2020年12月18日金曜日

前世探究の新しい地平を拓く事例

                SAM催眠学序説 その136

 

2020年最後の本ブログで、SAM前世療法の実践上、これまでに発見されていなかった2つの新しい知見を紹介します。 

 

 その1 動物(犬)の前世の初顕現化

 

この事例のクライアントは31歳の主婦(子どもあり)です。

SAM前世療法をおこなうようになって初めての希有な事例であり、ご本人から本ブログ掲載の許可をいただいてここに公開することができました。

彼女は、強迫性障害の診断が下りており、精神科医から2年間の投薬を受け続けて現在に至っています。この女性クライアントの事前に記述された主訴は次のような内容でした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

2年前に飼育放棄されている犬を助けて強迫性障害という病気になり『私が幸せに生きている今も苦しんでいる犬が居るのではないか』という思いに一日中囚われるようになり、自分を生きることが出来なくなってしまいました。

とくに虐待や餌がもらえないことより、狭いケージに閉じ込められて動けないことに対して嫌悪感を感じてしまいます。

そうなってしまう理由をきちんと理解し、自分を変えたい、自分を生きたいという思いでセラピーを受けたいと思い連絡させて頂きました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【初回セッション】 

第1回のセッション前の主訴についての事情聞き取りで明らかになったことは、2年前に飼育放棄された犬を助け飼い始めたことを契機に、強迫性障害が発症し、2年間の精神科の受診と投薬を受けながら、不眠、食欲不振、強度のうつ状態に苦しんできたということでした。自分が幸せになることに罪悪感を抱き、死にたいと思うようになる時もあるということでした。

セッション前のカウンセリングによれば、狭いケージに閉じ込められている犬を見たことが直接の発症要因で、猫など他の動物がケージに閉じ込められているのを見ても特に強迫的症状は発現せず、ケージに閉じ込められている犬を見るときに限って起こるということでした。

SAM前世療法の催眠誘導に入り、この奇妙な症状の原因が、現世の生育歴や何らかのトラウマで起きていることを通常の記憶催眠レベルで探りましたが、該当することがありませんでした。

その確認後、魂遡行催眠まで誘導しましたが、ここでも未浄化霊の顕現化はなく、魂状態の自覚まで到達することが可能でした。したがって、未浄化霊や生き霊の影響は排除できると判断しました。

そこで、彼女の強迫性障害を引き起こしている前世の者を呼び出すと、その顕現化が起こりました。

通常、顕現化した前世の者に最初に確認する手順として、まず最初に性別を尋ねます。

しかし、犬を見るときに限って強迫性障害が起こるという奇妙な現象に鑑みて、動物の、しかも犬の前世の者の可能性を考慮して次のように質問を重ねて尋ねてみました。

「あなたは動物の前世を持つ者ですか?」

「あなたは犬であった前世の者でしょうか?」

 「犬であったあなたは、どのような役割を果たして人間と関わっていましたか?」

「あなたは野良犬、猟犬・警察犬・盲導犬・牧羊犬・そり犬などのうちどれですか?」

 彼女は、口頭で話せるタイプではないので、了解は人差し指を起こすという合図でセッションを遂行しました。

その結果、明らかになったことは

①牧場で働いていた牧羊犬であり、犬種はコリーである。

②年老いて仕事ができなくなって、別の飼い主にさらわれた。

③新しい飼い主が、コリーであった自分をケージに閉じ込めた。

④ケージに閉じ込められて、牧草地を駆け回り広い空のもとで自由でいたいと願った。

⑤それが叶わないために、深い悲哀のうちに命を終えた。

ということが判りました。牧羊犬はその悲しみを魂表層の現世の者(クライアント)に訴えその結果として、ケージに閉じ込められた犬を見るときに限って強迫性障害が起こるという現象が引き起こされている、ということでした。

 
そうなってしまう理由(強迫性障害の理由)をきちんと理解し、自分を変えたい、自分を生きたい、という彼女の主訴はこれで解決できたと判断しセッションを終結しました。

理由不明な症状の理由を感情をともなって洞察できたとき、「ああ、そうだったのか体験」ができたとき症状は改善する、というのがSAM前療法における治癒仮説です。彼女はうっすらと涙を溜めていました。

その後、41日経って彼女から以下のような再セッションの依頼が来ました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先生先日はお世話になりました。お陰様で2年間ゲージの中で苦しんでいる犬に襲われ続けたのが嘘のように襲われなくなり、薬も飲まずに生活出来るようになりました。本当に感謝してもしきれません。ただやはり、2年間考え続けたのが癖になっているのか、しんどいまではいかないですが、気にはなり、ケージで暮らしている犬を可哀想と思う気持ちは消えないというのが現状です。
本当にあと少しというところまではきているように感じています。
今回もう一度だけセッションを受けさせて頂いて、催眠というよりは、過去生の犬を癒して頂く方に時間をかけて頂くことは可能でしょうか?
よろしくお願い致します。

実はここ1、2週間症状がかなり落ち着いています。
犬のことが出てきても1日に1回あるかないかくらいで。
今のところはこのまま乗り越えていけそうな気もしています。
でもやはり、出てきたときには先生のところに行かせてもらいたいと思ってしまって。
 日々どうしようか迷いながら今日まで来てしまいました。
もう予約が明日のことなのでキャンセルしてしまうと先生に多大なご迷惑をお掛けしてしまうことも理解しています。
どうするべきなのかすごく悩んでいます。
いや、でもやはり、もう一度先生のところへ行って完全にすっきりさせたいです。
明日は予定通りよろしくお願いします!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【第2回セッション】42日後 

セッション前のカウンセリングで彼女は、第1回セッション前を100とすると10まで症状は軽減しているし、精神科医から処方された薬は服用しないで生活できているとのことでした。残り10の症状を完全に取り除きたいとの主訴内容でした。

初回セッションで、まさかの牧羊犬の前世が顕現化したことに驚いて詳しい状況を探り忘れていたわたしは、その犬の前世のさらに詳しい状況と、なぜ人間に生まれ変わることになったのか、その状況を探ることにしました。 

その結果、次のことが明らかになりました。

①牧羊犬として可愛がってくれた飼い主の元からさらわれて新しい飼い主に飼われた。

②新しい飼い主は冷酷で、コリー犬であった自分を逃げられないようにケージに閉じ込めた。自由を奪われた自分は悲しみに苛まれて命を失った。

③牧羊犬として働いていた場所は、ヨーロッパアルプス山麓の牧場であるが、国の名前は知らない。 

 ④死後霊界で神に出会い、人間に生まれ変わって犬たちの気持ちを人間に伝えたいと訴え、それが許されて人間に生まれ変わることができた。

⑤人間としての生まれ変わりは現世で5回目である。

こうして第2回セッションは終結しました。

2回目のセッションによって強迫性障害のさらなる改善が期待されたのですが、セッション直後からぶり返しが繰り返し起こり、一進一退状況のメール報告が毎日10日ほど届き、その都度アドバイスをしてきました。

やがて、2週間ほどの経過後、症状悪化の報告が止まりました。

 

【現在の状況報告】第2回セッション41日後

第2回セッションから41日後、セッションのブログ上での公開許可と現在の改善状況をメールで尋ねたところ、次のような返答が届きました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ご連絡ありがとうございます!!
良くなったり悪くなったりを繰り返しながら前に進んでいるのを日々実感しています。
前は『辛い苦しいどうしてこんなことになってしまったのか』と悲観し続ける毎日だったのですが、今は『これは私が成長する為に与えられたギフトだ』と前向きに捉えられるようになり、まだ苦しい日々ですが、少しずつ前進している自分にワクワクもするというか、変な気持ちです。今も
精神科から処方された薬は服用しないで生活できています。

過去生の犬だったときのことはあまり分からないのですが、苦しくなったときに、そこに居るのが『ケージの犬』なのか『自分』なのかわからなくなるときがあります。

そのときにやはり『閉じ込められて自由がなくなること』に対しすごく恐怖や不安を感じるのは、過去にそういう経験をしたんだなと感じています。

是非ブログに紹介して下さい^^
今まで散々助けて頂いたので、何かお力になれれば嬉しいです。
よろしくお願い致します!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以上のように、SAM前世療法の2回のセッションによって、2年間服用してきた精神科医から処方された薬は服用しないで生活できているという報告から、セッションによる改善が起こった事実は、ほぼ認められると判断できます。

ただし、精神科の治療に2年間通い、苦しんできた強迫性障害の改善が起きたからといって、彼女に牧羊犬であった前世が真実であったという即断はできないと思われます。牧羊犬の前世の検証は当然のことながら不可能ですから。したがって、判断留保とすることが妥当だと考えます。

この事例では、牧羊犬の前世以外の強迫性障害の発症原因があった可能性もあるでしょう。たまたまケージに閉じ込められた犬によって触発され、隠されていた何らかの精神疾患が発症したのかもしれません。

また、ナラティブセラピイ(物語療法)の観点から解釈すれば、強迫性障害の苦しみから逃れるために、牧羊犬の前世の物語を無意識的に作話した可能性も完全に排除はできません。

ただし、彼女との面接で統合失調症の特徴的兆候は観察できませんでしたし、かかりつけの精神科医も強迫性障害以外の診断名は挙げていません。

そして、催眠中に意図的作話はできないとされていますから、これは排除していいでしょう。残るは、催眠中の創造性活動の活性化によって無意識的な作話をしたという解釈になりますが、なぜ牧羊犬の前世を作話しなければならない必然性があるのか、説得力のある説明ができないように思います。

「狐憑き」のように、牧羊犬の霊が憑依して語ったのだという解釈もできそうですが、憑依霊の憑依がある場合には、SAM前世療法の最終プロセスである「魂遡行催眠」中に、そうした憑依霊の顕現化が起こることが、これまでのセッションの累積から判っています。それも起きてはいません。

スピリチュアリズムでは、人間との心的交流の濃厚であった犬や猫などの愛玩動物のなかには、稀に人間に生まれ変わることがある、という見解があるようです。

牧羊犬の前世の真偽は判断留保とするしかありませんが、現時点ではスピリチュアリズムのこの見解を採用することが妥当かつ納得できるのではないか、とわたしは思っています。

動物の生まれ変わり事例があるという可能性は、今後のSAM前世療法のセッションの新しい地平を拓くことになり、今後のセッションの累積から明らかになっていくかも知れません。

 

その2 前世人格に憑依している未浄化霊の顕現化

 

次に紹介する事例は、わたしの主宰している「SAM催眠塾」修了生である女性セラピストからの質問です。

わたしが一度も経験したことのない事例です。しかし、今後のSAM前世療法の新しい可能性を拓くであろう事例ですので、質問に解答する形で紹介します。

以下が質問メールです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いつもお世話になりありがとうございます。突然のメールに驚かれたと思います。

今回メールを差し上げたのは、セッションで起こる不可解な出来事について先生のご意見を承りたいからです。お忙しいとは存じますが、一読していただけますようお願いいたします。

 この一年、セッションをさせていただいている中で不思議な事が起こりました。

 それは、前世人格を顕現化させると、前世人格を恨んでいる未浄化霊が何体も憑いたまま一緒に転生しているという事です。

 2019129日、私は前世で女性を殺しているような気がしますと訴えるMさんがいらっしゃいました。お話を聞くと、夢で殺している同じ場面を何度も見るというのです。

女性を殺した前世人格に出てきてもらうと、邪馬台国時代の男性でした。ものすごく苦しい顔をされます。何があったのか聞いてみると、女性二人に首を絞められているというのです。どうやらその男性の前世は、女性二人を殺したため、その女性たちの未浄化霊が前世人格の首をずっと絞めながら一緒に転生していたという事がわかりました。

浄霊をしてその時は、疑問も持たずセッションを終わりました。その後も、話せるクライアントが未浄化霊に苦しめられていると浄霊をするという事がたびたびありました。私自身、少し霊感があります。霊がうっすらと見えたら浄霊することもありました。

20207月頃より、魂の状態までもどっている反応があるのに、前世人格を出すと反応が悪く指の動きが鈍い現象が4例立て続けに起きました。

稲垣先生からは、「未浄化霊が憑依していると魂の状態に戻る事を邪魔します」と教えていただいています。クライアントは、2回目の人もいました。前回は、反応もよくスムーズにセッションが出来たのになぜ、突然こんな事が起こるのか頭を抱えました。

クライアントに話を聞いてみると、腕を誰かがグッと押さえていて動きたいのに動けないような感じだったというのです。

 その時、私自身の経験を思い出したのです。先生にセッションをしていただいたのですが、魂の状態まで戻るけれども、私の体の上に大きな黒い闇が覆い被さって身動きができない状態が半年ほど続いたのです。先生が、生き霊がつかないようにバリアを考案してくださってからその現象はなくなりました。

「黒い闇」は、生き霊だった可能性があると思いました。ということは、生き霊は、私の成功を望んでいないのだから、クライアントに覆い被さって体を動かさないようにしているのではないかと考えたのです。

それ以来、私に飛ばされている生き霊がいるのかどうか確認しました。生き霊がいなくなるとクライアントの指の動きもスムーズになりました。(今は、私自身の霊体が強くなりセッションの邪魔は出来ないようです。)指の動きの変化は、前世の状態を表しているとも考えるようになりました。

指の動きがスムーズにいくと、顕現化した前世人格の気持ちや伝えたいことがはっきりとわかるので、クライアントの指の動きを私はとても気づかっていました。指に注目しながらセッションをするようになっていました。

というのも、ヒーリングをした後、指の動きが活発になるクライアントの事例が30例ほどありました。私自身セッション体験時、前世人格が、顕現化すると辛くて辛くて回答している心の余裕が無いという前世人格が何人かいました。そう考えると、これは、ヒーリングをして前世人格が落ち着けばスムーズにいくのではないかと考えたのです。

すると、同じクライアントでも顕現化する前世人格によって指の動きに違いがあることに気づき始めました。ヒーリングをしても反応が鈍い、私に飛ばされた生き霊と聞いても違うと反応します。けれど、明らかに他の前世人格たちと指の動きが違うのです。おかしいおかしいと思いながら月日がたちました。

202010月ごろから、先祖を恨む未浄化霊が引き起こした不幸の話が立て続けに3例ありました。

その中の1例が私の考え方をがらりと変えました。

Yさんの娘さんは、医療ミスにより水子が一人いらっしゃいました。魂の状態に戻す過程で、水子がこられていますか?と聞くと指が上がります。Yさんのご家庭で起きている数々の問題は水子がやったのかと聞くとそうだと言ってまた指があがります。

水子の供養を手厚くされている事を聞かせていただいていたので何かおかしいと思いました。そこで、ご先祖様に変わっていただきました。何人来られているか聞いてみると1000人程だと反応が出ました。

こんな数聞いたことがありません。1000人のご先祖が霊界に行けないということは、誰かが邪魔をしていると考えました。そこで、Yさんのご先祖を恨んでいる未浄化霊を指に憑依させることにしました。

未浄化霊は1000人程いると答えました。未浄化霊は、先祖も恨んでいるがこの水子が憎い。水子の前世が憎いから、生まれさせる訳にはいかないと医療ミスをおこさせたと反応しました。水子はYさんの先祖の中の一人だったようです。

未浄化霊たちは、霊界に行けないようにしたり、嫌がらせをしているようです。水子や先祖はそれに耐えられなくて助けて欲しいと、Yさん家族に色々問題を起こしていたとわかりました。火に油を注ぐように、Yさんのご先祖や水子を恨む未浄化霊も動いていたようです。

 物質的には、小さな赤ちゃんだけれども魂は転生を繰り返したもの。見えている世界と見えない世界の感覚のギャップに驚きました。人の念とは恐ろしいものだと実感したセッションでした。

 未浄化霊を甘く見ていたと感じました。

未浄化霊が、邪魔をして人生に大きな影響を与えている場合があると考えると、セッション中に顕現化した前世のものたちについている未浄化霊を祓っていかないと道が開きにくいのではないかと考えたのです。

 以前からクライアントに顕現化した前世人格の感情も読み取れたり、画像が見えました。前世人格の状態の悪いところも体で感じます。

20201129日、頭が割れそうなほどの頭痛や吐き気、体を押さえつけられるほどの圧力がありました。一体どこから来るのか?

もうろうとする中、直感のようなものが走りました。未浄化霊に苦しめられているのを訴えていると感じました。振り返ると、クライアントに未浄化霊が乗っかっています。クライアントに顕現化した前世人格に、「あなたに、未浄化霊がいて苦しいの?」と聞くと指がグググと震えて上がります。

前世人格に憑いている未浄化霊を浄霊をすると、クライアントの指もスムーズに動き不思議と私の体調不良も改善することがわかりました。セッション後、体が軽くなったと話すクライアントも多くいらっしゃいます。

それ以来、指の動きが鈍いときや霊気などを感じた時、特定の職業の場合はこちらから未浄化霊がいるかを確認するようになりました。

最近では、未浄化霊が付いていない前世人格の方が少ないとさえ感じます。

正確な数は把握できていませんが、30例ほどの事例が出ています。「未浄化霊が前世人格に憑いて転生を一緒に繰り返している」ということは、真偽の検証ができない諸事例ですが、塾で講義を受けた意識現象の事実では説明できない、腑に落ちない現象が続いています。

 この不可解な現象について、稲垣先生のご意見をお聞かせいただだけると幸いです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【質問解答】

最初に結論から言います。


あなたのセッションであらわれた「未浄化霊が前世人格に憑いて転生を一緒に繰り返している」という不可解な意識現象の事実は、SAM催眠学の作業仮説ではありうると考えます。

その理由を「SAM催眠学その124」の「魂の二層構成仮説」の項を下記に抜粋再掲しながら説明します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
脳は意識を生み出してはいない、脳と意識は密接な相互関係、対応関係にあるが、本来別物である、とする立場を「意識と脳の二元論仮説」という。脳が意識を生み出すという因果関係を否定する仮説である。大脳生理学者でノーベル賞学者の、ペンフィールド、スペリー、エックルズ、催眠学者の成瀬悟策などが実験研究の末に晩年になって唱えている。しかし、彼らは、それでは意識どこで生まれるのか、という根本問題については一切述べていない。分からないのである。
 

SAM催眠学では、わたしあて霊信の告げている「魂の二層構成仮説」を採用し、意識を生み出しているのは、魂表層を構成している前世の者たちである、と考えている。
魂の二層構成」を理解しやすいように、円を用いて二次元モデルの模式図にしたものが下図である。

 

  「魂の二層構成とその転生の模式図]


左から右への矢印は時間軸を意味している。
大円、魂の核Xの下に引いてある接線は、魂表層の「前世の人格」と、肉体を持つ「現世の人格」の区別のための補助線である。
つまり、補助線より下の小円が肉体に宿る現世の人格になる。
補助線より上の小円が、前世の諸人格である。
したがって、右端の3つ目の模式図を例にとると、魂表層の現世人格小円Cは、小円Aと小円B二つの前世人格とともに、3回目の現世の人生を送っている魂をあらわしている。

意識は魂表層の小円A、小円Bの前世人格たちと
小円Cの現世人格が生み出しているというわけである。

魂の転生の仕組みを模式図の時間軸にしたがって説明してみる。

魂の核大円(X)は、最初の肉体に宿ると、その表層に小円という現世人格(の意識体)を生み出す。(左端の図)

現世人格はその肉体の死後、魂の核大円(X)の表層を構成する前世人格小円Aとして位置づき、死後も魂表層に存在し続ける。(真ん中の図)

そして魂は、次の来世の肉体に宿ると、新たに小円という現世人格を魂表層に生み出す。(真ん中の図)

さらに小円Bという現世人格は、肉体の死後魂表層の前世人格小円Bとして位置づき、先に位置付いている前世人格小円Aとともに魂表層を構成し死後存続する。(右端の図)

次の来世では小円Cという現世人格を魂表層に生み出し、先に表層に位置づいている前世人格小円A小円Bとともに魂表層を構成する。(右端の図)

このように、魂の核であるは、新しい肉体を得るたびに諸前世人格を魂表層に次々に位置づけ魂表層の構成単位として包含し、転生していく。
現世人格であった・BC・・・などは死後も、それぞれの生前の人格、個性、記憶を保ちながら、魂の核とともに魂の表層を構成する諸前世人格として死後も存続している。
これを「魂の二層構成仮説」と呼ぶ。
つまり、「核となる意識体」と、その「表層を構成している諸前世人格」の二層を合わせた全体を「魂」と呼ぶ。

こうして、生まれ変わりの回数分だけの前世の諸人格が、現世人格とともに魂の表層を構成しながら死後存続している、というのがSAM前世療法で確認してきた意識現象の累積によってが明らかなってきた魂の構成とその転生の仕組みである。(SAM催眠学序説その124より抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あなた(註:質問者の女性セラピスト)の質問は、上の図の右端図でいうと前世人格である小円A、小円Bにも、それぞれに複数の未浄化霊が憑依していることがありうるかどうかという質問でしょう。

その解答は最初に述べたように、「未浄化霊が前世人格に憑いて転生を一緒に繰り返している」という不可解な意識現象の事実は、SAM催眠学の作業仮説によれば、ありうるということです。

その理由は、SAM前世療法の実践から得た結論として、未浄化霊は現世人格の霊体に憑依することが判っているからです。つまり、現世人格の霊体には未浄化霊の意識も宿っています。

わたしあて第14霊信で「死後、霊体は魂から離れる。だが、それらの意識は魂に取り込まれる。そして、魂の者となるのだ」と告げられています。

「魂の(表層の)者」とは生きているうちは「魂表層の現世の者」であり、死後は「現世の直前を生きた前世の者」です。

転生の模式図の真ん中の図の「前世人格小円A」に当たります。この前世人格小円Aに、霊体の意識と同時に霊体に憑依していた未浄化霊の意識ごと「取り込まれる」わけですから、前世人格小円Aは未浄化霊を憑けたまま魂表層に位置づいているというわけです。

こうして、「未浄化霊が前世人格に憑いて転生を一緒に繰り返している」という不可解な意識現象の事実は、SAM催眠学の作業仮説によればありうる、ということになります。

これまでわたしには、魂状態まで遡行が成功したことが確認できた後、顕現化した前世人格の反応が止まってしまう事例が9%程度ありました。

こうした反応停止現象は、わたしあて第12霊信で告げられた「守護的存在からの意図である」と判断し、それ以上のセッション遂行を断念してきました。

しかし、そうではなく、「未浄化霊が前世人格に憑いて転生を一緒に繰り返している」というあなたの発見した観点は、前世人格に憑依している未浄化霊を浄霊するという作業によって前世人格との対話ができるようになる可能性が出てきたという朗報だと思います。わたしも、「守護的存在からの意図である」と断念する前に浄霊作業を試みたいと思います。

あなたのご質問のようにこうした問題意識にこだわることこそ探究の原動力であり、SAM前世療法の新しい地平を拓くことになるだろうと期待しています。

 

本ブログのコンセプトは「いかなる意識現象も先験的に否定せず、いかなる意識現象も検証なくして容認せず」としています。

そして、応答型真性異言「ラタラジューの事例」、「タエの事例」を掲げて、生まれ変わり仮説を科学的事実として主張しています。

したがって、 本ブログの記事は、「観念より事実、理屈より実証」を理念として重きをおくように努力してきました。

 霊魂の実在、高級霊・未浄化霊・生き霊など霊的存在の実在、生まれ変わりの実在、などいわゆる「霊的真理」についての観念的な言説は、古来掃いて捨てるほどあります。

そうした、霊的真理についての観念的言説の閉塞的状況に風穴を開けるべく、言説を裏付ける何らかの科学的実証をともなった具体的事例が提示されることを、精神的価値を真摯に考える人たちは求めておいでになるだろうと思います。

今年1年の本ブログが、そうした精神的価値を真摯に求める読者のみなさまに少しでもお役に立てたならうれしく思います。

6 件のコメント:

Glsp_10 さんのコメント...

こちらの記事を読んで正直怖くなりました。前世で誰の恨みも買っていない人なんていないと思います。未浄化霊の仕業で災いが起きている場合、どうやってそれを解消すればいいのでしょう。誰もが前世療法を受けられる訳ではありません。自力でどうにかする方法はないのでしょうか?

ツタンカーメン さんのコメント...

私は、霊感が強く、長年霊能者にお世話になって浄霊をしていただいていました。霊能者には、「気持ちを強く持ちなさい!!」と言われますがどう強く持てばいいのか、さっぱりわかりませんでした。
自分自身でも、ネット情報やその類の本を読みあさっては、お札を書き真言を唱えていました。全く効果はありません。結局毎月、霊能者のところへ行き浄霊してもらう生活が10年以上続きました。

浄霊してもまた霊が憑いてくる。精神的に疲れました。「このまま、ずっと浄霊をしてもらわないと生きていけないのだろうか?」いつも霊におびえどこにもいけませんでした。「私の人生は、こんな小さな世界で終わってしまうのだろうか?何のために生まれてきたのだろうか?皆には見えないものが何故見えるのか?何故、感じるのか?」毎日悶々としながら、こんな生活が嫌で嫌で仕方がありませんでした。

SAM前世療法のセッションをしていただいて、何かが変わり始めたのを感じました。始めは、何が変わったのか全くわかりません。ただ、「セッションを受けたい」それだけでした。セッションを受け続け2年が過ぎた頃、霊能者のところへは自然と行かなくなりました。お陰様で、今では普通に人混みも歩けるようになりお寺も行けるようになりました。コロナであちこち行けませんが、宿泊も普通にできるようになりました。


犬の前世があると今回知って本当に驚きました。宇宙人やアトランティス人が転生することを思うとうなずけます。そして、前世にも未浄化霊が憑いて転生する事を知り考えさせられました。


私は転生出来たけれど、私の前世を恨んで未浄化霊となっている者は生まれ変われないと気づきました。前世を癒してもらい私だけが幸せになっていたんだと思いました。前世に憑いている未浄化霊を浄霊していただき皆で幸せになっていけるように、先生にセッションをしていただきたいと思いました。

シュヴァル さんのコメント...

こんにちは
Gisp-10さん
自力でどうにかする方法はないのでしょうか?そもそも、未浄化霊が霊体内にいるということを
自覚することが難しいと思います

なので、自覚できないまま過ごす方が大半ではないでしょうか?

未浄化霊の転生に関しては魂に取り込まれて転生するのではなく、
魂の表層に思念が付着してるというイメージがいいように思います

私のセッションのときに先生からこの件質問されたのですが
私がこのあたりの知識に疎くうまく翻訳できませんでしたが
おそらく上記のようなことを言いたかったと推測しています

稲垣 勝巳 さんのコメント...

シュバルさんのコメントの下記「」の部分には誤解が生じるおそれがあります。

「未浄化霊の転生に関しては魂に取り込まれて転生するのではなく、魂の表層に思念が付着してるというイメージがいいように思います」

①未浄化霊自体は転生できません。転生できないから未浄化霊となって被憑依者の霊体に入り込むのです。

②被憑依者の霊体は死後脱落し、死者の霊体に入り込んでいた未浄化霊を含めて転生した新しい肉体の霊体の中に存続し続けることになります。

③未浄化霊は「残留思念の集合体」であり「霊」ではありません。その「未浄化霊の思念が魂表層に付着している」のではなく、「新しい肉体の霊体の中に存続し続ける」という解釈をするべきでしょう。

SAM催眠学のように、これまでになかった新しい主張をする場合には、誤解を避けるために明晰な概念規定をしてことばを用いたいと思います。

シュヴァル さんのコメント...

失礼しました

そうですね。付着よりも霊体に入り込んでいるのほうがより適切だと思います

Glsp_10 さんのコメント...

シュヴァルさん、コメントありがとうございました。
私は健康上の理由で前世療法を受けられそうにないので感情的なコメントをしてしまいました。申し訳ありませんでした。