2013年9月11日水曜日

SAM前世療法の成立 その24

前世人格顕現化中の三者的構図(セラピスト対前世人格の対話、それを傾聴するモニター意識)
論より証拠といいます。
SAM前世療法によって起こる意識現象の三者的構図の詳細な報告をしてくださったクライアントがおいでになります。
その報告を紹介します。
報告者は30代後半の女性クライアント、福祉関係の職に就いておいでになる方で、顕現化した前世人格の5人に1人程度しか口頭で話せない、その口頭で話すことができた事例です。
そうした前世人格発話中にも、モニター意識(現世の意識)の働きがあることがよく分かる貴重な報告です。
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2009530日、稲垣先生のSAM前世療法を受けました。前世療法自体が初めてでしたが、予想以上の展開でした。この貴重な体験を、先生との面接から催眠の導入、終了に至るまでの私の意識の経過としてまとめてみたいと思います。

初回面接(前世療法の説明、私の現在の健康状態について等)

 先生が左手の平を私の右手にかざしたところ(13~4センチほどの距離)ホカホカする温かさと徐々に圧力が強くなっていくのを感じました。
 私の手のひら表面にほのかに風が通り過ぎる感覚もありました。 
催眠のかかりやすさのテストでは良好であったため、ホットしました。
漠然と、かかりにくいのではないかと感じていたからです。
憑依があると催眠にかかりにくいとの説明を受けたとき、正直ぎょっとしました。
その時何となく憑依しているような気がしたので「そうではありませんように。
何体もいたらどうしよう。怖い・・」。と思いました。

催眠の導入段階

左ひと差し指でリズムをとるよう先生より促され、トントンと動かしていましたが「まずい・・・全く指が止まる気配がない・・」と思いました。
やや焦ってきた頃に、ふと指が止まったのですが「本当に催眠状態に入ったのだろうか」と少し疑わしく思っていました。
先生より、催眠状態に入ったのか右手人差し指で返事をするよう促されたとき、指が動かないため「あ・・やっぱり・・憑依かあるんだ~!」とぞっとしました。
すぐに先生は浄霊を始めましたが、内心パニックになり、冷や汗をかいていました。
しかし、次第に怖がることではないと感じ始め、ふっと体の緊張が解けた時、先生から浄霊は終わったと言われ、一体だけでよかったとホットしました。

前世の人格の登場①

 先生から、現在の私の状況に影響がある過去世の人格を呼び出されたのか、すでに過去世の人格が呼び出す前からスタンバイ状態だったかどうかははっきり覚えていません。

 なぜなら私自身の意識が全く衰えず、普段のままの思考状態で目を閉じただけの平常心だったからです。そのため、先生から「指で返答しますか?言葉で話しますか?」と質問され、指が勝手に反応する体験はしていたので、指で反応することはできるだろうと思いました。
 当然そうするのだろうと思っていたのですが、先生の「言葉で話しますか?」との問いにこっくり頷いた時には驚きました。
こんなに意識がさえているのに、自分の意志ではなく首が勝手に頷き、言葉で話すと返答するからです。
何も過去の記憶が想起されない状況で言葉が出るとは思えませんでした。
 「口頭で話すなんて大丈夫なの・・?」と思いました。
 まだ、別の人格の存在をはっきり認識はしていませんでしたが、どうやら意識というか、自分の意志とは別に体が反応することを理解しました。
 とりあえず状況に身を任せようと思いました。そして当然日本語で質問に答えていくのだろうと思っていました。


前世の人格の登場②

 先生からアジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ・・?と聞かれたとき、即座に反応はありませんでした。
 再度質問されヨーロッパに反応しました(首を縦に振る)。国名を聞かれ、唇がモゾモゾと動き始めました。
 発声はまだありませんでしたが、唇が小さく変わった形に動くため、「日本語の発音とは違う感じなのかな・・」と思いました。
 先生が、ギリシャ?と言ったとき、声を出そうとし始めました。
 ギとグの間の発音で「グイー」と言うような音だったと思います。
「わあ、本当に言い出した!」というのが私の感想です。
 先生が「ギリシャですか?」と問いかけたとき、頷きつつも「グイー」と発音しようと頑張っていた覚えがあります。
 先生が「ギリシャですか?」と再度確認したとき「その発音じゃないんだけどなあ・・」と私は感じました。前世の人格は何度も国の名前を発音しました。
 こうやって私の意志とは別に、勝手に話すことができるということを私は理解しました。
 次に都市の名前を先生が尋ねました。
 「ア・・ア・・」と発語するため先生が「アテネ?」と確認しました。        またしても「その発音じゃないんだけどなあ・・」と私は感じました。        日本語の発音が実際のものとはかけはなれているという実感だけはあるのですが、私自身が正しい発音を知っているわけではありません。 
 過去世の人格は「アティ・・」と何度も答えました。 
 この時「過去世の人格は、正しい発音にこだわってるな・・」と感じました。 
 名前を聞かれ「ティルソバイ」と聞き慣れない言葉を発しました。
 以後、先生の質問に異国の言語で返答し始めたため「えっ、日本語で話すんじゃないの?」と私自身、驚きました。せいぜい国名や名前の発音にこだわる程度だと思っていたからです。
 思いの外長い文章を話すため、あ然としました。
 先生もそれに気づき、録音装置をとりに行くため少々待ってもらえるか過去世の人格、ティルソバイに了承を求めました。
 ティルソバイはうんうんと頷きます。
 私も「待ちますよ」と思っていました。
 先生が急いで2階に駆け上がり録音装置を取りに行っている音を聞いて「これは、面接で先生が説明してくれた真性異言ってやつだろうか?」と思いました。
 この間、私の意識だけがあり、ティルソバイの意識や感情はなにも感じませんでした。 名前や都市の発音を思い出せないので「せっかく録音装置を持ってきてもらったのに話せなかったらどうしよう」と私は思いました。


ティルソバイの過去世

 ティルソバイの過去世の経過については先生の録音にあるとおりです。
以下は、ティルソバイが語っているときの私の意識を中心に述べていきます。
先生から結婚歴の有無を聞かれ、私も非常に興味があったのですが、すぐに返答せず反応が遅いため「既婚でも未婚でもないってなんだろう?」と私の方が不安になりました。何度か聞かれ、頷いていました(既婚でこども有り)。
以後、YESNOの質問には言葉による返事ではなく、頷いたり首を横に振るといった反応をしていました。
何歳で死亡したかの問いにも私は「なになに?」と興味をもって注目しましたが、ティルソバイは「○※・・」と外国語で答えるため「えっ?で、何歳で死んだの?」と私は心の中で突っ込んでいました。
先生も再度質問しましたがティルソバイは「○※・・」と答えるだけです。
この時「だって・・○※なんだもん・・」。というティルソバイの気持ちを感じました。
どうやら日本語は全く話せないので、こうとしか言いようがない・・といった感じでティルソバイも困っているようでした。
ティルソバイが外国語で話す内容は私には全く分かりません。
怒りや悲しみ、困った感情などは分かるのですが、発言の詳細は分からないのです。
そのため、先生に日本語の文章を古代ギリシャ語で話すよう言われると、勝手にティルソバイは話すのですが、それが合っているのか、あるいは見当違いなことを言っているのかも私は分かりません。
私もただ聞いているだけです。ただ、印象的だったのは、先生から好きな食べ物や父母兄弟の呼び方など単語を質問されると、国名を尋ねられた時のように、求められなくても2回以上繰り返し発音するようティルソバイは努めていました。
私が発音するわけではないのですが「正しく丁寧に発音を伝えなければいけない・・」と私自身も思いました。
そんな様子に「親切な人だなあ・・この人(ティルソバイ)も私も・・」と、感心もしました。
私とティルソバイは似た性質を持っていると感じました。

感情の共感、共有について

 過去世で襲われた件を聞かれると、眉間と目元をくしゅっとさせ始め、泣き出しました。
 泣き出すので「ああ、悔しかったのね・・」と私は理解します。
 ティルソバイの感情表出と、私がそれを共感するまでの間には若干の時間差がありました。
 ティルソバイのあふれ出る感情を同時に感じるというよりは、泣くので「ああ、悲しいんだ・・」。言葉が早口になり怒った口調になると「ああ、怒ってるんだ・・」。と、途中から勘づくといった感じです。
 しかし、私自身が全くの傍観者ではなく、気持ちを察知した後は、私も悲しい感情などは共感できるのです。
 ただし、強烈なものではありません。その感情が後を引くものでもありませんでした。襲われるといった経験をリアルタイムに再体験することはなく、ティルソバイのその事件についての集約した思いが共感できるといった感じです。
 そのため、リアルすぎて怖いといったこともありませんでした。

長文復唱について

先生が「いながき」という名前を入れて日本語の文章を古代ギリシャ語で話すよう促すと、ティルソバイは長文を話すのですが、なかなか「いながき」という単語が出てこないので、心配になりました。文章の終盤で「いながき」と言ったため「そこで入るんだ・・」と、文法の不思議さを感じました。
かなりの長文を話すのですが、私は「ちょっと中国語か韓国語みたいな発音だな。でたらめじゃないの?」と疑う時もありました。
ただ、私の意志ではないため、勝手にしゃべらせているといった感じでした。
先生がギリシャ語で復唱するよう話すとき、私が「最後までよく聞くんだよ。
途中から話さないようにね」と思うと、ティルソバイはそれに素直に従うのです。
途中から話し出すことはありません。
先生が長文を復唱するよう言うとき「そんな長いのは無理じゃないかな・・。大丈夫かな?」と私はよくティルソバイの心配をしました。
しかし、ティルソバイは頑張っていました。先生が「他にいっておきたいことは?」と聞いたとき、私は「何かいっておきたいことないの?言っておけば?」と思うと、それじゃあ・・といった感じでティルソバイは話し始めました。
内容はさっぱり分からないのですが。自分の役割というか使命を分かっているような印象を受けました。


翻訳について

先生を「ティルロ(?)」と呼んだ件に関しては、セッションがもうじき終了となりそうで、まだ話したりないといった感じが伝わってきて思わず出た感じでした。
先生が日本語でどういう意味か尋ねました。
私はとっさに「有り難うといっているのかな?」と思うと、かたことの日本語で「アリガト」と言いました。
しかし、先生が「僕の名前?」と聞くと、反応しました。
この時、私が当たりをつけて日本語でこういうことかな?と考えると、ティルソバイはそのまま発してしまうような印象を持ちました。
都市名「アティ・・」の時もそうですが、私が「アティア?」と思うと、それに似た発音をするのです。
先生の発音には「ちょっと違う・・」。という感覚を持つようですが、私が考えると、それに合わせようとする傾向があるのかもしれません。
そして、先生の質問を私が理解すると、おもむろにティルソバイは語りだします。
私が意味を理解したと同時に自動的に翻訳も完了しているといった感じです。
ただ、謎があります。
私は歴史が苦手で古代ギリシャの知識は呆れるくらいありません。
冒頭で先生が「どのポリス?」と尋ねたとき、正直私は「ポリス」の意味が分かりませんでした。
しかしティルソバイは何やら答えていました。
歴史的事実の知識については私に依存せず答えられ、質問者の意図をおおまかに理解する(日本語の理解)といったことについては私に依存するといったように、ティルソバイはちゃんと区別しているのかもしれません。
なお、先生が神殿に行ったことがあるかと聞いたとき、ないと首を横に振りましたがこの時「自分のような小さい存在はそんな所にはいけないの」と思っているようだと感じました。
このように、ティルソバイが感じることを、私はおおまかに理解できましたが、わかりやすい感情を伴わないような長文の発言に関しては、私はさっぱりお手上げでした。
ただしティルソバイは、古代ギリシャ語?一本で話通す!という姿勢だけは崩しませんでした。
私としては、話の内容が理解できないので日本語で話してくれればいいのにと思いましたが。
他にも思い出せばありそうですが、ざっとこんな感じでした。

私は髪をアップにしていたので首が疲れて少々疲労していましたが、ティルソバイは疲労した様子はありませんでした。
最後に先生に何やら声をかけていましたが、日本語で何て言うの?と聞かれたとき「バイバイ~」と言っていました。私は「それは英語だよ・・」。と心の中で突っ込んでいましたが。
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このセッションで顕現化した前世人格ティルソバイの発話した古代ギリシア語らしき異言が、真性異言(実在している外国語)であるかどうかの鑑定を、中部大学大門教授(英語学・言語学)に依頼しましたが、諸外国語に共通している文法上の規則的変化が見られないため、真性異言の真偽は鑑定不能という結果でした。
しかし、古代ギリシア語の真偽を詳細に分析・鑑定できる研究者は、日本にはいないのではないかと思われます。
また、催眠学上の見解では、催眠中には創造的活動がきわめて活性化する結果、架空の外国語らしき言語を創造的に考え出してそれらしく語る、という現象があることも分かっています。
公正な判断をすれば、ティルソバイのきわめて流暢な発話の異言が、真性異言であるのか架空の言語であるかの判断は留保という立場をとらざるをえませんでした。
ちなみに、この報告にある「怒りや悲しみ、困った感情などは分かるのですが、発言の詳細は分からないのです」という意識状態は、ラタラジューのネパール語発話中の被験者里沙さんの体験した意識状態と全く同様です。
それにしても、ラタラジューのネパール語による応答型真性異言が、いかに稀な事例であったかが、あらためて思い起こされます。
(その25へつづく)

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