SAM前世療法の概念と技法の独自性
1 SAMの意味
SAM前世療法は「サム前世療法」と読みます。
「SAM」のSはソウル(soul)のS、Aはアプローチ(approach)のA、Mはメソッド(method)のMを、それぞれ意味しています。
つまり、「魂状態に接近していく技法による前世療法」という意味で用いています。
なお、「前世」と「過去世」は厳密には違う概念ですが、「前世療法」という語が一般化している事情からSAM前世療法では、過去世も前世もすべて「前世」に統一して用います。
2 他の技法との違い
① ワイス式前世療法の技法
それでは他の前世療法の技法はどうなっているかと言えば、日本でおこなわれているほとんどの前世療法は、ワイス式(ブライアン・ワイスが用いる催眠法)ないし、その変形を用いた技法によって「前世記憶」への接近を図ろうとするものです。
具体的には、前世記憶にもとづく自分の前世のビジョンの想起を試みます。
つまり、現世の記憶を幼児期、胎内まで遡行し(退行催眠)、さらに生まれる前の前世の記憶を想起するために、「階段を降りて扉を開くと、そこは時間も空間も超越した次元に入ります」などの暗示をし、クライアントの前世の記憶の想起へと導き、見えてきたビジョンを報告していく技法です。
終始、セラピスト対クライアントの二者関係でセッションは展開します。
ワイス式においてはその前提となる仮説が不明で、したがって、現れた前世記憶の所在も不明です。
ワイス式セラピストのほとんどが前世の記憶の所在には関心を払わず、前世療法の方法論を支えるための仮説を持っているとは思われません。
したがって、想起された前世の記憶の真偽を検証することを回避し、フィクションであろうが何であろうが、「治ればOK」という態度だと言えます。
そうした理由からでしょうか、ワイス式前世療法であらわれた前世記憶の真偽を、科学的検証にかけたという報告を私は知りません。
もし、ワイス式が「前世記憶」の所在が脳内にあると仮定しているならば、脳の消滅とともに生前の記憶も消滅し無に帰するわけで、「前世記憶」が死後も存続し保持される道理がありません。
つまり、現世から来世へと持ち越される記憶はどこにもないということになるでしょう。
したがって、脳内に前世記憶が局在するという立場をとれば、あらわれた前世記憶は、フィクションによるイメージにほかなりません。
こうした論理的帰結から、日本のアカデミックな催眠関連学会では、あるはずのない前世の記憶を前提とする「前世療法」を正当な心理療法とは認めようとはしません。
したがって、相模女子大石川勇一氏の提案するように、ワイス式は「前世イメージ療法」と呼ぶべきでしょう。
② SAM前世療法の技法
これに対してSAM前世療法では、明確な作業仮説に基づき、SAMの呼び名のとおり直接「魂状態の自覚」へと、潜在意識をひたすら深化・遡行させていく技法を用います。
魂状態の自覚に至ると、体重の感覚が消失し、「ワタシ」としか表現できない、肉体を持たない意識体のみの自覚状態になり、かなりの体験者が、意識体が肉体から離れて浮かんでいる、という感覚になったと報告します。
一種の体外離脱(幽体離脱)が起こっていると考えられる状態になります。
肉体を感じない意識体のみの感覚は、肉体を持たない霊的存在と同様の存在レベルだと思われます。
この「魂状態の自覚」に至ったクライアントに対して、「現世のあなたに大きな影響を与えている前世のものは出ておいでなさい」などの暗示をして、魂の表層を構成している「前世のもの(前世人格)」を呼び出し、彼の人生の記憶を彼から語らせるという対話を展開していくことになります。
前世人格を呼び出した以後は、前世のものとセラピストの対話を、クライアントのモニター意識は、じっと傾聴するという三者関係が展開します。
クライアントの意識状態は、前世人格の意識と、それをモニターしている現世のクライアントの意識の二つの意識が併存状態になります。
③ 両技法の比較
ワイス式の技法では、前世記憶想起の最初の段階は、前世の記憶のイメージを明確化することから始まります。
つまり、「どんなところに立っていますか?」「どんな履き物を履いていますか?」などの質問を重ねていくことによって、前世のイメージを徐々に明らかにしていくことを試みます。
つまり、視覚的イメージを先行させることが一般的におこなわれるということです。
一方、SAMの技法では、最初の質問は「あなたは今、魂の状態に戻っていますか?」、次いで「あなたは魂の表層にあるもののうち現世のものですか? それとも前世のものですか?」と質問を重ねていきます。
そして、「現世のもの」が当事者である場合には、たとえば、「現世のあなたに大きな影響を与えている前世のものは出ておいでなさい」という指示を出して「前世の人格」を呼び出します。
この「前世人格」は、彼の人生の記憶とそれに伴う感情を持つ一個の人格そのものですから、現れた途端に苦悩の記憶を甦らせ泣き出すことも珍しくありません。
つまり、前世を明らかにするために視覚イメージを先行させる必要がなく、最初から前世の人格とその感情が先行してあらわれ出るということが起こります。
前世人格の感情の高まりに応じて、それに関わるビジョンが見えることがあります。
また、魂状態に遡行しているにもかかわらず、「前世のもの」が呼び出しても出てこない場合には、それが存在しない、つまり前世を持たない、現世が最初の人生である若い魂であろうと判断します。
そうしたクライアントがこれまで12名います。
ちなみに、「現世のもの」とは、魂の表層に存在し、クライアントが現世に生まれてから以後の意識・潜在意識を担っているもの、を指しています。
さらに、SAMの技法の際立つ特徴は、魂へと遡行できない原因の一つに「遡行を妨げる霊的存在(未浄化霊の憑依)」を想定し、それが遡行を妨げていると判断できた場合には「浄霊」作業をおこないます。
あくまでクライアントの意識現象ですが、浄霊と同時に「何かが抜けていった」「何かが抜けて肩が軽くなった」と報告を受けます。
また、浄霊作業が始まると、痙攣、咳込み、苦悶の表情などの身体反応が出ることが珍しくありません。
浄霊後、再度魂状態への遡行を試みると、遡行が成功することが確かめられています。
魂状態の遡行が成功したにもかかわらず、前世人格の呼び出しができない場合は、守護的存在からの許可がおりていないと判断し、セッションを断念することになります。
このことは、私あて霊信で告げられた内容、つまり前世を知ることができない場合の理由にぴったり符合しています。
この浄霊の作業を取り入れたことによって、魂状態への遡行率が高くなっています。
以上のように、ワイス式の前世療法との相違を明確にするために、「SAM前世療法」という呼び方をします。
(その31へつづく)
4 件のコメント:
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質問させてください。
SAM前世療法というのは、多くの者がそのやり方をしっかり学び教わることで、できるようになるものですか?
特殊な能力、才能を持った者だけができるのではなく、難易度は違うかもしれませんが、車の運転のように、誰もができるようになることなのでしょうか。
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SAM前世療法においては、未浄化霊の憑依がある場合には魂に遡行することを妨げることが分かっています。この妨げを解除するために浄霊作業が必要です。この浄霊作業能力は、セラピストの霊格の高低によってできる者とできない者が出ます。こうした場合を除けば、私の開発した一定の手続きを踏めば誰もが魂遡行まで導くことが可能です。すでに私のもとで学んだ者が実績をあげています。
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回答いただきましてありがとうございます。
未浄化霊の憑依というのは、どの程度の割合であるものなのでしょうか。
ちなみに、将来的に誰もが過去世にアクセスできるような世界は可能性としてあるのでしょうか。
例えば、マッサージ屋へ行くような感覚で、過去世を知りに行くというような世界です。先ほど隔離タンクによる感覚遮断に関する記事を読みましたが、そのような器具を使うことで、憑依霊の問題を除けば、ある程度簡単に過去世への退行というのも行えるものなのでしょうか。
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未浄化霊が憑依しているクライアントは10~15人に一人くらいでしょうか。正確な統計をとったことはありません。私の体験から言えることは、誰もが前世にアクセスできるような世界は容易に訪れないと思います。なぜなら、ほとんどの人が誕生と同時に前世についてはリセットされ、想起できないような仕組みが働いているとしか思えないからです。前世を知ることが許されるのは、そのことによってクライアントが救われる場合に限る、と里沙さんの守護霊から窘められています。
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