2011年10月31日月曜日

ラタラジューの語りの検証その2

(その1からのつづき)
対話相手
(ネパール人女性カルパナさん)の発語していないネパール語
ラタラジューの発話において重要なことは、ラタラジューがカルパナさんの発話の中で用いられていないネパール語を用いているかどうかの点です。
カルパナさんが質問で用いた単語をオウム返しで繰り返しているだけならば、質問内容が理解できていなくても対話が成立しているように錯誤されてしまうからです。
ラタラジューが本当にネパール人の前世人格なら、カルパナさんが用いていない単語で、ラタラジューが自ら発語しているものがなければ、彼がネパール語を運用した信憑性は低いものとなるでしょう。
正確な意味で、会話技能を用いている応答型異言とは言えないということになります。
そこで、名前を除き、ラタラジューが初めて発語している単語を全セッションから拾ってみると、次の29の単語があることが分かりました。
mero(わたしの)・ ke(何)・tis(30)・bujina(分かりません)・ ho(はい)・ma(私・Shiba(シバ神)・dhama(宗教)・Nepali(ネパール人)・Gorkha(グルカ兵)・pachis(25)・hoina(いいえ)・pet(お腹)・dukahuncha(痛い)・rog (病気)・guhar(助けて・ath(8)・satori(70)・Tamang(タマン族)・kana(食べ物)・dal(豆のスープ)・ bha(ご飯)・ kodo(キビ・アワなど雑穀)・sathi(友)・cha (ある、いる)・Nallu gaun(ナル村)・kancha(息子)・Shah(シャハ王朝)・ Himal(山、ヒマラヤ)
この事実は、ラタラジューが、ネパール語を知っており、その会話技能を身に付けていることの証拠であると思われます。
また、彼の父がタマン族らしいことを考えると、彼の母語はタマン語であって、ネパール語ではない可能性があり、そうしたことを重ねて考えますと、ネパール語の少なからぬ単語を用いて応答的に発話できた事実は、ますます大きな意味を持つものと思われます。
ちなみに、ラタラジューの発音は、明らかに日本語を母語とする里沙さんの舌の用い方ではないように聴き取れます。
会話分析に当たった中部大学客員研究員カナル・キソル・チャンドラ博士によれば、数字の発音などにタマン語の訛りが明瞭に混入しているネイティブなネパール語であるという意見でした。
また、ラタラジュー程度にネパール語会話ができるようになるためには、ネパールに三年から四年程度の滞在が必要であろうとの判断でした。
文字表現では不可能な、ラタラジューのネパール語の語調、発話中の表情・動作などが分かるアンビリバボーで放映の証拠映像をご覧になった読者であれば、ネパール人どうしの違和感のない会話がお分かりになるだろうと思います。
(つづく)

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