SAM前世療法における催眠のとらえ方
催眠を受ける立場(被催眠者・クライアントの立場)に立ったときの催眠体験とは、催眠者(セラピスト)の非論理的、非現実的な性格を持つ暗示に対して、そうした非現実的な暗示を受け入れようと無意識的な努力をした結果、現実の不自由な束縛から解き放たれて、非現実的な催眠の世界に入る体験だと言うことができます。
催眠に入るという体験は、催眠者(セラピスト)に全面的な信頼を寄せ、自己を放棄した末に、非論理的、非現実的な暗示を素直に実現しようと無意識的な努力をすることです。
それは、それまでの日常の、論理的、現実的な努力の仕方を否応なく放棄しないことには成り立つことではないのです。
そうした努力の仕方は、それまでの日常の、論理や現実に束縛されていた生き方をとりあえず中断し、非論理的、非現実的な生き方に転換してこそ可能になると考えることができます。
つまり、催眠に入るという体験は、それまでの日常的な対処の仕方をいったん放棄し、催眠者(セラピスト)を信頼し、すべてを委ね、非現実的、非論理的な対処の仕方へと転換していくという体験をすることだ、と言うことができます。
体験者(クライアント)は、そうした非日常的、非論理的体験の過程で、現実の自分を拘束し、抑制していた縛りから解放され、自由になる仕方を学んでいくことになると思われます。
それは、現実的意識世界をいったん放棄し、離脱し、非現実的な意識世界を選択することであり、そこに立ち現れる豊かな未知の意識世界へと世界を広げていくことでもあります。
そうした意識世界でこそ可能になる、普段の自分を乗り越える体験が、普段の自分には隠されていた能力への気づきや目覚めを促し、そうした気づきと目覚めによって、自分への信頼感ないし自尊感情を獲得させていくと考えることができます。
このように催眠をとらえるなら、催眠状態とは、一般に定義されている「意識の変性状態」ということではなく、「未知の意識へと意識領域が拡大した状態」だと理解するべきでしょう。
未知の意識へと意識状態が拡大した状態の深奥部に、「魂の自覚」が存在すると私は考えています。
そして、「魂の自覚」状態まで意識世界が拡大すると、そこでは、現世の自分につながっている前世のものたちが、次々に立ち現れることが可能になります。
それを体験し、知ることは、現世の自分は、幾多の前世のものたちと連綿とつながる鎖の輪の一つであるという、、魂の不滅と生まれ変わりの世界観の覚醒であり、いわゆる現世を超越したスピリチュアルな、広大無限な、世界観が広がることになっていくはずです。
そして、こうした催眠によって拡大した非日常的意識世界の体験と、日常的意識世界の体験とを統合することによって、人は人生をさら豊かに生きることができるようになっていくのではないでしょうか。
こうした催眠体験のあり方にこそ、催眠の持つ教育的意義を認めることができると思われます。
このように催眠をとらえるなら、催眠は、広く自己実現を援助する有効な教育手段という位置付けができるのではないかと思うように至りました。
また、SAM前世療法は、魂の生まれ変わりの覚醒をめざし、現世に生まれ変わった意味の探究をめざす催眠療法だと位置づけてよいのではないかと思います。
ここまでが、25年間の教育現場での教育催眠の実践から学び、その後のSAM前世療法の実践で得た知見による現在の到達点であると言うことがきます。
そして、この催眠、およびSAM前世療法への根本的考え方は、現在も変わることなく受け継がれています。
(その32へ続く)
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