2013年8月10日土曜日

SAM前世療法の成立 その19

必要に応じておこなう魂へのヒーリング作業
SAM前世療法の成立には、これまで述べてきたように、私あて霊信が告げた「心・脳二元論」、「魂の二層構造仮説」、「霊体仮説」、「憑依仮説」など諸作業仮説によって支えられています。
そして、SAM前世療法を成功へと導くために必要に応じておこなう浄霊作業は、他の前世療法にはない際立つ特徴と言えると思います。
ここで、さらに成功へと導く「魂へのヒーリング作業」を加えなければなりません。
魂へのヒーリングというきわめて霊的な作業がどのようにして成り立ってきたのかその経緯を述べてみます。
【私あて第13霊信】
心と魂は、肉体すべてに宿り、すべてを包むものである。
だが、肉体と心を管理する役目を持つのは脳である。
心の中心は心臓を包むように、その位置を中心として存在しているのだと考えなさい。
それはなぜか、それは人の本能に関連するものである。
心臓という臓器があるため、その位置にあるのだと考えなさい。
あなたがヒーリングをおこなう時は、癒す対象をもとに応じていくべきものなのだと理解しなさい。
肉体を癒そうとする時はその患部、そして魂を対象とする時は、相手の意識全体、魂、心、肉体、そのすべてを包み込むイメージを持つのだ。
心は魂に従うものである。
魂に目を向けなければ、心の活動は穏やかにものとはならない。
よって、あなたは心ではなく相手の魂に目を向けるべきである。
【私あて第17霊信】
スピリットヒーリングの定義づけは、そのものにより異なるものである。
肉体に対する癒し、霊体に対する癒し、魂の側面に対する癒し、それらすべてがスピリットヒーリングである。
魂は癒しを必要としない。
意識体は、あるがままに完全性を持つものである。
癒しを求めるものは、魂の側面であり、肉体である。
心自体は癒しを求めない。
心とつながりを持つものが、癒しを求めるために心を通し呼びかける。
心は道具なのだ。
それは属するものである。
上記二つの霊信は、私の手から発せられるエネルギーがスピリットヒーリングであると告げ、その用い方を教えています。
問題は、魂へのヒーリングという文言でした。
霊信によれば、魂を癒すとは、魂の側面のものを癒すことを意味しています。
魂の側面のもの、とは「魂表層の前世のもの」を指しています。
霊信では、「魂の側面」と「魂の表層」と二つの言い方をしており、「側面」は「表層」と同義です。
したがって、「魂を癒す」とは「魂表層の前世のものを癒す」ことです。
なぜなら、「魂は癒しを必要としない」、「意識体はあるがままに完全性を持つ」と告げているからです。
この場合の「意識体」とは、それまでの霊信の文脈からして魂表層に包まれた「魂の核」を意味しています。
さて、実際のセッションでは、魂表層から顕現化した苦悩を持っている前世人格と対話をします。
前世人格が苦悩を十分語り、セラピストがそれに共感的理解を示すことによって、彼は癒され、それまで魂表層にあって訴え続けていた苦悩から解放される、その結果、現世の人格の諸症状が改善される、というのが、SAM前世療法における治療仮説です。
しかし、SAM前世療法の開発過程で、顕現化した前世人格が、対話のあとでも癒しが不十分である、まだ癒されないというケースが出ていました。
こういうケースで、どうすれば、前世人格を十分な癒しへと至らせることができるのか、これが大きな課題となっていました。
前世人格が十分癒されないままでは、十分な症状の改善が起こるとは考えられないからです。
霊信からすれば、魂表層の前世のものへスピリットヒーリングをおこなうことが可能だと告げています。
ただ、どのようにすれば前世のものへ、スピリットヒーリングのエネルギーを繋ぐことができるのか、これは途方もない謎でした。
スピリットヒーリングの相手は、魂表層に存在している肉体を持たない前世人格です。
第13霊信では、「魂を対象とする時は、相手の意識全体、魂、心、肉体、そのすべてを包み込むイメージを持つのだ」と告げてはいますが、具体的にどうするのか、皆目見当がつきません。
ところが、2ヶ月ほど前に、「神様のお使いで浄霊の仕方を教えにきました」と憑依現象を起こした統合失調症の女性クラアントが、2度目のセッションで、なんと同じく、「今日は、神様のお使いで魂の癒し方を教えにきました」と高級霊らしき存在の憑依を起こしたのです。
その憑依霊が告げるには、
①魂表層の傷ついている前世のものの作り出している意識・潜在意識は、霊体に宿っている。
②そうした意識・潜在意識は、心が管理している。
③したがって、管理している心を経由して、傷ついている前世のものの意識・潜在意識に繋がれる。
④よって、心に向かってスピリットヒーリングエネルギーを注ぎなさい。
⑤心は心臓を中心に広がっているから、胸の前で、両手で心臓を包み込むつもりでヒーリングをしなさい。
心臓に手を当てる必要はない。
⑥このようにすれば、心を経由して魂表層の前世のものにヒーリングエネルギーが繋がり、癒しを求める前世のものを癒すことができる。
ということでした。
憑依霊の告げたこの内容を、第13・17霊信と照らし合わせて考えてみると、それなりに符合する内容であり、試してみる価値はあるように思われました。
このヒーリング方法によって、癒しを求める前世のものが癒されるとすれば、SAM前世療法の成功に大きく寄与することになります。
次は、実際に、前世人格へのヒーリングをおこなったクライアントの体験記です。
この40代男性クライアントは、大手商社マンであり、常識を備え知的な人柄の持ち主だと周囲から評価されている人です。
顕現化した前世人格の8割が口頭で対話できないSAM前世療法の、指で対話する典型例ですので、少し長い体験記ですが全文を紹介します。
最初に僕の緊張をほぐす意味もあったのでしょう。ご自身の催眠や前世に対する考え方、スタンスを丁寧に話をしていただきました。
少し、休憩をはさんで、さあ、いよいよ催眠初体験です。
施術前に、まず簡単な被暗示性テストを受けることになります。
これは、僕が催眠にかかりやすい方なのかどうか、を判断するために実施するものだそうで。
結果は「良好」。
かなり素直な性格の方だから、すっと催眠に入れると思う、とのコメントでした。
そうです、まさに実際にその通りの結果となりました。
まず、呼吸と術者の言葉による暗示により体の力が抜けて行きます。
その後、知覚催眠という、体の感覚が離れていく状態(たとえば、手を抓(つね)られても痛みを感じない状態)へと徐々に導かれます。
そして、自分の潜在意識に表に出てきてもらうよう誘導されます。
実際には、本当に不思議なんですが、頭ははっきりしています。
顕在意識は健在なんですね。(寒いダジャレです。すみません。)
負けず嫌いの僕ですから、何とかして顕在意識は手足を動かしてやろう、と企んでいます。
でも、潜在意識が表に出ている催眠状態では、自分の手足が動かないんです。
ただ、まったく怖くはありません。
さて、潜在意識が表に出ている状態ですが、術者とのコンタクトは指の動きで行います。
術者の質問には、顕在意識とは全く無関係に、指が反応するんです。
ここまで来ると、戸惑っていた顕在意識の僕も、流れに身を任せてみる気になりました。
稲垣: いま、あなたの潜在意識は現世のものですか?
指: 無反応
稲垣: では、前世のものですか?
指: ピクンと反応
指: ヨーロッパに反応
稲垣: いまから、ヨーロッパの国名を私が言います。あなたの国のとき、指で教えてください 。
指: ギリシャで反応
という感じで、セッションが進められます。
術前のインタビューで、僕は、「今の自分に一番影響を与えている前世を知りたい」と希望を出していました。
たぶん、そのことがすでに暗示になっていて、すっと前世のものが出てきたんだろう、と思われます。
結果、僕の前世のものはエナンという名の、ギリシャ・アテネに住んでいた哲学者だそうです。
彼は、戦争に自分の意に反して参加させられ、人を殺してしまった、という心の傷を持っているらしく、それが癒されないため苦しみ、それが現世にまで影響を及ぼしているらしいのです。
主に指を介したやり取りですが、そばでみていた友人によればコミュニケーションが進むにつれて、指の動きが激しくなっていたそうです。
「これから、心を介してあなたの傷を癒します」
術者のそんな声が聞こえたかと思うと、胸の前に何やら温かいものが・・・。
後で友人に聞いたのですが、その時、術者は、僕の体には一切触れておらず、ただ、両手を胸の前にかざしてくれていただけだそうです。
その温かさを感じながら、僕は泣いていました。
ポロポロ涙を流しながら。
しばらく経つと、あれだけ温かかったものが、すうっと消えていきました。
「癒しが終わりました。さあ、これから現世のものと交代してください」
相変わらず、頭ははっきりしていますが、いつ自分が前世のものから現世のものに変わったのかは知覚できません。
でも「いま現世のものですか?」と問われたら指が反応します。
そして、五つ数えたら催眠から覚めます、と言われその通りに。
体は思い通りに動きます。まず涙をぬぐう。
今回は催眠自体が初の体験でしたから、多少の緊張があり、自分の体の重さを感じなくなるところまで顕在意識と体の切り離しは進みませんでした。
でも、少なくとも手足を動かすハンドルを持つ顕在意識の「手」はやさしく外され、そのハンドルを慣れない「潜在意識」が持った、そんな感覚がありました。
僕の前世が哲学者だった。
違和感はあまりありません。
今回は、何らかの問題を抱えて催眠療法を受けたわけではありません。
ですから、悪かった症状が良化した、なんていう、「目に見える変化」が起こるわけではないと思います。 
でも、術中に感じたやさしい温かさと、流した涙の意味は、これから徐々に自分に良い影響を与えてくれるんじゃないかな。
そう思います。

上記体験記の
「「これから、心を介してあなたの傷を癒します」
術者のそんな声が聞こえたかと思うと、胸の前に何やら温かいものが・・・。
後で友人に聞いたのですが、その時、術者は、僕の体には一切触れておらず、ただ、両手を胸の前にかざしてくれていただけだそうです。
その温かさを感じながら、僕は泣いていました。 ポロポロ涙を流しながら。
しばらく経つと、あれだけ温かかったものが、すうっと消えていきました。
「癒しが終わりました。さあ、これから現世のものと交代してください」
までが、魂表層の前世もの(このクライアントでは前世の哲学者エナン)へのヒーリングです。
ちなみに、「僕は泣いていました。 ポロポロ涙を流しながら」の「僕」はクライアント自身ではなく、前世人格エナンが、自分の生まれ変わりである現世の者の肉体を借りて泣いている、と理解するのがSAM前世療法の「自己内憑依」仮説による解釈になります。
クライアントの「僕」の目から涙はあふれていることを現世のモニター意識は知るのですが、なぜ涙があふれるかの自覚が持てないのです。現世のモニター意識とは別に、前世のエナンの意識が泣かせているからです。
涙を流している主体は、現世の「僕」ではなく、前世人格エナンです。
これは、前世人格が口頭で話す場合も、指で回答する場合も、同様の意識状態になります。現世のモニター意識は、口が勝手に開いて話している、指が勝手に回答するという自覚でしかありません。
前世人格の意識が、現世の者の発声器官を借りて話し、指を操作しているからです。
こうした意識状態を、SAM前世療法では「自動発話」、「自動動作」と呼んでいます。
ラタラジューがネパール語会話をしている最中の、里沙さんの意識状態も「自動発話」状態でした。
そして、クライアントは閉眼していますから、私がどのようにヒーリングをしているかは分かりません。
しかし、他の事例でも例外なく、クライアントのモニター意識は胸のあたりにモワーと温かな感覚が広がることを感知し、顕現化している前世人格に尋ねると癒されていくことが分かると報告します。
そして、私の手のひらは、ヒーリングエネルギーの放射感覚をたしかに感知します。
こうして、癒しを求める前世のものへのヒーリングという技法が完成し、SAM前世療法の成立を支える諸作業仮説と諸技法がすべてが出そろったことになります。
そして、「その1」から延々と述べてきたことをお読みになれば、SAM前世療法は霊的存在の恩恵なしに創始できなかった特殊・霊的な前世療法であることがご理解いただけたと思います。
特殊・霊的ではあるが、SAM前世療法による前世人格の顕現化は、誰でも同じ手続きを踏めば前世人格の顕現化が可能です。
また、一度顕現化した同じ前世人格を何度でも顕現化させることができます。
魂表層を居場所にしている前世人格ですから、当然のことと言えば当然のことです。
たとえば、魂表層に存在している前世人格タエにしろラタラジューにしろ、その顕現化の再現性が検証されています。
SAM前世療法の手続きを踏めば誰でも同じ結果を得ることができる、という再現性の点において、SAM前世療法は科学性を有していると思っています。
SAM前世療法は、したがって、伝達可能な催眠技法です。
すでに、私の催眠塾で学んだ門下生が、SAM前世療法を実践し、成功をおさめています。
そして、ラタラジューは応答型真性異言を話し、検証の結果、被験者里沙さんの作り出した架空の人格や妄想の人格ではない、確かな前世人格であることの科学的証拠が示されています。
SAM前世療法は、これまでの科学としての催眠が踏み込まなかった、霊的領域を切り拓く道具でもあると考えることができるのではないでしょうか。
(その20へつづく)

2 件のコメント:

momo さんのコメント...

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稲垣先生へ
先生のSAM前世療法は、科学と霊的なものを二つ持つ今までにない画期的な療法ですね。
浄霊作業、ヒーリング作業などは他の前世療法にない大きな特徴だと思います。
進化発展していけば偽霊能者が撲滅されるのではないかと期待しています。
それと前回記事にありました出雲に関わる霊信、謎めいていて怖いです。
今後、魂の覚醒方法が分かりましたら教えて頂けると幸いです。

稲垣勝巳 さんのコメント...

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「科学的だ 」という意味は二通りに使用されています。①科学の明らかにしてきた知見が適用できるという意 ②科学の方法に依っているという意。SAM前世療法は①の意味で、唯物論科学の立場からは非科学的療法だと批判されるでしょうね。しかし、SAM前世療法の諸作業仮説は、仮説ー検証ー仮説修正の科学の方法を踏まえて成り立ってきたという経緯があります。この意味では科学的な療法だと思っています。ただし、霊魂の実在やスピリットヒーリングの実体は数量化や映像化はできるまでになっていませんから唯物論科学は否定するに決まっています。しかしながら、SAM前世療法セッションで現れる意識現象の事実の累積は、唯物論科学では説明不可能です。唯物論科学体系に不備があるか、誤りがあるかでしょう。この決着は今世紀末まで待つしかないと思っています。