SAM催眠学序説 その33
SAM前世療法は、SAM催眠学の諸作業仮説によって構成された世界に類のない前世療法です。
一般の前世療法の前提とする、クライアントの「前世の記憶」を想起させる、という方法論をとりません。
クライアントの魂表層に存在している「前世の人格」を呼び出し、前世人格と対話する、という方法論によってセッションを展開します。
このSAM前世療法の有効性は、クライアントからの諸事後報告によって実証されてきましたが、ごく最近、セッション後1時間以内に改善効果があらわれたという報告を受けました。
改善報告は、主訴によってその改善効果のあらわれる経過時間がまちまちですから、これぞ間違いなくSAM前世療法の改善効果だと断定することがなかなかできにくい面があります。
しかし、セッション後1時間以内に顕著な改善効果が出たというならば、セッションによる効果以外の何らかの他の改善効果が混入することは、まずありえないと判断することができます。
そこで、まず、SAM前世療法の作業仮説の概要を述べ、次いでセッションを受けたクライアントの改善報告を掲載します。
2007年1月23日~25日の私あて第12~14霊信では、次のように告げてきました。
「意識・潜在意識は、魂の表層を構成している前世の人格たちがつくり出している。
前世の人格たちは、当時の感情そのままで今も生きている。
彼らは互いに友愛を結び、それぞれの人生で得た知恵を分かち合っている。
こうして魂の表層全体は、成長進化へ向かうように仕組まれている。
現世の「私」という人格も魂の表層の一つである。
こうして、魂の表層を構成する一つである「私」は、他の前世の人格たちの影響を良かれ悪しかれ受けないわけにはいかない。
以上が、SAM催眠学の提唱する「魂の二層構造仮説」です。
意識・潜在意識は、脳の付随現象ではなく、魂表層の前世のものたちがつくり出している、というのがSAM催眠学の「魂の二層構造仮説」でした。
それではつくり出されている意識・潜在意識の宿っているのはいったいどこでしょうか。
それに答えるのが、下記の「霊体仮説」です。
意識・潜在意識は「霊体」に宿っている。
霊体は、肉体と魂を守るために、くまなく肉体を覆う透明な防護服のような働きをしている。
霊体の色が、オーラである。
霊体は肉体と共通する要素を持ち、肉体と密接につながっている。
したがって、霊体に宿っている潜在意識を、肉体のどこにでも宿らせることが可能である。
以上を、SAM催眠学の提唱する「霊体仮説」と呼んでいます。
SAM前世療法は、SAM催眠学の作業仮説である「魂の二層構造仮説」「霊体仮説」を骨格として成り立っている前世療法です。
さて、以下は「階段降下恐怖症」とでも呼べる恐怖症が主訴で訪れた46歳公務員女性クライアントの、SAM前世療法セッション5日後の報告です。
一般的にはこうした恐怖症の生じたエピソードが生育歴の中にある場合には、系統的脱感作法(イメージ減感法)を用いますが、このクライアントには、生育歴の中で階段降下恐怖症となるエピソードの心当たりが全くないということなので、前世人格が引き起こしている可能性ありという判断によって、SAM前世療法を実施しました。
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今回のセッションでは、若い頃から「降り階段やエスカレーターが怖い」ということに関係のある前世の者を呼び出していただきましたが、その後の効果にびっくりです!!
セッションを終えたあと、先生のお宅から帰宅する途中の犬山駅で、電車の乗り換えのため急いでホームを渡ったのですが、途中にある降り階段を、全く意識せずに降り切りました。
電車に乗ってから、階段を降りたことに気づきました。
そのあと鵜沼駅の長い降り階段を、意識して下を見てから降りてみましたが、見た時「わっ、高い」と思っただけで、普通に降りられました。
今まで感じていた、めまいや足元のふらつきも、このところ感じません。
体から、何かが抜けたような感じです。
毎朝毎晩、駅の階段を降りるのがストレスでしたので、改善されてとても感謝しております。
今回出てきた前世の者は、元寇の時日本に来て、海に落ちたモンゴル人で名前はコーエンとのことでしたが、そういう人格が出てくるとは思っていませんでしたので、最初戸惑いました。
それでも口は勝手に喋って、しかも死後の世界まで色々語るので、現世の私は、そんなことを語って大丈夫なのかと心配になっていましたが…。
この前世の者はオルゴールを聞いている頃に、私の肉体の中に入ってきたのだと思います。
知覚催眠の確認テストの頃には、もういつでも喋り出しそうな感覚でしたので、「もうちょっと待って」と心の中で呼び掛けて、待ってもらいました。
指に宿った潜在意識が魂状態に導くまで、しばらく指が動いたので、その時はまだ魂に戻ってはいなかったと思います。
それを考えると魂表層の前世の者の憑依は、魂状態に戻っていなくても、起こることもあるのかもしれないと思いました。
そういえば、階段を降りる時に感じためまいや足元のふらつきは、鎧兜の重さや船の揺れによるものと似ているような気がしましたし、もしかしたら前世の者からの警告も、憑依に近い状態なのかもしれないと思います。
だからセッションの後、体から何か抜けた感じがしたのでは?
私も今回のセッションでは、SAM前世療法の効果に本当に驚いています。
前世人格の警告によって何らかの症状が起こり、その前世人格を説得することで改善するということを、身をもって体験いたしました。
他にも今回のセッションで、不思議に感じたことがありましたが、それはまた次回お会いしました時に、お話できればと思います。
それにしても、現世の私は780番目の転生ということで、魂の表層だけで村ができそうですよね。
魂とはどんなものか、ますます興味を持ちました。
私は元々、前世療法に興味を持ったことから、カウンセリングやスピリチュアルの勉強を始めました。
巡り巡って稲垣先生にお会いできましたことを、大変嬉しく、またありがたく感じております。
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当研究室から最寄りの名鉄電車「日本ライン今渡駅」まで徒歩7分、「日本ライン今渡駅」から「犬山駅」まで15分ですから、セッション後約30分の犬山駅において、陸橋から乗り換えホームへ階段を降下する時点で、恐怖症が改善されていたことになります。
「今まで感じていた、めまいや足元のふらつきも、このところ感じません。体から、何かが抜けたような感じです」とあるように、改善効果は5日経過しても損なわれていないということです。
ある心理療法研究者の心理療法による治癒要因の統計データによると、治療外の要因(偶然の出来事、クライアントの能力)40%、教育的要因(関係性の要因、相性)30%、プラシーボ効果15%、技法15%となっています。
この治癒要因データを認めるなら、治癒要因の85%は技法以外の要因によるものであり、つまりは、どのような技法を用いても改善効果には大差なし、ということになるでしょう。
換言すれば、このクライアントの階段降下恐怖症が改善しても、SAM前世療法という催眠技法による改善効果の占める割合は、15%でしかないということになります。
しかし、私には、クライアントの前世人格 コーエンと名乗った蒙古軍兵士が元寇の折り、激浪の海に船から振り落とされ水死した、その恐怖と、その前世人格コーエンが生まれ変わりである現世のクライアントを守るために、高い所から降下するときは危険だという過剰な警告を発していたことが明らかになったというSAM前世療法のセッション展開によって、その30分後には階段降下恐怖症に顕著な改善をもたらした、つまり、治癒要因のすべてとは言えないまでも、その多くを占めるSAM前世療法の効果によって改善が起きた、と判断することが妥当だと思われます。