2018年3月14日水曜日

SAM催眠学序説 その111

前世人格の所在はどこなのか


2005年の「タエの事例」、2009年「ラタラジューの事例」において、被験者里沙さんの「前世記憶の想起」ではなく、「タエの人格・ラタラジュー人格そのものの顕現化」したものだとすれば、そのような前世の人格は、いったいどこに存在しているのでしょうか。

これが「タエの事例」以後、4年以上にわたって私を悩ませることになった大きな謎でした。

この謎について言及した先行研究は、イアン・スティーヴンソンに求めるほかないと思われました。

以下は、イアン・スティーヴンソン/笠原敏雄訳『前世を記憶する子どもたち』日本教文社、1989からの抜粋です。

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生まれ変わったと推定される者では、先述のイメージ記憶、行動的記憶、身体的痕跡という三通りの要素が不思議にも結びついており、前世と現世の間でもそれが一体になっていなかったとは、私には想像すらできない。
このことからすると、この要素(ないしその表象)は、ある中間的媒体に従属しているらしいことがわかる。この中間的媒体が持っている他の要素については、おそらくまだ何もわかっていない。

前世から来世へとある人格の心的要素を運搬する媒体を「心搬体(サイコフォア)」と呼ぶことにしたらどうかと思う。私は、心搬体を構成する要素がどのような配列になっているのかは全く知らないけれども、肉体のない人格がある種の経験を積み、活動を停止していないとすれば、心搬体は変化して行くのではないかと思う。(中略)

私は、「前世の人格」という言葉を、ある子どもがその生涯を記憶している人物に対して用いてきたけれども、一つの「人格」がそっくりそのまま生まれ変わるという言い方は避けてきた。そのような形での生まれ変わりが起こりうることを示唆する証拠は存在しないからである。
実際に生まれ変わるかも知れないのは、直前の前世の人格および、それ以前に繰り返さ れた過去世の人格に由来する「個性」なのである。人格は、一人の人間がいずれの時点でも持っている、外部から観察される心理的特性をすべて包含しているの に対して、個性には、そのうえに、現世で積み重ねた経験とそれまでの過去世の残渣が加わる。したがって、私たちの個性には、人格としては決して表出するこ とのないものや、異常な状況以外では人間の意識に昇らないものが数多く含まれているのである。

前掲書PP.359-360
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イアン・スティーヴンソンの言う「中間的媒体」、あるいは「心搬体(サイコフォア)」は、いわゆる「魂」と同義です。
厳密な科学者スティーヴンソンは、「soul(魂)」という語にまとわりつく宗教臭を払拭し「前世から来世へとある人格の心的要素を運搬する媒体」という科学的定義を明確にしたのだと思われます。
ただし、私は、前世から来世へとある人格の心的要素を運搬する媒体を、そのまま従来の「魂」の概念でも不都合はないと思いますし、新しい概念でもないのに「心搬体」などの造語を用いることは不要だと思っています。
さて、前世人格の所在についてのスティーヴンソンの結論は、「心搬体(サイコフォア)」=「魂」が、前世人格の所在であるということになるのでしょうか。

また、彼の、「心搬体を構成する要素がどのような配列になっているのかは全く知らないけれども、肉体のない人格がある種の経験を積み、活動を停止していないとすれば、心搬体は変化して行くのではないかと思う」という見解は、SAM前世療法の作業仮説を設けるときの重要な参考となっています。
つまり、「魂は二層構造になっており、表層は前世人格たちが構成し、それら前世人格は互いの人生の知恵を分かち合い学び合い、表層全体の集合意識が成長・進化(変化)する仕組みになっている」という仮説を支持する見解だと言えそうです。

ただし、スティーヴンソンは、「心搬体」=「魂」を構成する要素がどのような配列になっているのかは全く知らない、と述べています。

「魂は二層構造になっており、その表層は前世人格たちが構成し、それら前世人格たちは互いの人生の知恵を分かち合い学び合い、表層全体の集合意識が成長・ 進化する仕組みになっている」というのが、SAM催眠学における作業仮説です。
つまり、「心搬体」=「魂」の表層全体は、変化していくものだということを、その後の、SAM前世療法のセッションで顕現化した前世人 格の語りから確かめています。

さらに、「一つの『人格』がそっくりそのまま生まれ変わるという言い方は避けてきた。そのような形での生まれ変わりが起こりうることを示唆する証拠は存在しない」というスティーヴンソンの見解は、そのままSAM催眠学が主張する見解と同様です。

「現世の私」という一つの人格が、来世にそのままそっくり生まれ変わるわけではなく、魂表層を構成する一つの前世人格として生き続けるのであって、生まれ変わるのは「表層を構成する前世諸人格を含めた一つの魂全体」だというのが、SAM前世療法セッションで示される生まれ変わりの実相だと言えます。

また、「実際に生まれ変わるかも知れないのは、直前の前世の人格および、それ以前に繰り返された過去世の人格に由来する「個性」なのである。個性には、そのうえに、現世で積み重ねた経験とそれまでの過去世の残渣が加わる」というスティーヴンソンの考え方も、私の見解にほぼ一致します。

現世の個性は、魂表層の前世人格たちから人生の知恵を分かち与えられており、このようにして繰り返された前世の人格に由来する「個性」と、現世での諸経験とによって、形成されているに違いないのです。

さて、私が、スティーヴンソンに求めたのは、前世の記憶を語る子どもたちの「記憶」の所在についての考究でした。

彼が、「前世の記憶」が脳にだけあるとは考えていないことは、「心搬体」という死後存続する「媒体」を想定していたことに照らせば、間違いありません。

私の期待したのは、その心搬体と脳との関係についてのスティーヴンソンの考究です。

前世の記憶を語る子どもたちは、その前世記憶の情報を、心搬体から得て話したのか、脳から得て話したのか、それとも記憶ではなく前世の人格の顕現化であるのか、いずれなのでしょうか。

しかし、スティヴンソンの著作は、この問いについてはなにも解答を与えてくれませんでした。

私が求めた解答を与えてくれたのは、人間ではなく、私の守護霊団を名乗る霊的存在でした。

6 件のコメント:

巻き太郎 さんのコメント...

イアン スティーブンソンが調べた子供達の記憶は、後に大半が事実との不一致だと第三者によって確認されている。真性異言も充分驚くべきことだが、やはり生まれ変わりというなら前世の人物を確認、また事実の一致を確かめることが重要かと考えている。ジェームズ・レイニンガーのような実例がもっと必要なのである。
ところで稲垣氏は2010年のナル村での検証での謎を、2012年、セッションで解き明かしたとあるが、それを公開することで生まれ変わりのより強固な証拠にはならないのか?
また、SAM前世療法を用いれば、魂やあの世のより決定的な証拠となる情報が掴めたり、別の被験者から新たな証拠が掴め、霊的真理をより広めることができてもいいと思うのだが、そうはならないのはなぜか ?

稲垣勝巳 さんのコメント...


「それを信じたい人には信じるに足る材料を与えてくれるけれど、疑う人にまで信じるに足る証拠はない。超常現象の解明というのは本質的にそういう限界を持っている」

これが、米国哲学者として、SPRの研究家として有名な「W.ジェームズの法則」と呼ばれているものです。「挫折の法則」とも呼ばれています。

巻き太郎さんのご質問の「SAM前世療法を用いれば、魂やあの世のより決定的な証拠となる情報が掴めたり、別の被験者から新たな証拠が掴め、霊的真理をより広めることができてもいいと思うのだが、そうはならないのはなぜか?」に対する回答は以上です。

探求する者 さんのコメント...

巻き太郎さん、>>イアン スティーブンソンが調べた子供達の記憶は、後に大半が事実との不一致だと第三者によって確認されている。

上記を裏付ける資料はどこにありますか?
検証したいと思います。

稲垣勝巳 さんのコメント...

巻き太郎さん

私も、「探求する者」さんと同様に、あなたの「イアン スティーブンソンが調べた子供達の記憶は、後に大半が事実との不一致だと第三者によって確認されている」という驚くべきコメントの内容については寡聞にして初めて知りました。

スティーヴンソンの『前世を記憶する子供たち』を読む限りにおいて、子どもたちの前世の記憶についての綿密な裏付け検証調査に疑義をはさむ余地はないように思っていました。

大半が事実との不一致だ、と再検証し確認したという「第三者」とはいかなる人物であるか、再検証した内容の分かる資料とは何かを知りたく思います。

提示していただけませんか。

迷子 さんのコメント...

こんにちは、

数年前、2ちゃんねるのオカルト版でも、

 イアン スティーブンソンが調べた子供達の記憶は、後に大半が事実との不一致だと第三者によって確認されている。

という書きこみを見ましたが、いくら調べても、未だに、どこの誰だかわかりません。

スティーブンソンの後追い調査をしたのなら相当な時間・お金・人員・労力がかかっています。

 ステーブンソンが、この様な研究に専念できたのは、アメリカ・ゼロックス社のカールソン氏が遺言で100万ドルも寄付してくれた、という事もあるので、余程、気前のいいスポンサーを見つけた。という事になります。

表に出てこない方が不思議です。

これ以上問い詰めても、おそらく、何も答えられないでしょう。

 ステーブンソン達が、どの様な研究方法をしてきたか?を知りたい方は、『前世を覚えている子どもたち』(VOICE) ご覧ください。第三者のジャーナリストの目を通した報告です。

稲垣勝巳 さんのコメント...

迷子さん

巻き太郎さんのコメントを期待していましたが、代わりにあなたがコメントしてくださったことに感謝します。

「イアン スティーブンソンが調べた子供達の記憶は、後に大半が事実との不一致だと第三者によって確認されている」という巻き太郎さんのコメントは、出典不明のいい加減な思い込み情報だと判断してよさそうですね。

生まれ変わりの真偽のような、人類にとってきわめて重大なことがらについては、その証拠を慎重な吟味を重ねて検証すべきだと思います。

私の提示している「タエの事例」、「ラタラジューの事例」についても、相当な時間・お金・人員を費やして、後追い調査で再検証する研究者が出てこないかなと期待しているところで
す。

ちなみに両事例の検証に費やした費用は何もかも計算すると100万円を超えています。
それにしても、日本の前世療法セッションは、1990年以降おそらく数千例は越えていると推測できますが、「前世記憶」の真偽の科学的検証事例の公表・公刊が私以外にないという現状はどうしたものかと思っています。


残念ながら、日本のアカデミズムでは生まれ変わり研究は異端視され、大学研究者が取り組むことはありません。
「タエの事例」、「ラタラジューの事例」のセッションDVDを、相模女子大、明治大の研究者に送付してありますが、なしのつぶてが現状です。