2012年1月5日木曜日

SAM前世療法の今後の展望

今後の展望
SAM前世療法は、「魂の表層は前世人格のものたちから構成されている」など直接の実証が不可能な、いくつかの作業仮説に基づく極めて霊的な療法です。
それは、この前世療法の誕生が、筆者あての霊信が告げた、魂の二層構造や脳と潜在意識の関係などの真偽を検証するための諸作業仮説から成っており、仮説検証の過程で療法としての技法が定式化されていった、という特異な経緯を持っているからです。
したがって、SAM前世療法の成否は、霊信を送ってきた守護霊団が実在していることの間接的立証にも直結している、と筆者は考えておこなってきました。
SAM前世療法の前提は霊信内容を作業仮説としていますから、その作業仮説が成り立てば、それを通信してきた霊団の間接的実在証明になるだろうと考えたわけです。
そして、現時点での500事例ほどの検証の結果では、少なくともクライアントの意識現象の事実として、魂状態の自覚に至ること、それへと至れば魂の表層に存在する前世人格が呼び出しに応じて顕現化し、その前世の人生を語るということが起こることが確認されています。
その一つの実験的事例として、魂の表層から呼び出したラタラジューの前世人格が真性異言で会話するに至って、前世に実在した人物が魂の表層に当時の人格を保って存在している、という霊からの通信が受信者M子さんの妄想や創作ではなく、通信霊の実在を認めることにためらうことはない、とますます思うようになりました。
このことは、霊の実在と霊との交信が可能なこと、生まれ変わりの事実を認めることなどを霊的真理として標榜する近代スピリチュアリズムと、SAM前世療法が明らかにしてきた事実がぴったり重なってきたと言うことができます。
「潜在意識に存在するであろう前世の記憶を想起する」という発想ではなく、「魂の表層に存在している前世人格を呼び出し語らせる」、という明確な作業仮説によるSAM前世療法を、筆者だけの療法に終わらせず、追試できる後継者を育てるとともに、事例の累積によるさらなる検証が必須の作業だと思います。その結果、作業仮説の信憑性は、さらに明らかになっていく可能性が期待できると思われます。
そして、SAM前世療法の真にスピリチュアルなプロセスを促進するためには、クライアントの前世人格の語りに現れた事実をあるがまま受け止め、クライアントのモニター意識が、それから汲み取る意味深い学びを(叡智の学び)を、見守り、支え、自らの霊的気づきの可能性を開いていけるように、中立で柔軟な態度を保ち続けることであると思っています。
また、「魂の自覚」や「守護的存在者からの啓示」などの体験の過程を重視していくことを進めることによって、さらに新たな前世療法の技法と形式が生まれてくる可能性があるかもしれないと考えています。
今後の実践のなかで、「タエの事例」「ラタラジューの事例」のように検証可能な事例に偶発的に遭遇した場合には、その綿密な検証と分析がさらに累積されていくべきでしょう。
また、私たち研究チームのような、生まれ変わり仮説(死後存続仮説)の検証を志す臨床家と研究者が学際的に連携するチームが他にも結成され、そうした検証と分析の検討が蓄積され、その成果の相互交流がなされていけば、前世に対して多くのクライアントの抱く「主観的真実」が、フィクションであるのか、「客観的真実」であるのか、あるいは真実とフィクションが混在されたものであるのかが、徐々に明らかになっていくだろうと思われます。
ただし、こうした偶発例が出るのを待つ、あるいは探すというこの種の粘り強い研究には、志を支えるに足る忍耐力が必要であり、他の研究とはまた違う意味で困難を伴う研究になることは言うまでもありません。
また、前世療法後のクライエントの一定期間にわたる追跡調査をおこない、改善はどの程度持続したのか、その持続はなぜ可能になったかを明かにしていく必要もあるでしょう。
そして、これらの検討が臨床家と研究者によって着実に積み上げられていくとき、前世療法の有効性とそれをもたらす治療構造の輪郭が、いつの日か明確になっていくことが期待できるのではないかと思います。
筆者が抱く最大の謎は、顕在意識・潜在意識があることは誰にでも自明であるにもかかわらず、それがどこから生み出され、どこにその座があるのかが不明であるということです。
現在の脳科学でも、これに関わる研究はまだ手つかずと言ってよいようです。
この謎が解かれるのは今世紀末まで、あるいはそれ以上の時間が必要かもしれません。
SAM前世療法の作業仮説の検証は、この謎解きの一端になるかもしれませんし、あるいはこの作業仮説が、とんでもない迷妄であることを明らかにするかもしれません。
いずれにせよ、課題は山積し、それらの探究はまだほんの緒についたばかりです。

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