2018年4月17日火曜日

SAM催眠学序説 その112

タエは里沙さんの魂表層から顕現化した前世の人格である


2005年3月・6月に、里沙さんを被験者にワイス式でおこなった2回の前世療法で、私は「タエの事例」に出会いました。
ただし、この時点では「SAM前世療法」は開発していません。

このワイス式でおこなった前世療法によるタエの語りは、里沙さんの前世記憶の想起として語られたというより、タエという前世人格が顕現化し、里沙さんとは別人格のタエ自身が語っていると解釈することが妥当ではないか、という強い印象を受けました。

この印象の妥当性を検討するきわめて貴重な資料が、セッション後に里沙さんが記してくれたセッション中の意識状態を内観(内省)した体験記録です。

この体験記録をお願いするにあたって、私は、催眠中に起こった意識内容を出来る限り詳しく思い出して書くように注文を出しました。
初めて出会ったきわめてまれな事例であったので、後の事例研究のために是非とも残しておきたかったからです。

下記に転載したのは体験紀録の抜粋です。(『前世療法の探究』春秋社,2006,PP.221-222)
なお、1回目のセッションは2005年3月におこない、2回目のセッションは2005年6月におこなっています。
このうち、2回目セッションの録画が2006年10月のフジTV「奇跡体験アンビリバボー」に25分間取り上げられて紹介されています
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【転載はじめ】
1回目のセッションでは、稲垣先生の誘導により、暗闇のトンネルを進み、前世の世界の扉を開けることから始まりました。
次は、そのときの状態を、記憶に残っているままに書き留めたものです。

扉を開けると、まばゆい光の世界が見え、そこにもう一人の私がおりました。
前世の私と思われるそれは、姿も形もなく、無論男か女かも分からない、音も声もない、小さな光の塊ではありましたが、まちがいなく私でした。
そして、一瞬にして、すべてのものが、私の中に流れ込んできました。
私は、自分が何者なのかを知り、状況も把握できました。


私の前世は、タエという名前の女性で、天明三年に起きた火山の噴火を鎮めるために人柱となって、16歳で溺死するというものでした。
目の前に迫る茶色い水の色や、「ドーン」という音もはっきり分かりました。
水を飲む感覚、息が詰まり呼吸できない苦しさ、そして死ぬことへの恐怖、それは言葉では言い表すことのできない凄まじいものでした。
私は、タエそのものとして死の恐怖を体験しました。
(中略)
二回目のセッションでの私の望みは、できることなら痛みに耐えて、生きてゆく意味を、自分なりに見つけたいということでした。

このセッションは、70分という時間がかかったことを後で聞かされましたが、私には、せいぜい30分程度の感覚でした。
後でビデオを見せてもらいましたが、「偉大な存在者」の記憶は全くなく、そのあたりで時間のズレができたのではないかと思います。
ただし、タエと、ネパール人と、中間世の魂となっている部分の記憶は、催眠から覚醒しても、ハッキリ覚えていました。

次は、二回目のセッションの記憶を書き留めたものです。

前回と同じように、扉を開けると、あっと言う間に、私は13歳のタエで、桑畑で桑の実を摘んで食べていました。
私がそのタエを見ているのではなく、私自身の中にタエが入り込んでくるという感覚でした。


稲垣先生から、いろいろ質問がされましたが、現世を生きている私が知るはずもない遠い昔の出来事を、勝手に口が動いて、話が出てしまうという状態でした。
それは本当に不思議なことでした。

【転載おわり】
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さて、検討したい個所は次の記述です。
扉を開けると、まばゆい光の世界が見え、そこにもう一人の私がおりました。
前世の私と思われるそれは、姿も形もなく、無論男か女かも分からない、音も声もない、小さな光のかたまりではありましたが、まちがいなく私でした。
そして、一瞬にして、すべてのものが、私の中に流れ込んできました。
私は、自分が何者なのかを知り、状況も把握できました。


「まばゆい光の世界」にあって「姿も形もなく」、「男女の性別もわからない」、「小さな光の塊であるような」自分である自覚が認められ、一瞬にしてすべてのものが、私の中に流れ込んできた、そして自分がタエという名の16歳の少女であり、そのときの状況も把握できた、と里沙さんは言います。

さらに、タエそのものとして、泥流によって溺死した体験をした、と記述しています。
2回目のセッションでは、あっという間にタエになっており、それは「自分のなかにタエが入り込んでくるという感覚」であったと記述しています。

また、そのようなタエが話すときは、「勝手に口が動いて話が出てしまう状態」だったと言います。
そして、「姿も形もなく、男女の性別もわからない、小さな光のかたまりであるような自分である自覚」とは、まさしく「魂状態の自覚」だと考えられるでしょう。


このような意識状態になったという記述をありのままに受け入れるとしたら、どのように説明がつくのでしょうか。
里沙さんが、このセッションで「記憶催眠」レベルの催眠深度に達していたことは、標準催眠尺度によって確認しています。

そのような深い催眠状態に至って、里沙さんは自動的に「魂状態」になり、その「魂状態」になったそのときに、魂表層に存在しているタエという前世の別人格が、一瞬にして顕現化した、と考えることがもっとも妥当な解釈ではないでしょうか。

里沙さんとタエとは別人格であるので、タエの人格が話すときには、里沙さんの発声器官を借りて、タエ自身が話すことになる、話す主体は里沙さんではなくタエであり、里沙さんの意志がはたらく余地がありません。
したがって、「勝手に口が動いて話が出てしまう」という自覚を持たざるをえなくなってしまうのでしょう。

ただし、現行の催眠学的解釈をすれば、こうしたタエという人格が顕現化したようにみえる意識現象は、里沙さんが無意識的に起こした「役割演技」だとみなすことが可能です。
実際に「記憶催眠」レベルは、「人格催眠」レベルとも名付けられており、このレベルの催眠深度に至れば、人格変換、つまり、役割演技を引き起こせることが分かっているのです。

しかし、役割演技として顕現化したタエという架空の人格が、里沙さん自身はまったく入手していない、天明3年7月日7日夜の浅間山大噴火とそれに伴う「浅間焼泥押し」と呼ばれる大泥流被害などの正確な情報を話せるはずがありません。

タエの語りの内容の史実との一致率は80%を上回っています。
残り20%弱の語りは、検証不可能であり、結局、タエの語りについての明確な誤りは一つもなかったのです。

そして、2009年に実施した2時間以上にわたるポリグラフ検査によって、タエの語り内容の情報を、里沙さんが事前に入手していていた可能性は完全に否定できるという鑑定結果が出ています。
つまり、タエは、里沙さん自身のまったく知らない天明3年浅間山大噴火と浅間焼泥押しにまつわる諸情報を語ったということが検証できたのです。

この検証結果は、「超ESP仮説」を考慮しないとすれば、里沙さんがタエの生まれかわりであることの証明、ひいては「魂」と呼ばれる死後存続する意識体の実在している間接的証明ができたことを意味していると考えることができます。

そして、「タエの事例」から4年後、2009年5月に、SAM前世療法によって「超ESP仮説」を打破する応答型真性異言「ラタラジューの事例」があらわれました。

ここに至って、私は、すくなくとも里沙さんにおいては、生まれ変わりは「科学的事実である」と宣言して支障はないと判断しています。

そして「SAM前世療法」という手続きを踏めば、90%程度の成功率(直近100事例における成功率)で、被験者は「魂状態の自覚」に至り、前世人格が顕現化することが可能であることが確認されています。

こうした事実から、顕現化した前世人格の検証ができなくとも、生まれかわりは多くの人に起こっている蓋然性が高いのではないかと思っています。

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