2012年12月10日月曜日

「タエの事例」全セッション記録その8

その7からの続き
CL:沼地。・・・虫、虫!
CO:虫がいますか。刺しますか?
CL:(頷く)・・・ヒル。
※2009年5月の再セッション後、カトマンズ在住のソバナ文化人類学博士に9日間にわたってナル村現地調査を依頼した。その結果、ナル村には湿地が点在し、たしかに多くの蛭が棲息していることが確認できた。ソバナ博士に同行した夫君は油断しているうちに靴下の隙間から蛭が侵入して血を吸われてしまったという報告があった。ナル村もカトマンズもカトマンズ盆地内にあるが、カトマンズ盆地はもともと湖底であった所が隆起したもので湿地が多い地形となっている。
CO:でも、楽しいことがきっとある人生でしたよ。そこへ行きましょう。もう少し進めましょう。どんな楽しいことがありましたか?
CL:・・・。
CO:じゃ、指定しますよ。あなたは村長さんでしたからきっと楽しい食事ができたはずですよ。家族と一緒の夕食の場面へ行きましょう。三つで行きますよ。一・二・ 三。食卓を囲んでますか? ごちそうですか? 何を食べるんですか?
CL :トウモロコシ。
CO:そのまま食べるのですか?
CL:粉。蒸す。
※現在のナル村でもトウモロコシを使った料理が多い。
CO:パンみたいにして食べるのですか。ほかには何か食べるものありますか?
CL:イモ。
CO:ジャカイモ? サツマイモ? どんな芋でしょう。
CL:・・・イモ。
CO:何か牛乳みたいなものありますか? バターとか。
CL:ない。
※現地調査によれば、ナル村では牧畜をおこなっていない。したがって、乳製品は食べることはない。2009年5月の再セッションでも、ラタラジューは、コド(キビなどの雑穀)やダル(ダル豆のスープ)などを食べていると語っている。けっして豊かな食生活を送っていたとは言えないようである。
CO:それでは、あなたの人生を終える場面へ行ってみましょうね。その場面で、あなたがその人生で何を学んだのか一番よく分かりますよ。じゃあ、死の間際へ行きましょう。死はね、蝉が殻を脱いで飛び立つように、次の新しい人生へ飛び立つ入り口ですから、何も恐いことはありません。それでは三つ数えると、あなたの死の間際まで行きます。一・二・三。・・・今どこにいますか。
CL:家。寝てる。
CO:今、あなたはどうしてますか? 病気ですか、老衰ですか?
CL:老衰。
※2009年5月の再セッションでは、死の直前に腹痛を訴えている。そのセッション後にフラッシュバックしたラタラジューは、死因を村民から毒を盛られたためだと訴えている。
CO:年は何歳ですか。
CL:七八。
※4年後、2009年5月の再セッションでも、ラタラジューは死亡年齢をAth satori(8と70)、つまり78だと答えている。
CO:周りに誰かいてくれますか? 妻はいますか? 子どもは?
CL:妻はいる。子どもはそばにいない。
CO:その家族の誰かと、現世の里沙さんと深いつながりのある人はいませんか?
CL:いない。
CO:老衰で亡くなりますよ・・・。今、あなたは肉体を離れました・・・。あなたは、そのネパール人の人生で何を学びましたか? どんなことを学びましたか。
CL:生きて、人と、平和な、村を守る、喜びを、感じました。願わくは、字が読めるようになりたかった・・・。
※2009年再セッション後のフラッシュバックでは、ラタラジューは独裁権力を振るったため村民から恨みを買い、一家全員が抹殺されたと訴えたそうである。「平和な村を守る喜び」というここでの語りと、4年後のセッション後のフラッシュバックでの毒殺による一家抹殺の訴えとは大きな齟齬がある。その理由は不明である。
CO:ああ、あなたは、字が読めなかったのですか。
※ネパール人の識字率は2000年において、成人40%(女子20%)である。19世紀半ばに生きたラタラジューが、文字が読めないことは当然ありうると推測できる。なお、ネパール山村部の住民は、ほとんど年中畑にいて、他の地域に動くことはなく、国政や他の地域で起こっていることは、まず知らずに一生を終える生活だという。
CL:はい。勉強をしたかった・・・。
CO:あなたは今魂なんですが、次は里沙さんに生まれ変わるわけですか?
CL:はい。
CO:これまで、二つの人生を見てきました。これから、あなたは、現世の里沙さんの身体の中に戻りますよ。そのときには、この二つの人生で見た学びをしっかり生かして、これからの里沙さんの人生を、より充実して生きる力がきっと生まれていますよ。 いいですか。きっと素敵な人生を送れます。難病に耐えて、あなたは自分の使命を果 たす勇気と力を取り戻して、たくましく生きることがきっとできますよ。では、ゆっくり五つ数えます。目が覚めたときには、すっきりしてとても気持ちよく目が覚めます。そして、今の催眠中に起きたことは、すべてはっきり思い出すことができます。 いいですか、ではゆっくり戻りましょう。一・二・三。もう戻ってきますよ。四、もう身体に入りましたよ。五。さあ、これですっかり里沙さんの身体に入りました。ゆっくり、目を開いていいですよ。とっても疲れましたね。よくがんばりました。でも、がんばっただけのことはきっと起きますからね。きっとプラスになっていますからね。
※この2005年6月のセッション時点、4年後の2009年5月の再セッションの時点でも、ナル村の実在は確認できていなかった。2005年のこのセッション後、「ネパールナル村」で検索してもヒットしなかった。しかし、2009年のセッション後、再度「ネパールナル村」で検索したところヒットした。ヒットの理由は、海外青年協力隊の派遣先として政府関係の公報に掲載されたからである。ちなみに、ネパール地図を検索してもナル村は掲載されていない。カトマンズで手に入る地図には掲載されている。このようなナル村を、なぜ被験者里沙さんが知っていたのか、里沙さんが超ESP(万能の透視能力・テレバシーなど)でも発揮しないかぎり、通常の方法ではナル村を知ることは不可能だと思われる。そして、もっとも妥当な解釈は、前世人格ラタラジューがナル村に実在していたと考えることではないだろうか。
終わり

4 件のコメント:

ソウルメイト さんのコメント...

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ユング派の心理学者、老松克博さんの著作「無意識と出会う アクティブ・イマジネーションの理論と実践①」によれば、自分が考える自分というのは、もっと大きな自己の部分的な表現にすぎないのだそうです。つまり、ほんとうの自分というのは、自分が意識し、考えることのできる自分をはるかに超越した大きくて深くて高いものであるということなのだそうです。ユング派の心理学が考える、ほんとうの自己というものは、超越的であり、かつ、多元的であり、その顕れや表現もまた多彩であり多様であり多次元におよぶものであると言えると思います。(「ユング心理学入門」「無意識の構造」「影の現象学」「コンプレックス」河合隼雄著)
さて、真正なスピリチュアリズムの研究者であり、スピリチュアリズム思想家である高森光貴さんはgooのスピリチュアル・ブログ【「私」という超難題】の中で、シルバーバーチの霊言を引用しておられますので、以下に高森さんが引用しておられるシルバーバーチの霊言を抜粋して記してみることにします。
「地上に見せる個性は個性全体からすればホンの一部分にすぎません。私はそれを大きなダイヤモンドに譬えています。一つのダイヤモンドには幾つもの面があり、そのうちの幾つかが地上に誕生するわけです。……あなたは一個のダイヤモンドの数ある側面の一つであって、各々の側面が全体の進化のために異なった時代にこの物質界へ顔を出していることも有りうるのです。……インディビジュアリティはパーソナリティよりはるかに大きなものです。死後に生き続けるのは、パーソナリティではありません。パーソナリティはインディビジュアリティによって投影された影にすぎません。……一つの大きな魂(インディビジュアリティ)があって、それに幾つもの部分的側面があります。それらが別々の時代にパーソナリティとして地上に生を受けますが、寿命を終えて霊界へ戻ってきた時も一個のインディビジュアリティの側面であることに変わりありません」
シルバーバーチの霊信は、類魂というものは、かならずしも、分離独立したバラバラの意識ではなく、集合意識としてのまとまりのある統合体であると言っているように思えますが、その点をいかがお考えになりますか?

稲垣勝巳 さんのコメント...

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>ソウルメイトさん
個としての魂表層の、前世の者たちがつくりだしている集合意識と同様に、類魂としての、類魂に所属する魂たちののつくりだしている集合意識があると思われます。個々の魂の表層の集合意識の成長進化の仕組みと、類魂における集合意識の成長進化の仕組みは、フラクタル(入れ子)構造になっているようです。そして、里沙さん守護霊によれば、この守護霊は、類魂の集合意識体そのものだと告げています。したがって、あなたのお尋ねになっているお考えは、私もその通りだと思っています。このあたりの消息は、人智を越える次元の領域で謎が深いですね。

ソウルメイト さんのコメント...

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>稲垣勝巳さん
たしかにおっしゃるとおり、魂の次元の物事というのは、基本的に人間の知力の限界を超えるものだと思います。
それゆえ、わたしたちは、高次の存在からもたらされる情報や知識には、謙虚に学ぶ姿勢が肝要だと思います。
稲垣さんがなさっておられる魂の探究は、実に意義深いもので、「霊学」と呼んで差し支えないものであると思います。かつて、アラン・カルデックは、多数の交霊会を通して得た知識を体系化しましたが、稲垣さんの研究の成果が、それに勝るとも劣らないものとなることを願って止みません。ますますのご精進とその結果もたらされるであろう貴重な知識に感謝いたします。

稲垣勝巳 さんのコメント...

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>ソウルメイトさん
コメントありがとうございました。
私は確信的スピリチュアリストではありませんが、私の開発したSAM前世療法の示す意識現象の事実は、スピリチュアリズム霊学の内容に限りなく近いということは言えそうです。私はセッションで明らかになった「意識現象の事実」を基盤にして、自らの手で確認したことを大切にしていこうと思います。それが、宗教者でも霊能者でもない、私の立ち位置です。