2013年12月2日月曜日

SAM前世療法の成立 その38

「魂遡行催眠」段階(魂の表層構造仮説に基づく解釈)
① 仮説としての体外離脱状態
知覚催眠段階をクリアできると、いよいよ魂の自覚状態にまで潜在意識に導かせることになります。
なぜなら、潜在意識は魂の表層(側面)のものたちが作り出してしているものであり、魂の状態とともにあると考えられるからです。
したがって、潜在意識を遡っていけば、魂状態に至るであろうということになります。
この魂状態の自覚へと遡行するために、潜在意識を肉体の任意の部分に宿らせ導かせる、という発想と技法は、ワイス式前世療法と一線を画すSAM独特のものであり、この技法は、霊体仮説に触発されて編み出した技法です。
「個人的意識(顕在意識・潜在意識)は霊体に存在している」という霊信が真実であるなら、潜在意識の座は脳ではなく全身を包む霊体がその座になります。
また、「霊体の色がオーラである」とも告げています。
オーラの見える人たちは、対象者の肉体の傷んでいる個所のオーラの色が黒ずんで見えると報告します。
実際に、肉体の不調個所を告知しないでオーラを見た場合、不調個所のオーラの黒ずみを指摘するという実験結果を得ています。
また、健康な肉体のオーラの色は澄んで輝いているとも報告します。
こうした実験結果から、オーラと肉体は相互反映関係にあると思われます。
つまり、オーラ(霊体)と肉体には共通する要素があるのではないかと推測できます。
私は、オーラ(霊体)は、肉体的(物質的)要素を包含していると考えています。
とすれば、霊体に宿っている潜在意識を、肉体のどの部分にでも移し替え、宿らせることが可能だということになります。
この発想から、肉体の任意の部分(たとえば指)に潜在意識を宿らせ、指の上下運動によって魂状態にまでの遡行を導かせるという技法を編み出したというわけです。
さて、私の用いていたワイス式前世療法では、知覚催眠段階の次には記憶催眠段階に深化させます。
つまり、現世の記憶を幼児期、さらには胎内まで遡り、さらにその先の前世の記憶へと遡行させるという技法を展開していきます。
かつて、ワイス式で前世療法をおこなっていたときには、記憶催眠段階をクリアできない場合は前世記憶への遡行ができないことがほぼ確定的でしたから、記憶催眠段階の確認が必要でした。
SAMでは、記憶催眠段階をクリアしたことを確認しません。
必要がないからです。
知覚催眠段階さえクリアできれば、魂の自覚状態へと遡行できることを臨床経験で検証できているからです。
さて、 魂の自覚状態とは、クライアントの報告の共通点を集約すると、およそ次の3点になるようです。
ただし、魂状態を体験をしたクライアントの中には、催眠性健忘による記憶の抑制が起こり、報告できない場合もあります。
しかし、報告できない場合でも、潜在意識を宿した指は、魂状態に至ったことを明確に回答しています。
ア 体重の感覚が消えている。あるいは、肉体が感じられない自覚になる。
イ 「わたし」と表現する以外にない、意識体そのものになった自覚がある。
ウ 「わたし」が、肉体からずれたり、空間に浮いている状態の感覚になる。
こうした魂状態の自覚について、私は一種の「体外離脱」状態が生じているのではないかという仮説を抱いています。
それは、近年数多くの「体外離脱体験」「臨死体験」として報告されている状態によく似ていると思われるからです。
体外離脱体験が脳内現象として起こる幻覚であるのか、意識体(魂)が肉体を離脱した体験であるのかは科学的決着がついているわけではありませんが、幻覚だと断定できない事例があることも事実のようです。
私の周辺にも睡眠中に体脱体験をしたと報告する人が複数います。
また、モンロー研究所の開発した人為的に体外離脱体験を起こさせる「ヘミシンク」の技術は、催眠誘導の技法にきわめて似ています。
左右の聴覚に周波数の異なる波の打ち寄せるような音を繰り返し聞かせ、「さあ、リラックスして心の扉を開きましょう」などのナレーションによって体脱状態に誘導するわけですが、これは催眠誘導の技法にきわめて類似していると言って過言ではないでしょう。
等作用被暗示性高進と呼ばれ、人は同じリズムの繰り返しによって催眠状態に入りやすいのです。
それに適切な言語暗示を加えればいっそう催眠状態が促進され深化されるのです。
私の技法では、呼吸法と体を揺らす運動を組み合わせて誘導しますが、それはこうした等作用被暗示性高進によって起こる生理的特性を意図的に用いたものです。
よく宗教などでは、太鼓・鉦などをリズミカルに打ち鳴らし、それに合わせて単純な経文を繰り返し唱えるなどの「お勤め」と呼ばれる儀式をおこないますが、その結果起きてくる「法悦」などの恍惚状態の境地(心理状態)も、まさしく同じリズムの繰り返しという等作用被暗示性高進による催眠状態の一つだと言って差し支えないと思います。
さて、ヘミシンクによって起こる体外離脱体験の真偽は明らかになっているわけではありませんが、ヘミシンクによって体外離脱状態の意識現象が起こるとすれば、類似の技法を用いる催眠法で体外離脱状態の意識現象が起きても不思議ではないというのが、私の催眠臨床的見解です。
② 魂の表層(側面)に生きて存続している前世のものたち
潜在意識が魂状態に到達したことが、潜在意識を担わせ、たたとえば指の上下運動の停止によって示されると、魂状態に到達していることを指による回答で確認します。
軽く潜在意識の宿っている指を撫でて、「潜在意識であるあなたは、今、魂状態に導き終えましたか? 魂状態に到達しているなら指を立てて答えなさい」と尋ねます。
指が立って「はい」の回答を確認できると、いよいよ魂の表層(側面)に息づいている前世のものたちの中から、主訴に応じて必要なものを呼び出す作業に入ります。
この作業は、「魂の二層構造仮説」に基づいて展開していきます。
つまり、魂の表層(側面)は、各前世のものたちが、互いに繋がりを持ち、友愛を築き、与え合う(リンクしている)関係で構成されている、と霊信は告げています。
これら魂の表層(側面)に存在する「前世のもの(前世人格)」を、必要に応じて呼び出そうというわけです。
まず最初の質問は、指を立てることで回答を求め、「あなたは魂の表層の前世のどなたかですか?」から始めます。
次いで「魂の表層にあるもののうち、現世のものに、最も大きな影響を与えている前世のものと交代してください」、あるいは「魂の表層にあるもののうち、深い傷を負ったまま、癒しを必要として苦しんでいるものと交代してください」など、必要に応じて前世のものを指名して呼び出し、そのものの人生の軌跡を聞き出すという作業を展開していきます。
その前世のものが口頭で答えられるときには口頭で、それができないときには指を立てることで回答するように質問を重ね、そのものの人生の傷を探り当てていくことをしていきます。
こうした作業の過程が、傷の癒しにつながることになります。
こうして、クライアントの傷ついた前世のものに交代すると同時に、そのものが悲痛な泣き声を上げて苦悩を訴えることが少なくありません。
あるいは、傷の部分に触れる質問をした途端に苦痛で身体を震わせたり、もがいたり、涙を流し始めるという現象が現れます。
さらには、未浄化霊を名乗る存在が救いを求めて憑依することや、高級霊を名乗る存在が降りてきて憑依し、私あてのメッセージを告げることも稀ではありません。
こうした前世人格が現れたときのクライアントの意識状態は次のように特徴的です。
ア 前世人格はそのものが人生を送ったときの人格と感情を当時のままに保って魂の表層に意識体として生きて存在しており、呼び出しに応じて現世の意識と併存して現れる。
イ 前世人格の感情が現れているとき、一方にはそれをモニターしている意識も併存しており、クライアントの意識内部で両者の分離状態が起きている。
ウ つまり、モニターしている意識の監視下で前世ものは自己の人生を語り始めるという現象が起き、モニターしている意識は自分とは別個の人格が勝手に話し始めるという自覚を持つ。そして前世のものの悲しみの感情などが勝手に噴き出し涙があふれるという自覚状態になる。
ちなみに、2010年8月フジTV「奇跡体験アンビリバボー」で紹介された応答型真性異言「ラタラジューの事例」は、この手続きによって現れた前世人格です。
 
③ セッション中における三者的構図
SAM前世療法では、セラピストはクライアントと対話しているという自覚を持ちません。
あくまで呼び出した前世人格と対話をしている、という自覚のもとにセッションを展開します。
クライアントのモニター意識は、セラピストと前世人格の対話にオブザーバーとして同席しセッションの行方を見守る、という関係になります。
つまり、セラピスト対前世人格、それをモニターしているクライアントの意識という三者的構図になっているというということができます。
ただし、モニターしている現世の意識は、生まれ変わりの関係によって前世人格と密接な繋がりを持っていますから、前世人格の感情をすべてストレートに共体験することになります。
したがって、前世人格の苦しむトラウマを共体験し、その癒しの感情も共体験することになり、その結果として、前世人格が及ぼしていた現世の不都合な精神的、肉体的諸症状が改善に向かうということが起こると考えられます。
あくまで暫定的仮説ですが、こうした三者的構図、およびそこで展開する対話のあり方が、他の前世療法とは異なるSAM前世療法における基本的治療構造だと言ってよいと思われます。
(その39に続く)

9 件のコメント:

はあとちゃん さんのコメント...

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私が体験した稲垣先生のSAMにおいての魂の自覚状態が アイウと少し違っていたのでこの場をお借りしてコメントさせて頂いても良いでしょうか?

稲垣勝巳 さんのコメント...

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深度の深い催眠中の意識状態は、すべて一様になるわけではありません。クライアントによってそれぞれ個性的な意識状態が報告されています。
ブログに記述したのは覚醒後に報告された包括的な意識状態です。
どうぞあなたの体験をコメントしてください。

ポン太 さんのコメント...

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11月28日に『アンビリバボー』という番組で脳神経外科のエベン・アレグザンダーという人が臨死体験して死後の世界を確信したというのを取り上げられていましたがエベン医師の臨死体験の話を知っていますか?
知っていたらエベン医師の臨死体験についてどう思いますか?

稲垣勝巳 さんのコメント...

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私は、臨死体験の研究者ではありませんのでエベン医師の臨死体験の話は知りません。
臨死体験は、脳死判定と密接な関わりを持っています。立花隆『脳死再論』中公文庫,1991をお読みになることをお勧めします。

はあとちゃん さんのコメント...

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こんばんは。昨夜私の部屋の天井を頭部だけの男性が来られこわいですがコメントさせて頂きます
魂の自覚状態のクライアントの集約3点、アイウどれも当てはまりましたが、さらに詳しくコメントさせて頂きます
知覚催眠段階をクリアし魂の自覚状態を潜在意識にまで導かれた後「どこの国に住んでおられましたか」と稲垣先生に質問を受け現世の私は「どこなんだろうなあ?」とリラックスしていました。
「地球上にあるかもしれませんし、地球以外の星もありますよ」と稲垣先生の言葉を受け、次に目を閉じている私が見た景色は地球以外の広い闇の世界でした。
「すごく広いここはどこだろう」と現世の私が考えていると丸い球体が見えてきました。
それは衛星で見るような地球でした
私は地球を飛び出して遠い宇宙に浮かんでいました
その地球は灰色でした 太陽の光が照らされていない側の地球の側面。
私が過去世で生きていた国が世界地図の真ん中に書かれたかのように、その国は私から見て中心に位置するように見えてきました
そして 私(魂状態の私)はゆっくりとその国を目指して 吸い込まれるように5千年前の地球に向かっていきました。
後の様子は今度コメントさせて頂きます。

はあとちゃん さんのコメント...

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長くなりすみません!私がなぜ太陽の光が当たらない側の地球を宇宙から見たのか それは私の過去世の国と日本との時差が6時間あることを意味しているかもしれません
私が稲垣先生の研究室でSAMを受けていた時刻から6時間から7時間時差がある国の時刻を計算すると 地球は薄暗くみえるのかもしれません
研究室を抜け出した魂状態の私は 宇宙を経由して5千年前の地球に降り立った
もしくは宇宙空間に似た別次元の空間に離脱して そこを経由して何千年も前の過去世に時空を越えて降り立ったのかもしれません
まだ謎です

はあとちゃん さんのコメント...

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私は何度か死後の世界を見てます。大切な人が亡くなり 夢でお花畑の上を蝶が光る玉を乗せて飛んでいました 神官みたいな人が私をさとすように、魂を運ぶ蝶を指さし「もう行きましたからね」と私に言いました
その後世界ふしぎ発見で古代エジプトの魂を運ぶ生き物は?という問いで、答えは蝶が天国に魂を運ぶでした
なるほど私が夢で見た蝶が魂を運ぶ姿は 古代の人も見ていたのだとわかりました。
アンビリは観てませんがエベン医師の臨死体験で蝶が出てくるそうですが もしかするとそれは死後の世界 天国のような場所を見たのではないでしょうか 臨死体験や死後の世界を見ることはその人に伝えたいメッセージがあるからではないでしょうか
私は研究者でもなく稲垣先生の子供くらい年齢で人生経験はありませんが、蝶は死後の世界と関係していると思います

稲垣勝巳 さんのコメント...

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はあとちゃん 様
長文の貴重な体験記録をありがとうございました。
こうした意識体験の報告の累積が、SAM前世療法
の作業仮説の当否を明らかにし、研究を深めていく原動力になります。
重ねてお礼申しあげます。

あなたのブログの反応率を上げるコピーライター@鈴木ゆうたろう さんのコメント...

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どうも!初めてコメントします!ネット上を駆け巡っていたらたどり着きました!次の更新もがんばってください!楽しみにしています!