2014年10月24日金曜日

「ラタラジューの事例」セッション逐語録4

   SAM催眠学序説 その26

ここからは、私と交代した対話者ネパール人女性カルパナさんのネパール語の質問に対して、顕現化したラタラジュー人格が、ネパール語で応答する応答型真性異言のセッションということになります。
ちなみに、ラタラジューのネパール語会話時間は24分間でした。

 前世人格ラタラジューのネパール語会話の評価について、3点の留意点を述べてみます。

①被験者里沙さんとネパール人女性対話者パウデル・カルパナさんとの事前の面識および、打ち合わせは一切ありません。私とカルパナさんとも事前の面識および打ち合わせも一切ありません。
カルパナさんを捜し出し、ネパール語対話者としてセットしたのは、中部大学大門正幸教授であり、セッション直前まで里沙さんも私も、カルパナさんについての情報は一切知らされていません。

②ラタラジューの父親はタマン族だと彼が述べており、ラタラジューが育ったであろうナル村の住民も2010年現在において97%がタマン族の村でした。
したがって、ラタラジューの母語はタマン語であり、ネパール語の運用能力が、十分ではないであろうと思われます。
したがって、会話中のネパール語単語で理解できない単語もあるでしょうし、よく似た発音を聞き間違え、別の意味に取り違えていることもあるでしょう。
こうした前提を踏まえてラタラジューのネパール語会話を評価する必要があります。

③ラタラジューは78年の生涯を送っています。
この78年の生涯のうち、どの時点であるかの特定のない質問には、ラタラジューは答えようがなく、したがって「解りません」、「知りません」などの回答になっていると推測できます。
たとえば、「あなたはどこに住んでいましたか?」の質問では答えようがなく、「30歳の時にどこに住んでいましたか?」という年齢を特定された質問であれば、「カトマンズです」と答えるといった具合になります。
このように、カルパナさんの質問には、年齢不特定の内容がかなりあり、ラタラジューには答えようがなかったと推測できます。
あるいは、ネパール語単語の意味が理解できず、質問の意味内容が「解りません」と答えていることもあると推測できます。


なお、次に紹介するセッション逐語録の「KA」はカルパナさん、「CL」は被験者里沙さんの意味です。
また、ネパール語発音はローマ表記とし、下( )内はその和訳です。

このネパール語会話部分の聴き取りと発話のローマ字表記については、朝日大学法学部博士課程留学生、ネパール語対話者パウデル・カルパナさんと、同じくネパール語を母語とする中部大学客員研究員カナル・キソル・チャンドラ博士の全面的ご協力をいただきました。



KA Tapaiko nam ke ho?  Nam ke ho tapaiko.
   (あなたのお名前は何ですか? お名前は何ですか、あなたの)

CL  Mero nam. Rataraju.
   (私の名前はラタラジュー)

KA  Kati barsa hunu bho?  Kati barsa hunu bho?
   (お年はいくつですか? お年はいくつですか?)
注:78年の生涯をもつラタラジューが、「お年はいくつ?」と尋ねられてもラタラジューは答えようがない。

CL  Ke.
   (何?)

KA  Umeru.
   (お年)

CL  Umeru.  Ah, umeru. Rana ... ah ... u ... a ... tis ... mero umeru ... umeru tis .
   (年、私の年は、ラナ、あー、30)
注:「ラナ」とはシャハ王朝を実質支配したネパール宰相家のこと。30歳の時にラナ家に関わる何かについて思い出していると推測できる。さらに、ラタラジューは日本語会話で「戦いました。・・・ラナ・・・シャハ・・・ラナ、戦いをした」と語っていることから、30歳のときにラナ家に関わった戦いをした、と推測できる。なお、ラナ家は独裁権力を握るために、1846年に有力貴族を殺害する権力闘争を起こしている。このときにタマン族青年が傭兵として戦った史実がある。これらのことより、1846年ラタラジュー30歳のときに、ラナ家の権力闘争に傭兵として参戦したと推測できる。



KA  Umer kati bhayo tapaiko? Tis barsa hunubho?
   (あなたのお年はいくつですか、あなたは30ですか?)
注:78年の生涯をもつラタラジューが「あなたは30ですか?」と尋ねられても答えようがないと思われる。「30の時にどこで何をしていましたか?」という問いであれば答えたであろう。


CL  ah ...
   (あー)

KA  Tapaiko pariwarma ko ko hunuhuncha?  Tapaiko pariwarma?  Jahan cha ki chaina   gharma
 (あなたの家族には誰がいますか? あなたの家族には。家に奥さんはいますか、いませんか?)

CL  Ah. Ke
   (あー、何?)

KA  Gharma shrimati hunuhuncha ki hunuhunna.
   (家に奥さんはいますか、いませんか?)
注:ラタラジューは、カルパナさんの質問のGharma(家)の意味が理解できない、あるいはdharma(宗教)の発音と聞き間違えている可能性が強い。このことは、もう少しあとの対話でも、「Gharma(家)では何を食べていますか」という問いに「シバ(シバ神)・・・dharma(宗教)」と答えていることから、ほぼ間違いないと思われる。また、一昔前のネパール人であるラタラジューには、shrimati(現代ネパール語の妻)の意味が理解できない。こうしたことから、ラタラジューには問いの意味が理解できず、Bujina (わかりません)と答えるしかなかったと推測できる。 

CL  ha ... ha ... Ma ... Bujina .
   (は、は、私、分かりません)

KA  Bujnubhaena?
   (分かりませんか?)

CL  Ah.
      (あー)

KA  Tapaiko chorako name ke re?
   (あなたの息子の名前は何ですか?)

CL  Adiu idya ... ah.
       (アディユ、イディア・・・あー)
注:この回答の意味不明

KA  Chorako nam.
   (息子の名前)

CL  Ah...ah...ke .
   (あーあー、何?)

KA  Chorako nam.Chora chori jana Kati jana?
    (何人の息子と娘がいますか?)

CL  Ah .. ah.. Bujhina.
   (あー、あー、分かりません)

KA  Bujhinubhayena. Chora chori dui jana hoina?
      (分かりませんか。息子と娘二人ですか?)

CL  Ho ... he ... ke ...abou ... oh ...
   (はい。へ、何、アボウ、おー)
注:abouは意味不明の発語。

KA  Tapaiko srimatiko nam ke re?
   (奥さんの名前は何ですか?)

CL  Oh jirali
       (おー、ジラリ)
注:jiraliは意味不明の発語。つまり、srimati(現代ネパール語の妻)が理解できないので、このような意味不明の発語になっていると思われる。

KA  Srimati, swasniko nam?
   (奥さん、奥さんの名前?)
注:カルパナさんは、Srimati, swasniの新旧2つの妻という単語を並べて尋ねている。

CL  Ah ... ah ... mero swasni Ramel...Rameli.
   (あー、あー、私の妻、名前、ラメリ、ラメリ)
注:ラタラジューは現代ネパール語の妻Srimatiが理解できず、一昔前の古いネパール語の妻 swasniは理解できたので、swasni に反応したということになる。この事実は、ラタラジューが100年以上前の古いネパール人であった傍証である。さらに、古いネパール語の妻 swasniという単語を、日本人である里沙さんが学ぶ機会は限りなくゼロに近い。つまり、里沙さんがネパール語を学んでいない、というポリグラフ検査の鑑定結果を裏付ける証拠でもある。


KA  Chorako nam chahi?
   (あなたの息子の名前は何ですか?)

CL  Ah ... ei ... el ... el ... nam ... el ... ei ... kujaus.
   (あー、え、名前、クジャウス)
注:息子がクジャウスで娘がアディスであることは2005年のセッションでも述べている

KA  Kujaus? Chora? Chori?
   (クジャウス? 息子ですか、娘ですか?)

CL  Tiru.
       (チル)
注:TiruはChoraの異形か?

KA  Chora?
   (息子ですか?)

CL  Tiru.
   (チル)

KA  Chori chaki chaina?
   (娘はいますか、いませんか?)

CL  Adis.
   (アディス)

(その27へつづく)

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