2014年1月10日金曜日

SAM前世療法の成立 その43

総括その4 前世療法への批判
前世療法に関する批判は多く出されています。
もちろん、死後存続や生まれ変わりなどを頭から否定する唯物論者が、前世療法を批判するのは当然のことです。
ところが、生まれ変わり研究の第一人者イアン・スティーヴンソンも、前世療法や催眠による前世想起に対して、厳しい批判をしています。
それは、彼が、前世の記憶をある程度持っていると思われる者を催眠に入れ、前世想起の実験を13例実施し、地名・人名を探り出し特定しようとした試みがすべて失敗した(『前世を記憶する子どもたち』P80)ということにあるようです。
スティーヴンソンは、催眠中に前世の記憶らしきものが語られたにしても、催眠によって誘発された催眠者に対する従順な状態の中では、何らかの前世の記憶らしきものを語らずにいられない衝動に駆られ、通常の方法で入手した様々な情報をつなぎ合わせて架空の人格を作り上げてしまう可能性が高いと主張します。
そして、催眠中に語られたリアルな前世の記憶が、実は架空の作話であったと検証された実例を数例あげて、催眠が過去の記憶を甦らせる有効な手段だと考えるのは誤った思いこみであって、実際には事実からほど遠いことを証明しようとしています。
こうしてスティーヴンソンは、次のように痛烈な前世療法批判を展開しています。
遺憾ながら催眠の専門家の中には、催眠を使えば誰でも前世の記憶を甦らせることができるし、それによる大きな治療効果が挙がるはずだと主張するか、そう受け取れる発言をしている者もある。
私としては、心得違いの催眠ブームを、あるいは、それに乗じて不届きにも金儲けの対象にしている者があるという現状を、特に前世の記憶を探り出す確実な方法だとして催眠が用いられている現状を、何とか終息させたいと考えている。(『前世を記憶する子どもたち』P7)
こうしたスティーヴンソンの批判の矛先が、ワイスやホイットンの前世療法の著作に向けられているとは必ずしも言えないでしょうが、この批判がなされる同時期に、相次いで彼らの著作が公刊されていることも事実です。
前世記憶の真偽を研究するために、膨大な労力と綿密な検証作業を長年積み上げてきたスティーヴンソンにとって、催眠中に語られた前世の記憶を確かな科学的検証にかけないまま、症状改善を理由に、前世の存在を安易に認めてしまう前世療法家が、苦々しく思えることは当然でしょう。
ただし、彼は、催眠中に語られる前世の記憶をすべて無意味だとしているわけではありません。
事例の中には、彼自身の検証の結果、通常の方法では入手できない情報が少数ながら存在することも認めています。
スティーヴンソンは、その後の著書『前世を記憶する子どもたち2』P106で、「私は、自らの手で調べた応答型真性異言の二例が催眠中に起こったという事実忘れることができない。このことから私は、催眠を使った研究をけっして非難することができなくなった」といくぶん持論を修正しています。
ところで、スティーヴンソン以外にも、催眠中に語られる前世の記憶は、脳の作り出したフィクションに過ぎない、とする唯物論的否定論者は少なくありません。
例えば、超常現象の否定論者として知られるロバート・A・ベイカーは、1982年のアメリカ臨床催眠学会機関誌に、自らおこなった前世療法実験の結果を発表しています。
それによれば、前世療法を褒め称(たた)えたうえで実施した被験者は、高い割合で前世記憶の想起をしたのに対し、逆に前世療法を否定し貶(けな)したうえで実施した被験者が、前世記憶を想起した割合は、非常に低かったと報告しています。
この検証結果から、ベイカーは前世療法による前世の記憶は事実などではなく、催眠者の誘導暗示によって作り出されたフィクションである可能性が高いと結論づけています。
日本のアカデミックな催眠研究者にとっても、前世療法は目障りな存在のようです。
そもそも催眠というものは、世間では根強い偏見と誤解を持たれ続けてきたものです。
現在の科学体系に加わろうと、科学としての催眠を必死に目指してきた催眠研究者にとって、前世療法は世間の偏見・誤解をいっそう助長する、けしからぬ存在と映るのも当然です。
そして、私も、科学としての催眠を標榜し、ライフワークとして児童・生徒へ教育相談活動の一環として催眠面接法を研究していた教師の立場にあったときには、「前世療法」については否定的であり、むしろ嫌悪感すら感じていました。
催眠とマインドコントロールを誤解・混同している新興宗教がらみの一部の親から、強硬な抗議と即時禁止の訴えを受けたことがあったからです。
もちろん、こうした親の子どもに催眠を適用したことはありませんし、子どもから車酔いやあがり症の改善に催眠適用の申し出があった場合には、親への確認をとって後実施してきたにもかかわらずです。
このトラブルは、やがて教育委員会の知るところとなり、その後私は「ゆるやかな迫害」を教育委員会から受けることになりました。
いかに教育効果があろうとも、トラブルの芽を吹くような教育催眠研究はやってほしくない、という保守的な教育委員会の本音が透けて見える態度でした。
このトラブルで示された催眠に対する根強い誤解・偏見は、現在でもあいかわらず続いていると思っています。
ましてや、こうした偏見の持ち主にとっては、前世療法などもってのほかにちがいありません。
(その44へつづく)

8 件のコメント:

ポン太 さんのコメント...

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 これが全米で話題となったエベン・アレキサンダー医師の臨死体験を扱った映像です。
https://www.youtube.com/watch?v=z-gN-rcTmB8
 ここで重要なのは、臨死体験そのものではなく、「本人が記憶していないものをなぜ覚えているのか」という点です。
 臨死体験が、死後の世界の実証能力に乏しいことは以前伺いましたが、しかし本人が会っていない人物や記憶していないことをその体験中に垣間見たというなら、話は別です。
 エベン医師が自分の妹にあったこともないのに、臨死体験中に彼女と思しき人物に出会ったというのが本当であれば、本人の記憶にすらないわけですから、死後の世界は別としても「記憶は完全には脳だけの産物ではない」ということになりますね。
 記憶は、短期的なものであれば海馬に蓄えられているというのはほぼ間違いないようですが、しかし複雑な長期記憶となるとそれも怪しいですね。
 たとえば心臓移植を受けた人が後に移植前の人の記憶を垣間見たりすることがある。脳が記憶をすべて司っているという前提は合わないのではないだろうか。
 ここら辺の流れが、もしかしたら前世の記憶などの立証にもつながっていく可能性もありますね。

稲垣勝巳 さんのコメント...

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厳密な超心理学的考察をすると
①エベン医師が出会った女性が彼の会ったこともないという妹であることをどのようにして証明するか。写真すらどこにもないとすれば、証明は不可能となる。
②妹の写真が残っているとして、それ以外に複数の女性の写真と混ぜて提示し、エベン医師に妹の写真が間違いなく特定できたとする。
③しかし、特定できたとしても、超ESP仮説によって、つまり超能力によって妹の写真を知り得たという説明が成り立つ余地がある。
④超ESP仮説の適用を封じるためには、脳内の活動であるとされる超能力が絶対発揮されていないことを証明する必要がある。
⑤つまり、脳への完全な血流停止状態が確認され、脳細胞が活動停止状態である証明が必要である。
⑥しかし、脳細胞は血流停止後数時間で不可逆な状態になり、もはや蘇生することはできない。
⑦エベン医師が臨死状態から蘇生できたということは、完全な脳死状態ではなかったからであり、会ったことのない妹と出会ったという臨死体験は、脳内現象であった可能性を排除できない。
という反論が予想できます。

あ さんのコメント...

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http://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B8%E9%81%A0%E3%81%AE%E5%88%A5%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%82%92%E3%81%8B%E3%81%84%E3%81%BE%E8%A6%8B%E3%82%8B-%E8%87%A8%E6%AD%BB%E5%85%B1%E6%9C%89%E4%BD%93%E9%A8%93-%E8%B6%85%E2%98%86%E3%82%8F%E3%81%8F%E3%82%8F%E3%81%8F-%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3/dp/4864710155
レイモンド・ムーディーという「国際臨死体験研究会」人の本の内容ですが
臨死共有体験の場合は普通の臨死体験と違い死にゆく人と周りの者がお互いの人生回顧を共に体験するという。その際に、通常では知り得ない相手の個人的な情報を知り、後にその情報の正確さが実証された例もあるみたいです
本人+第三者の体験みたいですがこれも脳内現象にされてしまうのでしょうか

潮騒のメモリー さんのコメント...

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ザ・プレミアム 『超常現象~科学が挑む不可思議の世界~』
1月11日第一部「さまよえる魂の行方」
霊魂の存在について臨死体験の事例より生まれ変わりの事例の方が裏付け資料(脳内現象では説明のつかない)が多いみたいですね
http://video.fc2.com/content/20140112u3DLgJug/

稲垣勝巳 さんのコメント...

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「通常では知り得ない相手の個人的な情報を知り、後にその情報の正確さが実証された例」
でも超ESP仮説は適用されます。
その場いる者の知らない情報でも、後にすべて正確であったことが確認されたのであれば、その事実を誰かが知っていたか、誰も知らなかったとしても資料がどこかに残されていたことになります。したがって、その情報が記録されている文書などを強力なESPを用いて探し出し、透視やテレパシーを活用してその内容を語ったのだ、と説明されてしまいます。そして、超ESPを用いていない、という証明は原理的に不可能です。
「タエの事例」にも超ESP仮説が適用されますから、生まれ変わりの完全な証明にはなりえません。ポリグラフ検査によって、タエの語った内容について事前に意識的に入手している記憶の痕跡はないという鑑定結果が出ているにもかかわらず、催眠中に超ESPを用いている、という可能性が排除できないからです。一般的に医師は、超ESP仮説の存在を知らないか、知っていても無視する傾向があるようです。超ESP仮説さえなければ、生まれ変わりや霊の実在はとっくに証明されているはずの事実なのです。

ポン太 さんのコメント...

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超ESPを調べてみましたが霊魂を持ち出さない唯物論で説明できるのが驚きです
透視やテレパシーで心身一元論では意識は脳の幻想であり実体のない物であるので意識が他者と繋がっているの?繋がっていないのなら脳はどうやって得ることができるのか?
サバイバル仮説では想像がつきますが

ポン太 さんのコメント...

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 私のハンドル勝手に使ってますね(笑)。まあいいですけど。
 それにしても、ペンローズクラスの人間が魂の生まれ変わりを示唆するような発言をするなんて驚きですね。
 後、参考までに、唯物論と生まれ変わりは矛盾しないのではないかという見解を載せているページを上げておきます。なんとなく、SFなどで昔から語られている偏在転生論に近いものではないかと思いますが。
http://muumu.blog25.fc2.com/blog-entry-218.html

起業家☆ひろぽん さんのコメント...

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コメント書きますね!ブログを読ませて頂きました!これからも更新頑張って下さい。25歳社長 ひろぽん です。サラリーマンで20代男性に向けたブログを一生懸命書いてありますので、よかったら遊びにきてください。