SAM催眠学序説 その85
スピリチュアリストとは、スピリチュアリズムを受容している人を言います。
スピリチュアリズムとは霊的真理を説く思想であり、科学でもあり、信仰でもあります。
霊的真理とは、霊界と霊的存在の実在を認めること、霊界と地上世界とは交信できることを認めること、霊魂と生まれ変わりを認めること、などを指しています。
そしてこれら霊的真理を完全に受け入れている人を「確信的スピリチュアリスト」と言います。
私は、2006年5月に『前世療法の探究』出版以後、様々な霊的現象が津波のごとく押し寄せ、その検証過程で、霊的真理を受け入れざるを得ないようになっています。
スピリチュアリズムの聖典であるシルバーバーチやスティトン・モーゼスやアラン・カルディックなどの霊信記録の本を読み、共鳴したわけではありません。
霊能者と呼ばれる特殊能力者の言説に影響されているわけでもありません。
私は、そうしたもっともらしいことに興味は持っても、鵜呑みにできない左脳的人間で、懐疑的思考のほうが勝っています。
自ら実証できたことが第一義という立場を崩すことができない霊的に無能者と言ってよい人間です。
したがって、私は、霊的な世界というものを、徹底的に疑って知的に否定した後に、それでも認めざるを得なくなった立場がスピリチュアリズムということになります。
「SAM前世療法」の作業仮説は、私あて霊信の恩恵抜きには生まれなかったことは確かですし、その作業仮説によって、応答型真性異言現象をこの手で確認し実証してからは、霊信の事実や、霊魂の存在と生まれ変わりを事実として認めないわけにはいかなくなっています。
おまけに、ヒーリングや浄霊らしき能力が備わってきたという事実も確認しています。
そうした意味で、敢えて言うなら、私は「実証的スピリチュアリスト」なのだろうと思います。
なぜ、私が実証的スピリチュアリストになっていったのか、それへと否応なしに引き寄せたエピソードを紹介していきます。
前世遡行に成功し「タエの事例」を語った2005年6月4日から一週間ほど経って、里沙さんの左腕が赤黒く変色するという異変が起こ りました。
赤黒い変色とともに重くだるいという自覚症状を心配した彼女は、医師の診察を受けましたが特に医学的所見はなく、経過を見ましょうという ことでした。
そうした中、蛍見物に出かけ、舞っている蛍に向かって左手のひらを広げたところ、5~6匹ほどの蛍が左手のひらにとまったそうです。
蛍は羽根を 休めて後、数分して飛び去りました。
この事実は同行した信頼に足る目撃者からの証言を得ています。
また、左腕の変色と重くだるいという症状はこの後消失した そうです。
この不思議な現象に遭遇した里沙さんは、タエとしての前世で、左腕を切り落とされたことが咄嗟に脳裏に閃(ひらめ)いたそうです。
そして、左手 のひらから何らかのヒーリングエネルギーが放射されているので、衰弱した蛍がエネルギー補給のために飛んできたのではないかと直感しました。
そこで、ご主 人や知人の腰痛・肩凝り・関節痛等にヒーリングを試したところ顕著な改善効果が確認されたとのことです。
こうしたヒーリング能力の出現と同時に、直接でも遠隔透視によってもオーラが見えるようになったと言います(ただし、強い輝きを放っている人の 場合に限るとのこと)。
さらに、生き霊や死霊(未浄化霊)が取り憑いていると、その人の名前・住所など本人が特定できる情報を聞いただけで、悪寒・吐き気・頭痛など体調が悪化するという反応が起こるようにもなったそうです。
厳密な検証実験をしたわけではありませんが、何らかの霊的能力が発現 したように思われます。
過去の文献にも、非常に深い催眠体験後、稀に透視など超常能力が出現したという報告があるのですが、どうやら里沙さんにも、「タエの事例」を体験したことを境に、そうした超常的能力ないし霊的能力が出現したことは、かなり可能性が高いと判断しています。
『前世療法の探究』出版二ヶ月後の2006年8月31日、私にヒーリング能力があることが偶然発見されました。
以来、母親の股関節痛へのヒーリングに始まり、その数は数百名近くになると思います。肩凝りをはじめ腰痛・背中痛・五十肩・股関節痛・ アトピ-性皮膚炎・椎間板ヘルニア・子宮筋腫の痛み、子宮腫瘍・心筋梗塞発作・ふくらはぎ筋肉痛、大腸 癌等に実施して改善効果の検証をしてきましたが、成績は良好です。
特に痛みの解消と血行改善には効果がみられます。
私のやり方は、両手の平(左手のほうがエネルギーが強いようです)を五分間患部に軽く当てるだけです。
当てると同時に、どこかから送ってくる であろう存在に対して、「この者に必要な最良の治療をお願いします」と念じますが、その後は精神集中などは全く不要で、テレビを見ようが会話をしようが一 向に構わないのです。
ただし、このエネルギーは、意志によるコントロールは不能です。向こう側からやってくるのにお任せというわけです。
クライアントは、懐炉を当てているような明らかに私の体温以上の熱感を感じることが多いようです。
なかには、ヒリヒリした感じとか、もわもわした圧力やひんやりした感じ、あるいは頭頂部や指先までエネルギーが走る感じや、汗が出るのを報告する クライアントもいます。
また、エネルギーの放射能力を伏せて、相手の手のひらに私の手のひらを三センチ程度近づけても、熱感やヒリヒリ感、モワモワした圧力感などを感 知すると報告しますから、これが暗示効果によるものでないことは明らかです。
計測不能の何らかのエネルギーが手のひらの中心辺りから放射されている事実は 間違いないと思われます。
手のひらにも、微細な振動をしている薄い膜が張った感じがあり、その膜に熱を帯びた感覚があらわれます。
私は、気功やレイキなどのエネルギー療法を見たことも、訓練したことも一切ありませんし、そもそもエネルギー療法については極めて懐疑的な立場 でした。せいぜい暗示効果ないし、プラシーボ効果によるものであろうと思っていました。
そういう懐疑的な自分にヒーリング能力が突如現れたことが何とも不 可解で奇異な感じがしています。
容易には認めがたいのですが、これはひょっとすると、霊による治療、すなわちスピリットヒーリングが起こっているのではな いかと思います。
それは、いわゆる「気」などの、見えない身体エネルギーによるヒーリングとは違って、自分が極度に集中する必要もなく、まったく疲れることもな いということ、そして、遠隔治療においても効果があるからです。
さらに、霊が見えると主張する三名の人からは、私の背後に複数のよい霊が見える、あるい は感じると指摘されました。
デモンストレーションを見学したやはり霊的な感受性があると主張する三名からは、手のひらから白い霧状の粒子が盛んに放射さ れているのが見えたと報告を受けています。
こういったことに実証性があるわけではありませんが、ありうることではないかと思っています。
2006年12月22日、里沙さんにお願いして彼女の守護霊との直接対話実験をさせてもらいました。
深い催眠中に中間世へと導き、そこで偉大な存在者 を呼び出して憑依してもらい、私が直接対話するという実験は、前掲書の「タエの事例」で紹介してあるとおりです。
それを再度試みようというわけです。
その理 由は次のような四つの質問の回答を得るためであり、憑依の真偽の検証を試みるためでもありました。
①タエの事例は、偶然語られたものか、何かわけがあって語られたものか?
②稲垣に突如あらわれたヒーリングのエネルギーは、どこから送られてくるものか?その治療エネルギーが稲垣にあらわれた理由が何かあるのか?
③スピリットヒーリング能力のある者は、たいていは霊視などの霊能力を持っているが、稲垣のエネルギーがそうであるなら、なぜ稲垣に霊能力がないのか?
④稲垣の守護霊の素性が分かるならその名を教えてもらえないか?
実験前に彼女に伝えておいた質問内容は、前述②(筆者のヒーリングエネルギーの出所)のみで した。①③④の質問について彼女には知らせることを意図的に伏せて実施しています。
伏せた意図は、彼女に前もって回答を準備できる時間を与えないためで す。
里沙さんに憑依したと思われる、彼女の守護霊と思しき存在との40分にわたる対話の録音を起こし、できるだけ生のままの語りの言葉を用いて、上記四つの 質問に対する回答を要約してみると以下のようになります。ただし、質問はこれ以外にもいくつかしていますから、それらの回答を含めて次の5項に整理し要約 してあります。
①タエの事例は偶然ではありません。計画されあなたに贈られたものです。計画を立てた方はわたくしではありません。計画を立てた方はわたくしよりさらに上におられる神です。
タエの事例が出版されることも、新聞に掲載されることも、テレビに取り上げられることもはじめから計画に入っていました。あなたは人を救うという計画のために神に選ばれた人です。
②あなたのヒーリングエネルギーは、霊界におられる治療霊から送られてくるものです。治療霊は一人ではありません。治療霊はたくさんおられます。その治療霊が、自分の分野の治療をするために、あなたを通して地上の人に治療エネルギーを送ってくるのです。
③あなたの今までの時間は、あなたの魂と神とが、あなたが生まれてくる前に交わした約束を果たすときのためにありました。今、あなたの魂は大きく 成長し、神との約束を果たす時期が来ました。神との約束とは、人を救う道を進むという約束です。その時期が来たので、ヒーリング能力も前世療法も、あなた が約束を果たすための手段として神が与えた力です。しかし、このヒーリングの力は万能ではありません。善人にのみ効果があらわれます。悪とはあなたの進む 道を邪魔する者です。今あなたを助ける人がそろいました。どうぞたくさんの人をお救いください。
④神はあなたには霊能力を与えませんでした。あなたには必要がないからです。霊能力を与えなかった神に感謝をすることです。
⑤守護霊に名前はありません。わたくしにも名はありません。あなたの守護霊はわたくしよりさらに霊格が高く、わたくしより上におられます。そうい う高い霊格の方に守られている分、あなたには、成長のためにそれなりの試練と困難が与えられています。これまでの、あなたに生じた困難な出来事のすべてが はじめからの計画ではありませんが、あなたの魂の成長のためのその時々の試練として与えられたものです。魂の試練はほとんどが魂の力で乗り越えねばなりま せん。わたくしたちはただ見守るだけです。導くことはありません。わたくしたちは魂の望みを叶えるために、魂の成長を育てる者です。霊能力がなくても、あ なたに閃くインスピレーションが守護霊からのメッセージです。それがあなたが迷ったときの判断の元になります。あなたに神の力が注がれています。与えられ た力を人を救う手段に使って人を救う道に進み、どうぞ神との約束を果たしてください。
里沙さんに憑依したと思われる、彼女の守護霊とおぼしき存在は、以上のようなメッセージを回答として伝えてきました。
そのときの語りの様子は、「タ エの事例」で憑依実験したときと同じく、彼女の表情は能面様の全くの無表情に変化し、声は低音で、囁くような、抑揚のない、ゆったりと厳かな調子の、別人同様の声音に変化していました。
観察される限りでは、ふだんの里沙さんとは別人格の第三者が語ったように思われます。
憑依を解き、催眠から覚醒直後の里沙さんは、数分間話そうにも声が出ない状態になり、膝から下が冷え切って麻痺し、立ち上がれないという疲労の 極みに陥っていました。
立てるようになるまで20分ほど休んでから帰宅しましたが、翌日になっても疲労は回復せず動けない状態が続き、三日目にやっと回復 したという報告を受けています。
さて、これまで2005年6月4日の「タエの事例」セッション以後、里沙さんと稲垣 にあらわれた三つの超常的能力・現象について紹介してきました。
このうち、ヒーリング等の超常的能力出現については検討するまでのない事実として認めざるをえません。
では里沙さんの守護霊を主語とする存在者 の語りはどうでしょうか。
語られた内容について、できるだけ公正な立場に立って検討・考察をしてみたいと思います。
ただし、この検討・考察は、自分にはス ピリチュアリズムに関する知識・情報がない、という里沙さんの証言を前提としていることをお断りしておきます。
また、超ESP仮説(里沙さんが稲垣の心も 含め、地上のどのような情報にも自由にアクセスできる無制限なESP能力を持っているとする仮説)も、ここでは考慮外としています。
ここで検討してみることは、守護霊を守護とする語りの内容は里沙さんの既有の知識を元に彼女自身が語ったのだ、と解釈できるかどうかということです。
そうであるならば、守護霊とおぼしき存在者は、里沙さんの無意識的な役割演技で説明されうることになり、語りの事実が超常的現象である可能性は排除されるからです。
以下にまず全体の考察を、次いで守護霊の語り①~⑤の語りの内容について、それぞれに検討と考察を加えてみます。
まず、全体としての考察をしてみますと
①「存在者」は、里沙さんとは異なる位相の視点・情報から発話している。
②催眠を解く前に「催眠中に語ったことはすべてはっきり思い出せる」という暗示を強 調したにもかかわらず、「存在者」が憑依したと思しき間の里沙さんの記憶は完全に 欠落している。
③録音された自分の語りを試聴した里沙さんの実感として、声からも語りの内容からも、自分と「存在者」とは全く同一性の感じられない他者であると認識されている。
④憑依を体験し、催眠から覚醒後の里沙さんの疲労状態は、通常の催眠後とは明らかに異質な極度の疲労状態に陥っている。
以上の4点は、「存在者」の憑依を支持できる状況証拠だと考えることが可能でしょう。
ただし、①については本人に内在している「心の力」つま り、「高位自我=ハイヤーセルフ」説で説明可能かも知れません。
深い催眠中には、通常の里沙さんの持つ能力をはるかに超えた超常的叡智が現れるというわけ です。
しかし、②・③については「高位自我」説では説明が収まり切れません。
もともと里沙さんの心に内在している「高位自我」の語りであれば、解催眠 前に強調した記憶再生暗示で、催眠後にその語りの内容が記憶として出てくるはずだと考えられるからです。
また、彼女に解離性同一性障害などの精神障害がな いことは明白ですから、「存在者」の語りに対して全く同一性を感じられないということも説明が困難です。
単に催眠性健忘として片付けられる問題ではないと 考えられます。
④の極度の疲労感について確かなことは言えませんが、憑依した「存在者」が里沙さんに長時間(約40分間)の対話をさせるために、彼女の脳髄が酷使された結果ではないかという解釈ができるかも知れません。
次に守護霊 の①~⑤の語りについて一つずつ検討してみましょう。
まず守護霊の①の次語りの内容について検討してみます。
①タエの事例は偶然ではありません。計画されあなたに贈られたものです。計画を立てた方はわたくしではありません。計画を立てた方はわたくしよりさらに上におられる神です。
タエの事例が出版されることも、新聞に掲載されることも、テレビに取り上げられることもはじめから計画に入っていました。あなたは人を救うという計画のために神に選ばれた人です。
里沙さんのスピリチュアリズムについての知識は、治療霊が存在すること以外にはありません。したがって、スピリチュアリズムでいう「神の計画」つ まり、地上の人間に霊的真理(魂と生まれ変わりの存在、霊界の存在、霊との交信可能など)を啓発し、霊的覚醒を促す計画があることは知識として持っている はずのないものです。
彼女の無意識の役割演技などでは淀みなく発話される内容ではないと思われます。
この計画についての語りは、スピリチュアリズムの高級霊からの霊信内容に一致していると考えることができるでしょう。
②あなたのヒーリングエネルギーは、霊界におられる治療霊から送られてくるものです。治療霊は一人ではありません。治療霊はたくさんおられます。その治療霊が、自分の分野の治療をするために、あなたを通して地上の人に治療エネルギーを送ってくるのです。
上記 ②の治療霊の存在については、里沙さんの知識としてある程度あるはずです。
彼女の脊柱側湾症による痛み改善のためにヒーリングをした機会に、ヒーリングエ ネルギーと治療霊について話題にしているからです。
また、彼女は霊感によって、稲垣の背後に憑いている複数の治療霊らしき霊の存在を感知できると語ってい るからです。
しかも、稲垣のヒーリング能力についての質問をすることについては、催眠に入る前に彼女に知らせてありました。
したがって、治療霊とその治療 エネルギーについての守護霊の回答は、彼女の既有の知識を語った可能性を排除できません。
③あなたの今までの時間は、あなたの魂と神とが、あなたが生まれてくる前に交わした約束を果たすときのためにありました。今、あなたの魂は大きく成長し、 神との約束を果たす時期が来ました。神との約束とは、人を救う道を進むという約束です。その時期が来たので、ヒーリング能力も前世療法も、あなたが約束を 果たすための手段として神が与えた力です。しかし、このヒーリングの力は万能ではありません。善人にのみ効果があらわれます。悪とはあなたの進む道を邪魔 する者です。今あなたを助ける人がそろいました。どうぞたくさんの人をお救いください。
守護霊の語り上記③の、稲垣が生を受ける前の「魂」と「神との約束」についての語りは、里沙さんの想像力が駆使され、稲垣への願望が投影された彼女の役割演技だと解釈できるかもしれません。
しかし、稲垣にヒーリング能力があらわれた理由がそれなりに矛盾なく説明され、瞬時に淀みなく語られた事実を考えると、守護霊と呼ぶ「存在者」 の憑依可能性を否定できるものではないと思われます。
ちなみに、「稲垣の魂が大きく成長した」という語りは、「タエの事例」に遭遇以来、世界観・価値観が 魂と生まれ変わりの存在を視野に入れたものへと転換し、現世的欲望へのとらわれから自由度を増した精神状態を指している気がしないわけでもありません。
スピリチュアリストとは、スピリチュアリズムを受容している人を言います。
スピリチュアリズムとは霊的真理を説く思想であり、科学でもあり、信仰でもあります。
霊的真理とは、霊界と霊的存在の実在を認めること、霊界と地上世界とは交信できることを認めること、霊魂と生まれ変わりを認めること、などを指しています。
そしてこれら霊的真理を完全に受け入れている人を「確信的スピリチュアリスト」と言います。
私は、2006年5月に『前世療法の探究』出版以後、様々な霊的現象が津波のごとく押し寄せ、その検証過程で、霊的真理を受け入れざるを得ないようになっています。
スピリチュアリズムの聖典であるシルバーバーチやスティトン・モーゼスやアラン・カルディックなどの霊信記録の本を読み、共鳴したわけではありません。
霊能者と呼ばれる特殊能力者の言説に影響されているわけでもありません。
私は、そうしたもっともらしいことに興味は持っても、鵜呑みにできない左脳的人間で、懐疑的思考のほうが勝っています。
自ら実証できたことが第一義という立場を崩すことができない霊的に無能者と言ってよい人間です。
したがって、私は、霊的な世界というものを、徹底的に疑って知的に否定した後に、それでも認めざるを得なくなった立場がスピリチュアリズムということになります。
「SAM前世療法」の作業仮説は、私あて霊信の恩恵抜きには生まれなかったことは確かですし、その作業仮説によって、応答型真性異言現象をこの手で確認し実証してからは、霊信の事実や、霊魂の存在と生まれ変わりを事実として認めないわけにはいかなくなっています。
おまけに、ヒーリングや浄霊らしき能力が備わってきたという事実も確認しています。
そうした意味で、敢えて言うなら、私は「実証的スピリチュアリスト」なのだろうと思います。
なぜ、私が実証的スピリチュアリストになっていったのか、それへと否応なしに引き寄せたエピソードを紹介していきます。
前世遡行に成功し「タエの事例」を語った2005年6月4日から一週間ほど経って、里沙さんの左腕が赤黒く変色するという異変が起こ りました。
赤黒い変色とともに重くだるいという自覚症状を心配した彼女は、医師の診察を受けましたが特に医学的所見はなく、経過を見ましょうという ことでした。
そうした中、蛍見物に出かけ、舞っている蛍に向かって左手のひらを広げたところ、5~6匹ほどの蛍が左手のひらにとまったそうです。
蛍は羽根を 休めて後、数分して飛び去りました。
この事実は同行した信頼に足る目撃者からの証言を得ています。
また、左腕の変色と重くだるいという症状はこの後消失した そうです。
この不思議な現象に遭遇した里沙さんは、タエとしての前世で、左腕を切り落とされたことが咄嗟に脳裏に閃(ひらめ)いたそうです。
そして、左手 のひらから何らかのヒーリングエネルギーが放射されているので、衰弱した蛍がエネルギー補給のために飛んできたのではないかと直感しました。
そこで、ご主 人や知人の腰痛・肩凝り・関節痛等にヒーリングを試したところ顕著な改善効果が確認されたとのことです。
こうしたヒーリング能力の出現と同時に、直接でも遠隔透視によってもオーラが見えるようになったと言います(ただし、強い輝きを放っている人の 場合に限るとのこと)。
さらに、生き霊や死霊(未浄化霊)が取り憑いていると、その人の名前・住所など本人が特定できる情報を聞いただけで、悪寒・吐き気・頭痛など体調が悪化するという反応が起こるようにもなったそうです。
厳密な検証実験をしたわけではありませんが、何らかの霊的能力が発現 したように思われます。
過去の文献にも、非常に深い催眠体験後、稀に透視など超常能力が出現したという報告があるのですが、どうやら里沙さんにも、「タエの事例」を体験したことを境に、そうした超常的能力ないし霊的能力が出現したことは、かなり可能性が高いと判断しています。
『前世療法の探究』出版二ヶ月後の2006年8月31日、私にヒーリング能力があることが偶然発見されました。
以来、母親の股関節痛へのヒーリングに始まり、その数は数百名近くになると思います。肩凝りをはじめ腰痛・背中痛・五十肩・股関節痛・ アトピ-性皮膚炎・椎間板ヘルニア・子宮筋腫の痛み、子宮腫瘍・心筋梗塞発作・ふくらはぎ筋肉痛、大腸 癌等に実施して改善効果の検証をしてきましたが、成績は良好です。
特に痛みの解消と血行改善には効果がみられます。
私のやり方は、両手の平(左手のほうがエネルギーが強いようです)を五分間患部に軽く当てるだけです。
当てると同時に、どこかから送ってくる であろう存在に対して、「この者に必要な最良の治療をお願いします」と念じますが、その後は精神集中などは全く不要で、テレビを見ようが会話をしようが一 向に構わないのです。
ただし、このエネルギーは、意志によるコントロールは不能です。向こう側からやってくるのにお任せというわけです。
クライアントは、懐炉を当てているような明らかに私の体温以上の熱感を感じることが多いようです。
なかには、ヒリヒリした感じとか、もわもわした圧力やひんやりした感じ、あるいは頭頂部や指先までエネルギーが走る感じや、汗が出るのを報告する クライアントもいます。
また、エネルギーの放射能力を伏せて、相手の手のひらに私の手のひらを三センチ程度近づけても、熱感やヒリヒリ感、モワモワした圧力感などを感 知すると報告しますから、これが暗示効果によるものでないことは明らかです。
計測不能の何らかのエネルギーが手のひらの中心辺りから放射されている事実は 間違いないと思われます。
手のひらにも、微細な振動をしている薄い膜が張った感じがあり、その膜に熱を帯びた感覚があらわれます。
私は、気功やレイキなどのエネルギー療法を見たことも、訓練したことも一切ありませんし、そもそもエネルギー療法については極めて懐疑的な立場 でした。せいぜい暗示効果ないし、プラシーボ効果によるものであろうと思っていました。
そういう懐疑的な自分にヒーリング能力が突如現れたことが何とも不 可解で奇異な感じがしています。
容易には認めがたいのですが、これはひょっとすると、霊による治療、すなわちスピリットヒーリングが起こっているのではな いかと思います。
それは、いわゆる「気」などの、見えない身体エネルギーによるヒーリングとは違って、自分が極度に集中する必要もなく、まったく疲れることもな いということ、そして、遠隔治療においても効果があるからです。
さらに、霊が見えると主張する三名の人からは、私の背後に複数のよい霊が見える、あるい は感じると指摘されました。
デモンストレーションを見学したやはり霊的な感受性があると主張する三名からは、手のひらから白い霧状の粒子が盛んに放射さ れているのが見えたと報告を受けています。
こういったことに実証性があるわけではありませんが、ありうることではないかと思っています。
2006年12月22日、里沙さんにお願いして彼女の守護霊との直接対話実験をさせてもらいました。
深い催眠中に中間世へと導き、そこで偉大な存在者 を呼び出して憑依してもらい、私が直接対話するという実験は、前掲書の「タエの事例」で紹介してあるとおりです。
それを再度試みようというわけです。
その理 由は次のような四つの質問の回答を得るためであり、憑依の真偽の検証を試みるためでもありました。
①タエの事例は、偶然語られたものか、何かわけがあって語られたものか?
②稲垣に突如あらわれたヒーリングのエネルギーは、どこから送られてくるものか?その治療エネルギーが稲垣にあらわれた理由が何かあるのか?
③スピリットヒーリング能力のある者は、たいていは霊視などの霊能力を持っているが、稲垣のエネルギーがそうであるなら、なぜ稲垣に霊能力がないのか?
④稲垣の守護霊の素性が分かるならその名を教えてもらえないか?
実験前に彼女に伝えておいた質問内容は、前述②(筆者のヒーリングエネルギーの出所)のみで した。①③④の質問について彼女には知らせることを意図的に伏せて実施しています。
伏せた意図は、彼女に前もって回答を準備できる時間を与えないためで す。
里沙さんに憑依したと思われる、彼女の守護霊と思しき存在との40分にわたる対話の録音を起こし、できるだけ生のままの語りの言葉を用いて、上記四つの 質問に対する回答を要約してみると以下のようになります。ただし、質問はこれ以外にもいくつかしていますから、それらの回答を含めて次の5項に整理し要約 してあります。
①タエの事例は偶然ではありません。計画されあなたに贈られたものです。計画を立てた方はわたくしではありません。計画を立てた方はわたくしよりさらに上におられる神です。
タエの事例が出版されることも、新聞に掲載されることも、テレビに取り上げられることもはじめから計画に入っていました。あなたは人を救うという計画のために神に選ばれた人です。
②あなたのヒーリングエネルギーは、霊界におられる治療霊から送られてくるものです。治療霊は一人ではありません。治療霊はたくさんおられます。その治療霊が、自分の分野の治療をするために、あなたを通して地上の人に治療エネルギーを送ってくるのです。
③あなたの今までの時間は、あなたの魂と神とが、あなたが生まれてくる前に交わした約束を果たすときのためにありました。今、あなたの魂は大きく 成長し、神との約束を果たす時期が来ました。神との約束とは、人を救う道を進むという約束です。その時期が来たので、ヒーリング能力も前世療法も、あなた が約束を果たすための手段として神が与えた力です。しかし、このヒーリングの力は万能ではありません。善人にのみ効果があらわれます。悪とはあなたの進む 道を邪魔する者です。今あなたを助ける人がそろいました。どうぞたくさんの人をお救いください。
④神はあなたには霊能力を与えませんでした。あなたには必要がないからです。霊能力を与えなかった神に感謝をすることです。
⑤守護霊に名前はありません。わたくしにも名はありません。あなたの守護霊はわたくしよりさらに霊格が高く、わたくしより上におられます。そうい う高い霊格の方に守られている分、あなたには、成長のためにそれなりの試練と困難が与えられています。これまでの、あなたに生じた困難な出来事のすべてが はじめからの計画ではありませんが、あなたの魂の成長のためのその時々の試練として与えられたものです。魂の試練はほとんどが魂の力で乗り越えねばなりま せん。わたくしたちはただ見守るだけです。導くことはありません。わたくしたちは魂の望みを叶えるために、魂の成長を育てる者です。霊能力がなくても、あ なたに閃くインスピレーションが守護霊からのメッセージです。それがあなたが迷ったときの判断の元になります。あなたに神の力が注がれています。与えられ た力を人を救う手段に使って人を救う道に進み、どうぞ神との約束を果たしてください。
里沙さんに憑依したと思われる、彼女の守護霊とおぼしき存在は、以上のようなメッセージを回答として伝えてきました。
そのときの語りの様子は、「タ エの事例」で憑依実験したときと同じく、彼女の表情は能面様の全くの無表情に変化し、声は低音で、囁くような、抑揚のない、ゆったりと厳かな調子の、別人同様の声音に変化していました。
観察される限りでは、ふだんの里沙さんとは別人格の第三者が語ったように思われます。
憑依を解き、催眠から覚醒直後の里沙さんは、数分間話そうにも声が出ない状態になり、膝から下が冷え切って麻痺し、立ち上がれないという疲労の 極みに陥っていました。
立てるようになるまで20分ほど休んでから帰宅しましたが、翌日になっても疲労は回復せず動けない状態が続き、三日目にやっと回復 したという報告を受けています。
さて、これまで2005年6月4日の「タエの事例」セッション以後、里沙さんと稲垣 にあらわれた三つの超常的能力・現象について紹介してきました。
このうち、ヒーリング等の超常的能力出現については検討するまでのない事実として認めざるをえません。
では里沙さんの守護霊を主語とする存在者 の語りはどうでしょうか。
語られた内容について、できるだけ公正な立場に立って検討・考察をしてみたいと思います。
ただし、この検討・考察は、自分にはス ピリチュアリズムに関する知識・情報がない、という里沙さんの証言を前提としていることをお断りしておきます。
また、超ESP仮説(里沙さんが稲垣の心も 含め、地上のどのような情報にも自由にアクセスできる無制限なESP能力を持っているとする仮説)も、ここでは考慮外としています。
ここで検討してみることは、守護霊を守護とする語りの内容は里沙さんの既有の知識を元に彼女自身が語ったのだ、と解釈できるかどうかということです。
そうであるならば、守護霊とおぼしき存在者は、里沙さんの無意識的な役割演技で説明されうることになり、語りの事実が超常的現象である可能性は排除されるからです。
以下にまず全体の考察を、次いで守護霊の語り①~⑤の語りの内容について、それぞれに検討と考察を加えてみます。
まず、全体としての考察をしてみますと
①「存在者」は、里沙さんとは異なる位相の視点・情報から発話している。
②催眠を解く前に「催眠中に語ったことはすべてはっきり思い出せる」という暗示を強 調したにもかかわらず、「存在者」が憑依したと思しき間の里沙さんの記憶は完全に 欠落している。
③録音された自分の語りを試聴した里沙さんの実感として、声からも語りの内容からも、自分と「存在者」とは全く同一性の感じられない他者であると認識されている。
④憑依を体験し、催眠から覚醒後の里沙さんの疲労状態は、通常の催眠後とは明らかに異質な極度の疲労状態に陥っている。
以上の4点は、「存在者」の憑依を支持できる状況証拠だと考えることが可能でしょう。
ただし、①については本人に内在している「心の力」つま り、「高位自我=ハイヤーセルフ」説で説明可能かも知れません。
深い催眠中には、通常の里沙さんの持つ能力をはるかに超えた超常的叡智が現れるというわけ です。
しかし、②・③については「高位自我」説では説明が収まり切れません。
もともと里沙さんの心に内在している「高位自我」の語りであれば、解催眠 前に強調した記憶再生暗示で、催眠後にその語りの内容が記憶として出てくるはずだと考えられるからです。
また、彼女に解離性同一性障害などの精神障害がな いことは明白ですから、「存在者」の語りに対して全く同一性を感じられないということも説明が困難です。
単に催眠性健忘として片付けられる問題ではないと 考えられます。
④の極度の疲労感について確かなことは言えませんが、憑依した「存在者」が里沙さんに長時間(約40分間)の対話をさせるために、彼女の脳髄が酷使された結果ではないかという解釈ができるかも知れません。
次に守護霊 の①~⑤の語りについて一つずつ検討してみましょう。
まず守護霊の①の次語りの内容について検討してみます。
①タエの事例は偶然ではありません。計画されあなたに贈られたものです。計画を立てた方はわたくしではありません。計画を立てた方はわたくしよりさらに上におられる神です。
タエの事例が出版されることも、新聞に掲載されることも、テレビに取り上げられることもはじめから計画に入っていました。あなたは人を救うという計画のために神に選ばれた人です。
里沙さんのスピリチュアリズムについての知識は、治療霊が存在すること以外にはありません。したがって、スピリチュアリズムでいう「神の計画」つ まり、地上の人間に霊的真理(魂と生まれ変わりの存在、霊界の存在、霊との交信可能など)を啓発し、霊的覚醒を促す計画があることは知識として持っている はずのないものです。
彼女の無意識の役割演技などでは淀みなく発話される内容ではないと思われます。
この計画についての語りは、スピリチュアリズムの高級霊からの霊信内容に一致していると考えることができるでしょう。
②あなたのヒーリングエネルギーは、霊界におられる治療霊から送られてくるものです。治療霊は一人ではありません。治療霊はたくさんおられます。その治療霊が、自分の分野の治療をするために、あなたを通して地上の人に治療エネルギーを送ってくるのです。
上記 ②の治療霊の存在については、里沙さんの知識としてある程度あるはずです。
彼女の脊柱側湾症による痛み改善のためにヒーリングをした機会に、ヒーリングエ ネルギーと治療霊について話題にしているからです。
また、彼女は霊感によって、稲垣の背後に憑いている複数の治療霊らしき霊の存在を感知できると語ってい るからです。
しかも、稲垣のヒーリング能力についての質問をすることについては、催眠に入る前に彼女に知らせてありました。
したがって、治療霊とその治療 エネルギーについての守護霊の回答は、彼女の既有の知識を語った可能性を排除できません。
③あなたの今までの時間は、あなたの魂と神とが、あなたが生まれてくる前に交わした約束を果たすときのためにありました。今、あなたの魂は大きく成長し、 神との約束を果たす時期が来ました。神との約束とは、人を救う道を進むという約束です。その時期が来たので、ヒーリング能力も前世療法も、あなたが約束を 果たすための手段として神が与えた力です。しかし、このヒーリングの力は万能ではありません。善人にのみ効果があらわれます。悪とはあなたの進む道を邪魔 する者です。今あなたを助ける人がそろいました。どうぞたくさんの人をお救いください。
守護霊の語り上記③の、稲垣が生を受ける前の「魂」と「神との約束」についての語りは、里沙さんの想像力が駆使され、稲垣への願望が投影された彼女の役割演技だと解釈できるかもしれません。
しかし、稲垣にヒーリング能力があらわれた理由がそれなりに矛盾なく説明され、瞬時に淀みなく語られた事実を考えると、守護霊と呼ぶ「存在者」 の憑依可能性を否定できるものではないと思われます。
ちなみに、「稲垣の魂が大きく成長した」という語りは、「タエの事例」に遭遇以来、世界観・価値観が 魂と生まれ変わりの存在を視野に入れたものへと転換し、現世的欲望へのとらわれから自由度を増した精神状態を指している気がしないわけでもありません。
④神はあなたには霊能力を与えませんでした。あなたには必要がないからです。霊能力を与えなかった神に感謝をすることです。
上記の④の守護霊の語りについては、理解に苦しむところです。
稲垣に霊的能力がなくそれらに懐疑的な普通の人間の側にいるからこそ、懐疑的な普通の人間への霊的真理の啓発には却って説得力を持ち得るので、神の道具としての啓発者には適っている、という意味かも知れません。
こう考えてみると「霊能力を与えなかった神に感謝をすることです」という意味深い語りは、里沙さん自身の通常の意識からは到底出てくるはずのないもののように思われます。まして、その場の咄嗟の思いつきで回答できる類の語りだとは考えられないと思われます。
⑤守護霊に名前はありません。わたくしにも名はありません。あなたの守護霊はわたくしよりさらに霊格が高く、わたくしより上におられます。そういう高い霊 格の方に守られている分、あなたには、成長のためにそれなりの試練と困難が与えられています。これまでの、あなたに生じた困難な出来事のすべてがはじめか らの計画ではありませんが、あなたの魂の成長のためのその時々の試練として与えられたものです。魂の試練はほとんどが魂の力で乗り越えねばなりません。わ たくしたちはただ見守るだけです。導くことはありません。わたくしたちは魂の望みを叶えるために、魂の成長を育てる者です。霊能力がなくても、あなたに閃 くインスピレーションが守護霊からのメッセージです。それがあなたが迷ったときの判断の元になります。あなたに神の力が注がれています。与えられた力を人 を救う手段に使って人を救う道に進み、どうぞ神との約束を果たしてください。
上記⑤の語りは、まさにスピリチュアリズムの霊信そのものだと言っていいでしょう。そして、「守護霊に名前はありません」「魂の試練はほとんど が魂の力で乗り越えねばなりません。わたくしたちはただ見守るだけです。導くことはありません」「あなたに閃くインスピレーションが守護霊からのメッセー ジです」などの具体的な語りは、スピリチュアリズムの高級霊たちの霊信と一致し、正当な守護霊の語りとしてその信憑性が保障されているように思われます。
ここで浮上してくるのが、里沙さんはシルバーバーチなどスピリチュアリズムに関する書籍を読んでおり、それを元に語ったのではないかという疑い です。しかし、これについて彼女はきっぱり否定しています。また、それを信ずるに足る録音試聴後の感想があります。彼女は感想として次のように語っていま す。
私の守護霊は阿弥陀如来だ、と高名な信頼できる霊能者から霊視してもらって、そう信じていました。だから、私自身が守護霊の役割演技をして語る としたら、守護霊に名前はありませんとは絶対言わないと思います。阿弥陀如来です、と言ったはずです。私の守護霊に名前がないと言われてちょっとショック です。阿弥陀如来以上の守護霊はいないと思っていたから、稲垣先生の守護霊より霊格が上だと思って、密かに優越感があったのに、稲垣先生の守護霊のほうが 霊格が高いと言われたのもショックです。
つまり、彼女にスピリチュアリズムの知識があったとすれば、自分の守護霊を阿弥陀如来だなどと信じることはまず考えられません。
高級霊は原則素 性を明かさない、というのがスピリチュアリズムの常識ですから、彼女の守護霊についての知識は、仏教の説く「守護仏」と混同している程度の知識でしかな かったと判断できるわけです。
このように検討してみると、⑤の語りの主体は、里沙さん以外の憑依した「存在者」である可能性が高いと判断できるように思われます。
こうして検討を重ねてきますと、憑依したと思しき守護霊の回答は、里沙さんの意識が投影された役割演技だと解釈するよりも、彼女が霊媒の役割を果たし守護霊からの霊信を伝えたものと素直に受け取るほうが妥当性が高いのではないかと思われます。
ただし、そのように受け取るにしても、ここで述べられている内容が、絶対的に真実であると主張しているわけではありません。
SAM前世療法を始めとする稲垣の活動を、こうした言葉によって権威づけようとする意図も全くありません。
あくまで何らかの霊的存在者の一意見として、どこまでも冷静に受け 止めるべきだと考えています。
こうした言葉で自己を権威づけたり絶対化することはあってはならないことで、徹底して厳しく自戒すべきだと思っています。
特に「神の計画」「神との約束」「善と悪」といった事柄を、軽々に云々することは、極めて大きな問題をはらむものです。
こうした表現の取り扱いについては、十分過ぎるほど慎重であるべきだと考えています。
こうした催眠による里沙さんへの憑依実験の前後から、稲垣の関心は、宗教思想であり霊の科学でもあるスピリチュアリズムへと必然的に向かわざるをえないようになっていきました。
そして、私の脳裏に思い起こされたのはモーゼスの『霊訓』にある次の一節でした。
霊界より指導に当たる大軍の中にはありとあらゆる必要性に応じた霊が用意されている。(中略)
筋の通れる論証の過程を経なければ得心のできぬ者には、霊媒を通じて働きかける声の主の客観的実在を立証し、秩序と連続性の要素をもつ証明を提 供し、動かぬ証拠の上に不動の確信を徐々に確立していく。さらに、そうした霊的真理の初歩段階を卒業し、物的感覚を超越せる、より深き神秘への突入を欲す る者には、神の深き真理に通暁(つうぎよう)せる高級霊を派遣し、神性の秘奥と人間の宿命について啓示を垂れさせる。かくのごとく人間にはその程度に応じ た霊と相応しき情報とが提供される。これまでも神はその目的に応じて手段を用意されてきたのである。
今一度繰り返しておく。スピリチュアリズムは曾ての福音の如き見せかけのみの啓示とは異なる。地上人類へ向けての高級界からの本格的な働きかけであり、啓示であると同時に宗教でもあり、救済でもある。それを総合するものがスピリチュアリズムにほかならぬ。(中略)
常に分別を働かせねばならぬ。その渦中に置かれた者にとっては冷静なる分別を働かせることは容易ではあるまい。が、その後において、今汝を取り囲む厳しき事情を振り返った時には容易に得心がいくことであろう。
(近藤千雄訳『霊訓』「世界心霊宝典」第1巻、国書刊行会)
インペレーターと名乗る高級霊からのこの霊信に、報告した三つの超常的現象を引き当てて考えてみますと、この引用部分は稲垣に向かって発信された啓示であるかのような錯覚すら覚えます。
SAM前世療法にとりかかる前の私は、「筋の通れる論証の過程を経なければ得心のできぬ者」のレベルにありました。
だから、「秩序と連続性の要素を持つ証明を提供し、動かぬ証拠の上に不動の確信を徐々に確立していく」ために、「動かぬ証拠」としてタエの事例をはじめとして、ヒーリング能力の出現などの超常的現象が、霊界から私に次々に提供されているような気がしていました。
そうした直感の真偽を確かめるために、里沙さんの守護霊に尋ねてみるという憑依実験を試みたわけです。
その結果と検討・考察は、これまでに報告 したとおりです。この検討・考察は「常に分別を働かせねばならぬ」と言うインペレーターの忠告に従っていることにもなるのでしょう。
そして、分別を働かせ た結果の帰着点は、霊魂と霊界の存在を排除しては説明できないのではないかということでした。
かつての私であれば、ヒーリング効果の解釈として、プラシーボ効果であるとか、暗示効果であるとか、信念の心身相関による効果であるとかの知的・科学的説明に躍起となって、それを公正な態度だと信じて疑わなかったと思います。
しかし今、自分自身に突如ヒーリング能力があらわれ、その説明は霊界と霊魂の存在抜きでは考えられない事態になってきたように思われました。
そして、「動かぬ証拠」を次々に提供され、ようやく「霊的真理の初歩段階」を卒業しかけていることを感じています。
やはり人間は、最後は 自分自身の直接体験にこそ、自明の真実性・説得力があると言わざるをえません。
交霊能力のあったスピリットヒーラーであるハリー・エドワーズは、高級霊界が霊的治療によって地上の人々を霊的覚醒に導く計画であることを知っ ていたと言います(ハリー・エドワーズ著、梅原隆雅訳『霊的治療の解明』国書刊行会)。
里沙さんの守護霊が伝えてくれた、「人を救うという計画」という語 りがそれを指しているとすれば、「人を救う道に進むという神との約束を果たす時期が来た」私は、催眠とヒーリングを道具に、人のお役に立つ道に進むよう な流れに乗っているのかも知れないと思い始めたのです。
そして、これからの自分が、催眠とヒーリングを与えられた道具として役立たせる道を実践していくことができれば、ヒーリングの謎も守護霊の語り の真実性も、おのずと開示されていくのではないかと思います。
また、そうした開示がされないにしても、うまれかわり探究の道を愚直に進む過程で、懐疑的な態 度を離れて霊的な現象をありのままに認めていくようになっていくのではないかと思われます。
さらに、この憑依実験の直後2007年1月11日~2月14日に受信者M子さんの自動書記による霊信を受け取るという超常現象が起こりました。
この霊信については本ブログに公開してあります。
そして、この霊信の真偽を検証するための作業仮説によるSAM前世療法を試みることになっていきました。
こうして、SAM前世療法によって、2009年5月9日、生まれ変わりの動かぬ証拠である応答型真性異言現象「ラタラジューの事例」と遭遇することに至り、私はスピリチュアリズムの説く「霊的真理」をいよいよ認めざるをえないことになっていったのです。
SAM催眠学は、これまでの科学としての催眠学が、科学を標榜するがゆえに排除してきた深い催眠下における霊的意識現象を取り上げ、実証的に霊的真理を探究しようという試みです。
上記の④の守護霊の語りについては、理解に苦しむところです。
稲垣に霊的能力がなくそれらに懐疑的な普通の人間の側にいるからこそ、懐疑的な普通の人間への霊的真理の啓発には却って説得力を持ち得るので、神の道具としての啓発者には適っている、という意味かも知れません。
こう考えてみると「霊能力を与えなかった神に感謝をすることです」という意味深い語りは、里沙さん自身の通常の意識からは到底出てくるはずのないもののように思われます。まして、その場の咄嗟の思いつきで回答できる類の語りだとは考えられないと思われます。
⑤守護霊に名前はありません。わたくしにも名はありません。あなたの守護霊はわたくしよりさらに霊格が高く、わたくしより上におられます。そういう高い霊 格の方に守られている分、あなたには、成長のためにそれなりの試練と困難が与えられています。これまでの、あなたに生じた困難な出来事のすべてがはじめか らの計画ではありませんが、あなたの魂の成長のためのその時々の試練として与えられたものです。魂の試練はほとんどが魂の力で乗り越えねばなりません。わ たくしたちはただ見守るだけです。導くことはありません。わたくしたちは魂の望みを叶えるために、魂の成長を育てる者です。霊能力がなくても、あなたに閃 くインスピレーションが守護霊からのメッセージです。それがあなたが迷ったときの判断の元になります。あなたに神の力が注がれています。与えられた力を人 を救う手段に使って人を救う道に進み、どうぞ神との約束を果たしてください。
上記⑤の語りは、まさにスピリチュアリズムの霊信そのものだと言っていいでしょう。そして、「守護霊に名前はありません」「魂の試練はほとんど が魂の力で乗り越えねばなりません。わたくしたちはただ見守るだけです。導くことはありません」「あなたに閃くインスピレーションが守護霊からのメッセー ジです」などの具体的な語りは、スピリチュアリズムの高級霊たちの霊信と一致し、正当な守護霊の語りとしてその信憑性が保障されているように思われます。
ここで浮上してくるのが、里沙さんはシルバーバーチなどスピリチュアリズムに関する書籍を読んでおり、それを元に語ったのではないかという疑い です。しかし、これについて彼女はきっぱり否定しています。また、それを信ずるに足る録音試聴後の感想があります。彼女は感想として次のように語っていま す。
私の守護霊は阿弥陀如来だ、と高名な信頼できる霊能者から霊視してもらって、そう信じていました。だから、私自身が守護霊の役割演技をして語る としたら、守護霊に名前はありませんとは絶対言わないと思います。阿弥陀如来です、と言ったはずです。私の守護霊に名前がないと言われてちょっとショック です。阿弥陀如来以上の守護霊はいないと思っていたから、稲垣先生の守護霊より霊格が上だと思って、密かに優越感があったのに、稲垣先生の守護霊のほうが 霊格が高いと言われたのもショックです。
つまり、彼女にスピリチュアリズムの知識があったとすれば、自分の守護霊を阿弥陀如来だなどと信じることはまず考えられません。
高級霊は原則素 性を明かさない、というのがスピリチュアリズムの常識ですから、彼女の守護霊についての知識は、仏教の説く「守護仏」と混同している程度の知識でしかな かったと判断できるわけです。
このように検討してみると、⑤の語りの主体は、里沙さん以外の憑依した「存在者」である可能性が高いと判断できるように思われます。
こうして検討を重ねてきますと、憑依したと思しき守護霊の回答は、里沙さんの意識が投影された役割演技だと解釈するよりも、彼女が霊媒の役割を果たし守護霊からの霊信を伝えたものと素直に受け取るほうが妥当性が高いのではないかと思われます。
ただし、そのように受け取るにしても、ここで述べられている内容が、絶対的に真実であると主張しているわけではありません。
SAM前世療法を始めとする稲垣の活動を、こうした言葉によって権威づけようとする意図も全くありません。
あくまで何らかの霊的存在者の一意見として、どこまでも冷静に受け 止めるべきだと考えています。
こうした言葉で自己を権威づけたり絶対化することはあってはならないことで、徹底して厳しく自戒すべきだと思っています。
特に「神の計画」「神との約束」「善と悪」といった事柄を、軽々に云々することは、極めて大きな問題をはらむものです。
こうした表現の取り扱いについては、十分過ぎるほど慎重であるべきだと考えています。
こうした催眠による里沙さんへの憑依実験の前後から、稲垣の関心は、宗教思想であり霊の科学でもあるスピリチュアリズムへと必然的に向かわざるをえないようになっていきました。
そして、私の脳裏に思い起こされたのはモーゼスの『霊訓』にある次の一節でした。
霊界より指導に当たる大軍の中にはありとあらゆる必要性に応じた霊が用意されている。(中略)
筋の通れる論証の過程を経なければ得心のできぬ者には、霊媒を通じて働きかける声の主の客観的実在を立証し、秩序と連続性の要素をもつ証明を提 供し、動かぬ証拠の上に不動の確信を徐々に確立していく。さらに、そうした霊的真理の初歩段階を卒業し、物的感覚を超越せる、より深き神秘への突入を欲す る者には、神の深き真理に通暁(つうぎよう)せる高級霊を派遣し、神性の秘奥と人間の宿命について啓示を垂れさせる。かくのごとく人間にはその程度に応じ た霊と相応しき情報とが提供される。これまでも神はその目的に応じて手段を用意されてきたのである。
今一度繰り返しておく。スピリチュアリズムは曾ての福音の如き見せかけのみの啓示とは異なる。地上人類へ向けての高級界からの本格的な働きかけであり、啓示であると同時に宗教でもあり、救済でもある。それを総合するものがスピリチュアリズムにほかならぬ。(中略)
常に分別を働かせねばならぬ。その渦中に置かれた者にとっては冷静なる分別を働かせることは容易ではあるまい。が、その後において、今汝を取り囲む厳しき事情を振り返った時には容易に得心がいくことであろう。
(近藤千雄訳『霊訓』「世界心霊宝典」第1巻、国書刊行会)
インペレーターと名乗る高級霊からのこの霊信に、報告した三つの超常的現象を引き当てて考えてみますと、この引用部分は稲垣に向かって発信された啓示であるかのような錯覚すら覚えます。
SAM前世療法にとりかかる前の私は、「筋の通れる論証の過程を経なければ得心のできぬ者」のレベルにありました。
だから、「秩序と連続性の要素を持つ証明を提供し、動かぬ証拠の上に不動の確信を徐々に確立していく」ために、「動かぬ証拠」としてタエの事例をはじめとして、ヒーリング能力の出現などの超常的現象が、霊界から私に次々に提供されているような気がしていました。
そうした直感の真偽を確かめるために、里沙さんの守護霊に尋ねてみるという憑依実験を試みたわけです。
その結果と検討・考察は、これまでに報告 したとおりです。この検討・考察は「常に分別を働かせねばならぬ」と言うインペレーターの忠告に従っていることにもなるのでしょう。
そして、分別を働かせ た結果の帰着点は、霊魂と霊界の存在を排除しては説明できないのではないかということでした。
かつての私であれば、ヒーリング効果の解釈として、プラシーボ効果であるとか、暗示効果であるとか、信念の心身相関による効果であるとかの知的・科学的説明に躍起となって、それを公正な態度だと信じて疑わなかったと思います。
しかし今、自分自身に突如ヒーリング能力があらわれ、その説明は霊界と霊魂の存在抜きでは考えられない事態になってきたように思われました。
そして、「動かぬ証拠」を次々に提供され、ようやく「霊的真理の初歩段階」を卒業しかけていることを感じています。
やはり人間は、最後は 自分自身の直接体験にこそ、自明の真実性・説得力があると言わざるをえません。
交霊能力のあったスピリットヒーラーであるハリー・エドワーズは、高級霊界が霊的治療によって地上の人々を霊的覚醒に導く計画であることを知っ ていたと言います(ハリー・エドワーズ著、梅原隆雅訳『霊的治療の解明』国書刊行会)。
里沙さんの守護霊が伝えてくれた、「人を救うという計画」という語 りがそれを指しているとすれば、「人を救う道に進むという神との約束を果たす時期が来た」私は、催眠とヒーリングを道具に、人のお役に立つ道に進むよう な流れに乗っているのかも知れないと思い始めたのです。
そして、これからの自分が、催眠とヒーリングを与えられた道具として役立たせる道を実践していくことができれば、ヒーリングの謎も守護霊の語り の真実性も、おのずと開示されていくのではないかと思います。
また、そうした開示がされないにしても、うまれかわり探究の道を愚直に進む過程で、懐疑的な態 度を離れて霊的な現象をありのままに認めていくようになっていくのではないかと思われます。
さらに、この憑依実験の直後2007年1月11日~2月14日に受信者M子さんの自動書記による霊信を受け取るという超常現象が起こりました。
この霊信については本ブログに公開してあります。
そして、この霊信の真偽を検証するための作業仮説によるSAM前世療法を試みることになっていきました。
こうして、SAM前世療法によって、2009年5月9日、生まれ変わりの動かぬ証拠である応答型真性異言現象「ラタラジューの事例」と遭遇することに至り、私はスピリチュアリズムの説く「霊的真理」をいよいよ認めざるをえないことになっていったのです。
SAM催眠学は、これまでの科学としての催眠学が、科学を標榜するがゆえに排除してきた深い催眠下における霊的意識現象を取り上げ、実証的に霊的真理を探究しようという試みです。