2012年3月11日日曜日

前世人格ラタラジューが日本語会話できる謎

下記は過去にこのブログで掲載したイアン・スティーヴンソンの、応答型真性異言を話したトランス人格(前世人格)に対する考察です。
スティーヴンソンは、次のように述べています。
「私が特に解明したいと考えている謎に、イェンセン(スウェーデン人前世人格)やグレートヒェン(ドイツ人前世人格)が、母語でおこなわれた質問と同じく、英語でおこなわれた質問に対しても、それぞれの母語で答えることができるほど英語をなぜ理解できたのかという問題がある。イェンセンとグレートヒェンが、かつてこの世に生をうけていたとして、母語以外の言葉を知っていたと推定することはできない。ふたりは、したがって、自分たちが存在の基盤としている中心人物(真性異言話者であるクライアント)から英語の理解力を引き出したに違いないのである」
イアン・スティーヴンソン/笠原敏雄訳『前世の言葉を話す人々』、春秋社、P235
この考察は、そのまま前世人格ラタラジューが、ネパール語対話セッションの直前に、筆者との日本語対話も可能であった現象についてそっくり当てはまります。
ネパール人ナル村村長ラタラジューが、ネパール人対話者カルパナさんと母語ネパール語会話でおこなわれた質問と同じく、日本語で私がおこなった質問に対しても日本語で答えることができるほど日本語をなぜ理解できたのかという大きな謎があるのです。
100年程度過去の寒村ナル村にラタラジューが実在していたとして、ネパール語以外の日本語を知っていたと推定することはきわめて不自然です。
とすれば、ラタラジューの存在の基盤である被験者里沙さんから日本語の理解力を引き出したと考える以外にありません。
SAMの作業仮説では、里沙さんという現世人格も、ラタラジューやタエの前世人格とともに彼女の魂の表層に存在する一つである「現世のもの」にほかなりません。
さらに、SAMの作業仮説では、魂の表層に存在する前世のもの、現世のものは互いに友愛を結びそれぞれの人生で得た知恵を分かち合い、魂表層全体の成長進化に貢献していると考えます。
つまり、魂の表層では前世のものたちと、現世のものはコミュニケーションを図っています。
こうして、SAM前世療法の考え方では、ラタラジュー人格は、魂表層でコミュニケーションしている「現世のもの=里沙さんという主人格」から、日本語の理解力を引き出しているということになります。
実は、こうした理解が正しいかどうかを、カルパナさんとのネパール語対話実験に入る直前に、里沙さんの守護霊に憑依してもらい、守護霊と筆者は、次のような問答をしています。                            
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
問い:: ラタラジューはネパール人です。それなのに日本語が分かるということは、翻訳・仲立ちをしているのは、魂の表層の「現世のもの」と考えてよろしいですか?
答え: あなたの言ったことはそのとおりです。・・・わたくしたち魂は・・・自然に理解できます。
『生まれ変わりが科学的に証明された!』、P46
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
里沙さんの守護霊は、魂表層でラタラジュー人格とコミュニケーションしている「現世のもの=里沙さんという主人格」から、ラタラジューが日本語の理解力を引き出している、というSAM作業仮説による解釈を「そのとおりだ」と認めています。
スティーヴンソンは、「魂の表層仮説」のような魂についての仮説を持っていませんでした。
魂と呼ばず、「心搬体(サイコフォー)」と呼ぶ死後存続する意識体を想定しているだけです。
したがって、「存在の基盤としている中心人物(真性異言話者であるクライアント)から英語の理解力を引き出したに違いないのである」というところまでしか言及できませんでした。
SAMの作業説を立てている筆者は、半歩踏み込んで、魂表層でコミュニケーションしている「現世のもの=里沙さんという主人格」から、日本語の理解力を引き出している、という解釈を可能にしました。
スティーヴンソンが存命中であれば、筆者の見解に対してどのようなコメントをするか、きわめて興味深いと思っています。

0 件のコメント: