する壁のようなものがあるわけではなく、死とはプロセスである」。

現在はっきりしているのは、人間の意識が消滅するわけではないということだ

「意識は”死”のあとも、数時間は存続する。外側からは見ることができない冬眠的状態であるとしても」。
心臓蘇生の世界的権威サム・パーニアの主張
「生と死の狭間には、それを遮断する壁のようなものがあるわけではなく、死とはプロセスである」。

「現在はっきりしているのは、人間の意識が消滅するわけではないということだ」。

「意識は”死”のあとも、数時間は存続する。外側からは見ることができない冬眠的状態であるとしても」。

( 「脳波停止の後」に残る意識:蘇生医療の最前線から WIRED 2013年5月2日)

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これまで紹介した記事は、「心と脳の二元論」を証明する強力な主張ですが、意識がどこで生まれ、どこに存在しているかについては何も語られていません。           

ロンメルの主張するように「意識」は時空を超えた特別な場所に存在している、と言われてもその「特別な場所」がどこであるかが特定されて初めて、前世療法遂行のための操作的定義として生かすことが可能になります。

 同様にサム・パーニアの主張の人間の意識が消滅するわけではないということだと言われてても、死後も消滅しない意識はどこに存在しているかが特定されない限り、前世療法遂行の臨床の場での有用性はありません。

それに彼らは、意識の不滅を主張しても、その意識が再び新しい肉体に宿ること、つまり「生まれ変わり」については何も語ってはいません。

それでは「生まれ変わり」の科学的研究の泰斗であるイアン・スティーヴンソンはどのように「生まれ変わり」について考えているのでしょうか。 

彼の著書から引用して下記に紹介します。

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前世から来世へとある人格の心的要素を運搬する媒体を「心搬体(サイコフォア)と呼ぶことにしたらどうかと思う。私は心搬体がどのような配列になっているかは全く知らないけれども、肉体のない人格がある種の経験を積み、活動を停止していないとすれば、心搬体は変化して行くのではないかと思う。(イアン・スティーヴンソン『前世を記憶する子どもたち』日本教文社、1989、P.359

 

こうした肉体のない世界はどこにあるのか、と問われれば私は、私たちが肉体と結びついている現世で、誰もが持っている心理的空間の中に存在すると答える

ここでまとめると、宇宙には、物理的世界と心理的(ないし心霊的)世界の少なくとも二つがあるのではないか、と私は言おうとしているのである。この二つの世界は相互に影響を及ぼし合う。私たちが現世にいる間は、肉体と結びついているため、肉体なしには不可能な経験をさせてくれるであろうが、心の働きは制約を受ける。死んだ後には制約から解き放たれるので、心理的世界のみで暮らすことになるであろう。そして、その世界でしばらく生活した後、その人たちの一部、あるいはもしかするとその全員が、新しい肉体と結びつくかもしれない。それを指して私たちは生まれ変わったと称するのである(前掲書P.353)

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スティーヴンソンは、前世から来世へとある人格の心的要素を運搬する媒体を心搬体(サイコフォア)と呼ぶことにしたらどうか、と提案していますが、これはいわゆる「魂」という名称から宗教的色合いを脱色した科学的用語として用いようとしたと解され、実質は「魂」と同義語でしょう。                     

その心搬体=魂は、心理的空間の中に存在すると考えています。また、心理的(ないし心霊的)世界、とも言っていますから、心理的空間の世界は、いわゆる「霊界」を指していると思われます。そして、死後の魂は、霊界でしばらく生活した後、魂が新しい肉体と結びつくことを「生まれ変わった」と称すると言っています。

こうした彼の、「魂」と「生まれ変わり」についての関係への考え方は、わたしの考え方と一致しています。

しかし、魂の存在場所は示されていますが、意識がどこで生み出されているかについては触れていません。

 

さて、SAM催眠学では、「わたしあて霊信」の告げている「魂の二層構成仮説」を作業仮説として採用し、意識を生み出しているのは、魂表層を構成している前世の者たちである、と考えています。
また、霊信では、生み出された意識は、「霊体」に宿っており、霊体は「オーラ」とも呼ばれる、と告げられています。 

この霊信の告げている「魂の二層構成仮説」を理解しやすいように、円を用いて二次元モデルの模式図にしたものが下図です。

 

  「魂の二層構成とその転生の模式図]


左から右への矢印→は時間軸を意味しています。
大円である魂の核Xの下に引いてある接線は、魂表層の「前世の人格」と、肉体を持つ「現世の人格」の区別のための補助線です。
つまり、接線より下の小円が肉体に宿る現世の人格になります。
接線より上の小円が、死者であり肉体のない前世の人格です。
 

したがって、右端の3つ目の模式図を例にとると、魂表層の現世人格小円Cは、小円Aと小円Bの二つの前世人格とともに、3回目の現世の人生を送っている魂をあらわしています。
意識は、魂表層の小円A、小円Bの二つの前世人格たちと、小円Cの現世人格が生み出しているというわけです。

魂の転生の仕組みを模式図の時間軸にしたがって説明してみましょう。

魂の核大円(X)は、最初の肉体に宿ると、その表層に小円という現世人格を生み出す。(左端の図)

現世人格はその肉体の死後、魂の核である大円(X)の表層を構成する前世人格小円Aとして位置づき、死後も魂表層に存在し続ける。(真ん中の図)

そして魂は、次の来世の肉体に宿ると、新たに小円という現世人格を魂表層に生み出す。(真ん中の図)

さらに小円Bという現世人格は、肉体の死後魂表層の前世人格小円Bとして位置づき、先に位置付いている前世人格小円Aとともに魂表層を構成し死後存続する。(右端の図)

次の来世では小円Cという現世人格を魂表層に生み出し、先に表層に位置づいている前世人格小円A・小円Bとともに魂表層を構成する。(右端の図)

このように、魂の核であるは、新しい肉体を得るたびに前世人格を魂表層に次々に位置づけ魂表層の構成単位として包含し、転生して行きます。
かつては現世人格であった・BC・・・は死後も、それぞれの生前の人格、個性、記憶など「心的要素」を保ちながら、魂の核とともに魂の表層を構成するそれぞれの諸前世人格として死後も存続していくことになります。
これを「魂の二層構成仮説」と呼びます。つまり、「核となる意識体」と、その表層を構成している諸前世人格の二層を合わせた全体を「魂」と呼びます。

こうして、「生まれ変わり」の回数分だけの前世の諸人格が、現世人格とともに魂の表層を構成する意識体として死後存続している、というのがSAM前世療法で確認できた「意識現象の事実」の累積によってが明らかなってきた魂の構成とその転生の仕組みです。

なお、魂の核であるについて、霊信では「ある意識体」としか告げていません。

 

こうした「魂の二層構成仮説」によって構築された前世療法が「SAM前世療法」です。  

そして、魂(Soul)の状態に接近する(Approach)方法(Method)による前世療法として、ほかの前世療法とは仮説も催眠技法ともに一線を画した独自、固有の前世療法として、わたしは「SAM前世療法」と称しています。

この「SAM前世療法」によって、「魂の二層構成仮説」という生まれ変わりの作業仮説の妥当性が検証された明確な事例が「タエの事例」と「ラタラジューの事例」です。     

特筆すべきは「ラタラジューの事例」で、生まれ変わりの科学的証拠として最有力とされる「応答型真性異言」現象が確認されたことです。                   

科学的検証がされた「応答型真性異言」は、これまで世界で4例しかなく、「ラタラジューの事例」は世界で5例目であり、21世紀最初の事例であり、応答型真性異言(ネパール語)発話中の撮影に世界で初めて成功した事例であるということです。 

「タエの事例」は2006年10月、「ラタラジューの事例」は2010年8月に、フジTVの番組『奇跡体験アンビリバボー前世スペシャル』でそれぞれ25分、60分放映されました。                                       

また、両事例は『前世療法の探究』春秋社、『生まれ変わりが科学的に証明された』ナチュラルスピリット社、から出版しましたが、現在は書店での入手は不可能で、ネット上で中古希少本として出版時の5倍以上の高値で売られているようです。

なお、両事例のセッション動画(「ラタラジューの事例」は英語版もあり)はyou-tubeで公開しており、このブログ記事枠外の右肩にリンク先が張ってありますのでどうぞご覧ください。

わたしあて「霊信」は、本ブログ『SAM催眠学序説その48~71』で、「タエの事例」の逐語録と解説は、その35~39で、「ラタジューの事例」の逐語録と解説は、その20~32で公開しています。