2011年10月7日金曜日

生まれ変わりの証拠「タエの事例」その3

ここからは、生まれ変わりの濃厚な証拠、「タエの事例」のセッション逐語記録です。THはセラピスト(稲垣)、CLはクライアント(里沙さん)です。
この前世療法実験セッションは、2005年6月4日におこなわれ、証拠映像が残っています。この証拠映像の一部は、2006年10月のアンビリで放映されています。
さらに詳細をお知りになりたい方は、拙著『前世療法の探究』春秋社、2006をお読みください。
TH さあ、これであなたは、時間も空間も関係のない次元に入りました。もし、あなたに、今の人生の外にも人生があったら、そこに自由にどこへでも行くことができます。でも、最初にこの前行った江戸時代へ行ってみましょう。何も心配したり怯(おび)え ることはありません。私が付き添ってガイドしますからね。それでは、これから三つ数えます。そうしたら天明の時代に生きたあなたの楽しい場面にまず行ってみましょうか。いいですか、天明に生きたおタエさんの一番楽しい場面に戻りますよ。一・二 ・三。さあ、あなたはどこで何をしていますか?
CL ・・・桑畑で桑の葉を摘んでいます。
TH あなたのお名前は?
CL タエ。
TH それで、桑畑には他にもあなたの知ってる人がいますね。誰がいますか?
CL ・・・働いてる。
TH 働いてる? あなたの親とか兄弟はいませんか? あなたは一人ですか?
CL はい。
TH あなたはみなし子ですか?
CL はい。
TH 今あなたは何歳ですか?
CL 13。
TH 13歳ですか。あなたがみなし子だった事情を誰かから聞いていませんか?
CL 捨てられてた。
TH 気がついたときには、赤ちゃんで捨てられていたのですか?
CL そう。
TH それで、あなたを育ててくださった人がいますね。どんな人ですか?
CL 安永九年(1780年)、渋川村、上郷(かみのごう)、名主クロダキチエモン。
TH クロダキチエモンがあなたの義理のお父さん。キチエモンさんの連れ合いであなたの義理のお母さんは?
CL ハツ。
TH クロダキチエモンさんとハツさんご夫婦に、あなたは育てられたわけですね。あなたが捨てられていたことは、そのお父さん、お母さんが話してくれたわけですね?
CL (頷く)・・・たくさん。
TH たくさん拾われた子どもがいるんですね。キチエモンさんは、そういう篤志家ですか。渋川村の名主さんですね。渋川村というのはどの辺りですか?
 
CL 上州、上野(こうずけ)の国。
TH あなたは今13歳で、年号は何年ですか?
CL 安永九年。(1780年)
TH はあ、安永九年で13歳。で、今、桑畑にいる。それがなぜ一番楽しいのでしょ う?
 
CL 桑の実を摘んで食べる。
 
TH 桑の実を食べるんですか。口の周りどんなふうになってるか分かりますか?
 
CL 真っ赤。(微笑む)おカイコ様が食べる桑の木に実がなる。
TH それならどれだけ食べても叱られることないんですか。ふだんはやっぱり遠慮がちなんですか? (CL頷く)拾われてるから。あなたと同じように拾われた兄弟も一緒に葉を摘んでますか?(CL頷(うなず)く)楽しそうに。(CL頷く)じゃ、ちょっと夕飯の場面に行ってみましょうか。三つで夕飯の場面に行きますよ。一・二・三。今、夕飯の場面ですよ。どこで食べてますか?
CL 馬小屋。みんなも。
TH 下は?
CL 藁(わら)
TH どんな物を食べてますか?
CL ヒエ。
TH ヒエだけですか。おかずは?
CL ない。
TH ヒエだけ食べてるの。白いお米は食べないんですか?(CL頷く)だからあまり夕飯は楽しくない。で、みんなとどこで寝るのですか?
CL 馬小屋。
TH 馬小屋で寝るの。お布団は?
CL ない。
TH 寒いときは何にくるまるのですか?
CL 藁。
TH 藁にくるまって寝るの。あなたの着てる物を見てごらんなさい。どんな物を着  てますか?
CL 着物。
TH 着物の生地は何でできていますか?
CL 分っからない。
TH 粗末なものですか。(CL頷く)手を見てごらんなさい。どんな手になってますか。
CL きれいな手じゃない。
TH じゃ、もう少し先へ行ってみましょう。三年先へ行ってみましょう。悲しいことがきっとあると思いますが、その事情を苦しいかもしれませんが見てください。どうですか? で、三年経つと何年になりますか?
CL 天明三年。(1783年)
TH 天明三年にどんなことがありましたか? 何か大きな事件がありましたか?
CL あ、浅間の山が、お山が、だいぶ前から熱くなって、火が出るようになって・・・。
TH 火が渋川村から見えますか?
CL うん。
TH 噴火の火がみえますか?
CL フンカ?
TH 噴火って分かりませんか? (CL頷く)分からない。火が山から出てるんですか?
CL 熱い!
TH 煙も見えますか?
CL は、はい。
TH じゃ、灰みたいな物は降ってますか? そのせいで農作物に何か影響が出てます   か?
CL 白い灰が毎日積もります。
TH どのくらい積もるんでしょう?
CL 軒下。
TH 軒下までというと相当な高さですね。単位でいうとどのくらの高さですか? 村の人はなんて言ってますか?
CL 分からない。
TH 軒下まで積もると農作物は全滅じゃないですか。
CL む、村の人は、鉄砲撃ったり、鐘を叩いたり、太鼓を叩いても、雷神様はおさまらない。
TH その結果何が起きてますか?
CL 龍神様は川を下ります。
TH その結果どうなりました?
CL 天明三年七月、七夕様の日、龍神様と雷神様が、あま、あま、あまつ、吾妻(あがつま)川を下るので ・・・水が止まって危ないので、上(かみ)の村が水にやられるので・・・わたしがお供えになります。
 
TH 自分から志願したの?
CL ・・・そうです。きれいな着物を着て、(微笑む)おいしいごちそう食べて・・・。
TH それをしたかったのですか? でも、命を失いますよ。それでもいい?
CL 村のために・・・。
TH 誰か勧めた人がいますか?
CL おとっつあん。
TH キチエモンさんが、そう言ってあなたに勧めた。
CL 恩返し。・・・みんなのために(微笑む)・・・うれしい。
TH もう一度確認しますよ。あなたのいる村は?
CL 渋川村、上郷。
TH 川の名前が吾妻川?
CL 吾妻川。
TH あなたが人のために犠牲になることをなんて言うんですか?
CL お供えに。・・・馬も。馬。ばと様。ばと様。・・・馬頭観音様。
TH 馬頭観音様と一緒に? ふーん。
CL 雷神様は馬に乗ります。龍神様はわたしを乗せて行きます。
TH 龍神様というのは吾妻川のことですか?
CL 浅間のお山に住む龍神様です。熱くて、住めないので、川を下ります。
TH お山が熱くて住めないので、浅間山から川を下る龍神様に、あなたが乗るということですか。じゃ、今あなたはどこにいるのですか? 川の中ですか?
CL はい。
TH 川の中でどんなふうにされているんですか?
CL 白い着物を着て、橋の柱に縛られています。
TH それは自分から縛ってもらったのですか?
CL はい。
TH じゃ、川岸では誰かあなたを見守ってるでしょ?
CL 行者様。導師様。みんないます。
TH あなたの村では他にも犠牲になった人はいますか? 人々のために。
CL いません。
TH 他の村でも、そういう話を聞きましたか? 人柱って言うんですよ。
CL 知らない・・・。・急ぐの・・・急ぐ。
TH 急ぐ?
CL 急ぐ! 時間がない。
TH それで、そうやって人のために犠牲になると、みんなが供養してくれませんか?
  お地蔵さんかなにかに祀(まつ)られませんか?
CL 分からない。
TH あなたは自ら望んで、みんなのために、人柱になったのですね。
CL (頷く)・・・うれしい。(微笑む)ごちそう食べて、白い着物着て。
TH その着物って絹ですか?
CL 花嫁衣装。
TH 花嫁衣装で。あなたは、今、何歳?
CL 16。
TH 16歳ですか。川岸にキチエモンさんの姿見えますか? それで川の水は増えてい   るんですか?
CL 昼間だけど真っ暗で提灯が・・・ 分からない。
TH なぜ昼間なのに暗いんでしょう? 分かりますか、そのわけが。
CL お山が火を噴いてるから。
TH 煙で暗いわけですか。太陽が遮(さえぎ)られて。(CL頷く)そういうことですか。それで昼間に提灯がいるくらい暗い。あなたのいる川の水は今どんどん増えていますか?
CL は、は、はい。増えてます。ウウーククー。苦しいー。ハア、ハア。ググッウーウ ウー・・・ハア、ハア・・・。                      
TH どんどん増えてますか? 大丈夫ですよ。苦しいですか?
タエはここで溺死して息が絶えました。この後、魂として死後の世界へ旅立つことになります。筆者がセッションの最初に「タエの一番楽しい場面へ戻ります」と暗示したのは、初回溺死場面に戻ることを回避させるためでした。この苦悶の場面に戻ることを最初に暗示た場合には、おそらく潜在意識が拒否し、タエの記憶想起そのものができないと思ったらです。
(次回へつづく)

2011年10月6日木曜日

生まれ変わりの証拠「タエの事例」その2

初回セッションから二か月を経た2005年6月4日、再セッションをおこなうことにしました。初回の不完全燃焼である終わり方への後悔と、想起した溺死場面がトラウマになるかもしれないことへの申しわけない気持ちとが交錯していたからです。
 
そして、研究者数名の同席と、研究のためにビデオ撮影を許可してくれるようにお願いしました。複数の研究者から、機会があれば、前世療法を是非見学したいという依頼を受けていた私は、里沙さんが第二回セッションでも、おそらく何らかの前世記憶を想起するだろうと見込めたからです。
 彼女は、前世療法の科学的解明に貢献できるのならということで、再セッションを実施することと、研究者五名の同席とビデオ撮影を許可してくれました。こうして、ついに検証可能な、具体的な、前世記憶が語られた「タエの事例」との出会いが起きたのです。この記録ビデオの一部がテレビ番組「奇跡体験アンビリバボー」で公開されたものです。
 
ちなみに、里沙さんには、精神的疾患は一切なく、薬物は脊柱側湾症の鎮痛薬を処方されているだけでした。また、透視や憑依などの超常現象を体験したこともなく、それらへの関心もまったくないことを確認しています。
 
タエの前世に戻り、タエの人生を想起しているときの里沙さんの表情は、喜びや苦しみの感情が生き生きと現れ、まさに、今、ここでタエを生きて語っている、という表現がぴったりします。
またそれは、里沙さんが前世記憶の想起して語っていると言うよりは、タエという前世人格が、今、ここに現れて、自身の人生を語っているのだ、と理解することのほうが観察事実により近いのではないかと思われました。
そのタエの語りは驚くべき内容でした。
上野国渋川村に捨て子として育ったタエは、天明3年7月7日(旧暦)の浅間山大噴火の火砕流でせき止められた吾妻川の洪水から村を救うために人柱となり、洪水に呑み込まれて命を落としたという出来事の詳細を語ったのです。
その逐語録を次回から紹介していきす。
(つづく)

2011年10月5日水曜日

生まれ変わりの証拠「タエの事例」その1

私は、生まれ変わりの科学的証明をライフワークにしています。その契機となった前世療法のセッションが、これからしばらく連続して紹介していく「タエの事例」です。
私が前世療法に取り組み始めたのは、2002年ですがその4年後に「タエの事例」と遭遇しました。この事例は実験セッションとしておこなったもので、ビデオとして音声・映像の証拠が残っています。
生まれ変わりの証拠として濃厚なこの「タエの事例」は、2006年5月に春秋社から『前世療法の探究』として出版し、これがフジTV「奇跡体験アンビリバボー」の目にとまり、2006年10月に25分間放映されています。
「タエの事例」との遭遇前後から、私と私の周囲に超常現象が頻発するようになっていきます。私自身と被験者里沙さんにヒーリング能力が覚醒したり、先に紹介した私あての霊信がきたのもその一つです。あるいは、セッション中のクライアントに守護的存在の憑霊らしき現象が起こりメッセージを告げるという霊的現象です。
さて、被験者里沙さんの初回セッションは、2005年3月30日におこなったものです。彼女の催眠感受性(被暗示性)はきわめて高く、短時間のうちに深い催眠性トランス状態まで誘導することが可能でした。
子宮内までの退行催眠後、階段を降りて時空を越えた次元の世界へ続く扉を開けるという暗示をしました。そして、筆者が「もし、あなたの前世があるとすれば、あなたは自由にそこへ戻ることができます。そのエピソードの場面に行ってみましょう」と誘導すると突然、悲痛な叫び声が発せられました。
 「苦しい、助けて」
里沙さんは前世の死の場面にいきなり戻ってしまったのです。押し寄せてくる川の泥水に呑み込まれ、溺死するという情況のようでした。筆者の腕にしがみつき必死でもがく苦悶の表情を見て、「大丈夫です。あなたは、自分の姿を映画をみるように、離れて見ることができますよ」という暗示を繰り返しましたが、その人物が死を迎えてぐったりするまで彼女の苦悶は一分近く続きました。
 
それは、前世の記憶を想起して見ているのではなく、前世の人格と一体化し、今、再現しているのだという実感と臨場感があり、その迫力に驚愕し圧倒されました。
 
さらに言えば、前世の記憶を現世の里沙さんが想起して語っているというよりは、「前世の人格そのもの」が現れ、自分の人生での溺死の場面を再現しているという強烈な印象を与えるものでした。この印象こそ、その後の私あて霊信の告げたことを作業仮説に用いた新しい前世法開発の契機となっていったものです。「ラタラジューの事例」は、この新しい技法(SAM前世療法)でおこなっています。
 
溺死後、肉体を離れて魂状態となり、どうやら中間世(霊界)に行ったことを確かめて、いつ何が起きたのかのおおよそを尋ねてみました。
ようやく平静に戻った里沙さんは、淡々とした声で、江戸時代中期の天明三年(1783年)に、お山が火を噴いたこと、それを鎮めるためと思われる人柱となって、川中の柱に白い着物を着せられて裸足で縛り付けられたのだと語りました。しかし、お山の名前もその人物が住んでいた場所も、思い出すことはできませんでした。ただ、名前はタエであること、死んだのは一六歳の時だったということが明らかになりました。
 筆者は、それ以上セッションを続けることができず、早々に里沙さんを覚醒させました。彼女の生々しい前世の死に際を目の当たりにして、戦慄を覚え、彼女の生きる指針をつかませるところまで持っていくだけの余裕が持てなかったのです。
 結局、不完全燃焼のまま、早々にセッションを切り上げてしまいました。
 果たして彼女は、このセッションの夜から三日間ほど、タエが苦悶しながら溺死する恐怖の夢を見たということです。
(つづく)

2011年10月4日火曜日

数百回もの生まれ変わりがなぜあるのか

紹介してきたSAM前世療法の作業仮説その1・その2・その3に基づいてセッションをしてきた結果、分かってきた魂の成長・進化と生まれ変わり回数に関することです
生まれ変わりの回数については、科学的検証はできません。
ちなみに、私の生まれ変わり回数は、現世が369回目であると私あて霊信は告げています。
また、今かかわっている男性クライアントの守護霊は、彼の生まれ変わり回数を459回目だと告げています。
「ラタラジューの事例」を語った里沙さんの守護霊は、彼女は3回目の生まれ変わりであると告げています。
ここでは、信頼性の高い里沙さん守護霊の語りに焦点を当てて、また多くのクライアントの語りを参考にして、生まれ変わりの回数が数百回も必要である理由について考察してみたいと思います。
里沙さん守護霊やセッションで語られるところによれば
①生まれ変わりの決定は、霊界次元で魂と守護霊、あるいは神との間の契約による。
②契約とは、魂の成長進化のために乗り越えるべき人生の課題を決めることである。しかし、魂が現世の肉体に宿ったときを境にして契約内容は忘却される。
③急速な成長進化を望む魂の願いは、苦難の人生を自ら選ぶことによって叶えられる。里沙さんの魂はそれを選んでいる。初回は16歳のタエとして人柱になって落命した。2回目はラタラジューとして貧困のナル村村長の苦労を重ねた。現世では脊柱側湾症の痛みに耐える人生を送っている。つまり、人生上の負荷が大きいほど成長進化は促進される。
④だから、生まれ変わりをするからといって、成長進化が保障されたわけではない。成長進化の機会が与えられたということである。選び取った人生で、成長進化するための課題に立ち向かう生き方をするかどうかは、それぞれの魂の主体性に任されているらしい。
⑤したがって、生まれ変わりの回数分に比例して、急角度の右肩上がりに直線的成長進化がおこなわれることは稀だと考えられる。停滞やわずかな成長進化を繰り返すことがほとんである。
⑥多くは、生まれ変わりによる成長進化の機会を生かせずに、前世と同様の過ちを繰り返し、成長進化に資することのない足踏み状態(停滞)の人生を繰り返す。あるいは、わずかな成長進化しかできない人生を繰り返す。右肩上がりではなく水平線状、ないし極めてなだらかな右肩上がりの成長進化でしかない。
⑦このことは、ソウルメイトと呼ぶ魂どうしとして、夫婦・親子・兄弟・ライバル等の関係で生まれ変わりながら、敵対関係や憎み合う関係を繰り返す事例が稀ではないことからも推測できる。
⑧里沙さん守護霊の語り、セッションでのクライアントの語りから判明してきたこうした事実を重ね合わせてみると、生まれ変わりを卒業するためには、数百回の人生を繰り返すことはむしろ当然である。魂の成長進化は容易ではないと言えそうである。
⑨こうしたことは、魂の表層には、不本意な人生によって生じた傷に苦しむ前世のものたちが、今もその苦悩を訴え続けて顕現化する、というセッションにおける意識現象の数多くの事実からも裏づけられる。
現段階で言えそうな、数百回もの生まれ変わりの理由は以上のようなことです。

2011年10月3日月曜日

SAM前世療法の作業仮説その3

作業仮説その2「霊体仮説」で、「意識・潜在意識」は霊体に宿っていると述べました。
それでは、意識・潜在意識は、霊体がつくり出しているのでしょうか。
霊体ではありません。もちろん脳でもありません。
「心(魂)・脳二元論」は、脳が意識・潜在意識をつくり出す立場はとりません。
そこで、意識・潜在意識を作り出しているものを想定する作業仮説その3が必要になります。

「意識・潜在意識は、魂の表層を構成している前世の人格たちがつくり出している。前世の人格たちは、当時の感情そのままで今も生きている。彼らは互いに友愛を結び、それぞれの人生で得た知恵を分かち合っている。こうして魂の表層全体は、成長進化へ向かうようにできている。現世の『私』も魂の表層の一つである。こうして、魂の表層にある『私』は、他の前世の人格たちの影響を良かれ悪しかれ受けないわけにはいかない」

これが作業仮説その3、「魂の表層仮説(二層構造仮説)」です。

この作業仮説その3で、霊信の告げたこと以外の私の推論は、「前世の人格たちは、当時の感情そのままで今も生きている」、「魂の表層にある『私』は、他の前世の人格たちの影響を良かれ悪しかれ受けないわけにはいかない」という部分だけです。

以上、SAM前世療法の3つの作業仮説の骨格として必要なことすべては、霊信が教えてくれたというわけです。こうした魂と霊体等に関する情報を受け取った私は、あまりに奇怪で信じ難い内容に驚きと戸惑いを禁じ得ませんでした。しかし、催眠研究を志し、潜在意識を扱うことができる私は、霊信からの情報の検証が可能な条件に恵まれています。そこで、霊信に対して半信半疑ながら、霊信内容を作業仮説として設け、実験と検証に取り組むことにしたのです。その結果、作業仮説が成り立つとしたら、それをもたらした霊信の恩恵は計り知れないものになります。

魂の表層を構成している前世人格たちが、意識・潜在意識をつくり出しているなら、潜在意識をどんどん遡行していけば、やがてその源である魂状態ないし、その表層に存在する前世人格たちのどれかに行き着く可能性があると考えられます。

こうして、作業仮説2で説明したような、霊体に宿る潜在意識を指に移し替え、指によって魂状態まで遡行させるという技法が編み出され、実験と検証をしていくことになりました。

具体的には、記憶催眠レベル以上のきわめて深い催眠状態まで誘導後、ひとさし指に潜在意識を宿らせ、「指が上下運動をするたびに魂の状態に遡っていく。やがて魂状態に至ると指は止まる」と暗示します。

指が上下運動を停止したところ(指の遡行運動開始後約5分)で、「今、あなたは魂状態に戻りましたか?」と確認すると、「はい」という回答が戻ってきます。
催眠誘導開始後、魂状態までに至る時間は約30分です。
こうして魂状態に至れば、魂表層の前世人格たちの誰でも呼び出すことが可能です。あるいは、魂状態に至った時点で、癒しを必要とし、苦しんでいる前世人格が自ら顕現化して待ち受けています。

この魂状態遡行の成功率は、現在90%です。医師4名、大学教授3名にも実験して成功していますから、潜在意識の深奥には誰にでも「魂の自覚」が存在することは間違いないと思われます。

応答型真性異言で会話したネパール人の前世人格ラタラジューは、これまで述べてきた3つの作業仮説によって編み出されたSAM前世療法で魂表層から顕現化した人格です。

ラタラジューの応答型真性異言が生まれ変わりの証明であり、これが新たな事実によって覆らない限り、SAM前世療法の3つの作業仮説は正しいと判断して差し支えないと考えています。
したがって、

魂は存在する、

生まれ変わりはある、
魂の表層は前世人格たちによって構成されている、
彼らが意識・潜在意識をつくり出している、
つくり出された意識・潜在意識は霊体に宿っている、
と告げている私あて霊信内容は信憑性が高いと判断でき、そのことは通信霊の存在、霊界という次元の存在を間接的に証明していると考えています。

そして、私からSAM前世療法を学んだ人によって追試がおこなわれ、魂遡行と前世人格の顕現化に成功した報告を受けています。

また、SAM前世療法を体験した多くのクライアントの報告(mixiコミュ「前世療法の探究」のトピ「体験報告」)を読んでいただければ、作業仮説どおりに魂表層に存在する前世人格の顕現化現象が起こることが了解していただけると思います。

私が創始したSAM前世療法には、当然のことながら先行研究がありません。手探りで切り開いてきたわけですから、今後の探究の展開によって作業仮説が修正されていくことは十分あり得ます。

そして、後継者による追試によって、作業仮説がさらに精緻なものに修正・変更・進化していくことを楽しみにしています。
そのことは、魂の仕組み、生まれ変わりの仕組みとその実在を、SAM前世療法という道具によって明らかにし、説得力ある科学的事実として証明していくことになるはずのものだからです。

2011年10月2日日曜日

SAM前世療法の作業仮説その2

作業仮説その1は、少数ながら優れた科学者が提出している「心(魂)・脳二元論」でした。
しかし、作業仮説その2は、おそらく私の提示以外だれも唱えた人はいないでしょう。
「意識・潜在意識は『霊体』に宿っている。霊体は、身体と魂をくまなく覆う透明の防護服のような働きをしている。霊体の色が、オーラである。霊体は半物質的な要素を持ち、身体と密接につながっている。したがって、霊体に宿っている潜在意識を、身体のどこにでも宿らせることが可能である」
 
以上が、作業仮説2です。「霊体仮説」と呼んでいます。
そして、「意識・潜在意識は霊体に宿っている。霊体は、身体とその中に存在する魂をくまなく覆う透明の防護服のような働きをしている。霊体の色が、オーラである」という仮説の前半は、M子さん経由の霊信が告げたことです。
仮説後半の、「霊体は半物質的な性質を持ち、身体と密接につながっている。したがって、霊体に宿っている潜在意識を、身体のどこにでも宿らせることが可能である」という部分については、私の推論から導き出したものです。
ふつうの人には霊体の色であるオーラを見ることはできません。しかし、里沙さんには見えると言います。しかも、身体の病める部分のオーラが黒ずんで見えるそうです。
そこで、里沙さんには情報を一切与えず、腰痛持ちの知人S氏のオーラを見てもらったところ、腰部分のオーラが黒ずんでいることを指摘し、腰部分が病んでいることを言い当てるという検証結果を得ています。また、オーラの澄み具合、濁り具合で、体調の善し悪しが判断できるとも言います。
こうした事実から、霊体は、身体と密接なつながりを持つ半物質的なものではないかと推測されます。身体と霊体とが相互影響関係にあるとすれば、霊体に物質(身体)的要素があるからこそ、物質である身体の状態が、霊体に反映されると考えられるからです。当然、その逆も起こります。霊体の状況が身体に反映されるということです。
このように、霊体が物質的要素を持っているからこそ、霊体と身体とが相互に影響を及ぼし合うことが起こると考えられるというわけです。
そして、霊体と身体の結節点がチャクラと呼ばれているものではなかろうかと考えられます。
したがって、チャクラからヒーリングエネルギーを入れることによって、霊体全体を癒し、それを身体全体の癒しに繋げることができると推測し検証中です。霊信によれば、スピリットヒーリングには霊体を癒す力があると告げているからです。これまでの検証では、推測を裏付ける結果を得ています。
こうしたことから、霊体に宿っている潜在意識を、霊体とつながりのある身体のどこにでも移し替えることが可能ではないかという着想が生まれました。
米国の催眠療法家L・M・ルクロンは、催眠下の潜在意識に対して質問し、情報を引き出す「観念運動応答法」を提唱しています。ルクロンのことばで観念運動を説明すれば、「下意識(潜在意識)に支配された動作のこと」ということになります。ただし、ルクロンは、潜在意識は脳がつくり出していると考えているようです。
具体的技法は、潜在意識に指の運動を支配させ、質問に対して、イエスなら親指を立てる、ノーなら小指を立てる、分からないなら中指を立てる、という動作のルールを潜在意識と約束し、質問に対して指の動作で回答をさせます。にわかに信じ難い技法ですが、かなりの数の実験をしてその無意識的に起こる動作による回答が検証できています。
そして、被験者は、指の動作を意識的にしている自覚は全くないことを確認しています。
指は、無意識的に勝手に動作を起こすと報告しています。
こうしたことから、霊体に宿っている潜在意識を、指そのものに移し替え、指を潜在意識そのものが宿ったものとし、その指の動作によって、たとえば魂状態へと導かせることができるのではないか、という着想を得ることができました。
この、潜在意識の宿る指の動作によって、魂状態まで導かせるという技法こそ、作業仮説2によって編み出されたSAM前世療法独自の奇想天外な技法です。
なぜ、指に宿らせた潜在意識によって、魂状態へと導かせるようなことができるのか、その理由は、次回に述べる作業仮説その3にあります。

2011年10月1日土曜日

SAM前世療法の作業仮説その1

SAM前世療法の作業仮説は、私あて霊信のうち、第12霊信の通信霊からの回答(公開済み)が基盤となっています。脳・心・魂・意識・潜在意識の相互関係についての通信霊からの回答内容です。
作業仮説とは、「その仮説が事実によって否定されないかぎり、ひとまず真理であるとみなしておく仮説」だと定義しておきます。なぜ、作業仮説が必要か。
それは、ある事象・現象のメカニズムの探究を進めるための有用な道具として設定しなければ、探究にとりかかれないからです。
この定義にしたがうと、地球科学では、ウェゲナーの「大陸移動説」などは壮大な作業仮説です。
心理療法では、精神分析学を創始したフロイトの「汎性欲論」や、ユングの「元型論」も作業仮説です。
そして、SAM前世療法の「心・脳二元論」も作業仮説です。
私の思いとしては、フロイトやユングの提示した「汎性欲論」や、「元型論」が作業仮説として認められるのであれば、それが霊信の告げたことに基づいているからといって、「心・脳二元論」が認められないという理由にはならないと考えています。
生まれ変わりを認める立場では、一般的に流布されている「心・脳一元論」仮説を、論理的帰結として 認めることはできません。
電気信号と化学変化のシステムの固まりである脳という物質が、心(意識・潜在意識)をつくり出しているという一元論に立てば、脳の消滅とともに心は作り出されなくなり、心(記憶)のすべては無に帰することになります。前世の記憶などがあるはずがない妄想だということになります。
しかし、私は「ラタラジューの事例」によって、応答型真性異言を証明し、この現象が生まれ変わり以外に説明のしようがないと確信を持つに至っています。
とすれば、脳以外に、生前の記憶を保持している何らかの意識体を想定しないかぎり、ラタラジューという前世人格が顕現化する超常現象が説明できません。死後存続するこの意識体を、とりあえず「魂」と呼んでおきます。これを、生まれ変わり研究の第一人者イアン・スティーヴンソンは、「心搬体(サイコフォー)」と呼んだらどうかと提案しています。
したがって、「心・脳二元論」を、SAM作業仮説では「魂・脳二元論」と言い換えることができます。
人間は、「脳」とは別個の「魂」と呼ぶ意識体を蔵しており、「魂」は「脳」の消滅後も存続する、
これが生まれ変わりを認めるSAM前世療法の第1の作業仮説です。
そして、現代科学(唯物論)の知の体系に真っ向から対立する作業仮説です。
しかしながら、「心(魂)・脳二元論」は、W.ペンフィールド、J・エックルズ、R・スペリーなど少数の優れた脳科学研究者が、自らの実験結果の末表明しており、けっして真新しい仮説ではありません。
臨床動作法(催眠を母体にして生まれた心理療法)を創始した世界的催眠学者、成瀬悟策医学博士も、講演のなかで「脳は心の家来です」という表現で、自らの催眠実験研究の末、「心・脳二元論」に至り、それを表明していると思われます。
唯物論科学の知の体系に染まりきっている現代人は、「霊魂」と聞くだけで非科学的だと腰が引け、そうしたことばを回避して唯物論枠内の説明原理を無理矢理ひねり出したり、それができないとなると、無視することが常態になっていると思われます。
こうした常態が生じているのは、「非科学的」ということばに対して、「唯物論の知の体系」と「科学の方法論」の混同があるからだと思われます。この混同が「知の体系」から外れた現象・事実、あるいはそれへの研究をすべて「非科学的」だと決めつけてしまう偏向を生み出していると思います。
「非科学的(態度)」とは、論理的思考、合理的検証、先行研究との照合など「科学の方法論による検討を経ないで、その現象・事実を真理だと鵜呑みにする短絡的態度のことを指して言うことばです。